朝日杯将棋オープン戦1次予選で2連勝した天野倉優臣さん=7月30日、東京都渋谷区

天野倉さん、跳ねた攻めた プロに強気、「望外の3回戦」へ 第14回朝日杯将棋、アマ2人の戦い:朝日新聞デジタル

第14回朝日杯将棋オープン戦1次予選 佐藤秀司八段 vs 天野倉優臣アマ
8月30日、10時から対局開始、ABEMAで放送があります。
勝てば、14時から阿部健治郎七段と1次予選決勝


2020年8月24日 16時30分

朝日杯将棋オープン戦1次予選で2連勝した天野倉優臣さん=7月30日、東京都渋谷区
朝日杯将棋オープン戦1次予選で2連勝した天野倉優臣さん=7月30日、東京都渋谷区

第14回朝日杯将棋オープン戦(朝日新聞社主催)の1次予選に出場したアマチュア代表2人のうち、天野倉優臣(あまのくらゆうと)さん(19)が1、2回戦を勝ち抜いた。いずれもプロを相手に堂々の指し回し。2回戦では、秒読みの中の鋭い踏み込みが功を奏し、難解な終盤を競り勝った。朝日アマ名人の横山大樹さん(30)は初戦で敗れた。

天野倉さんの1、2回戦は7月30日、東京・将棋会館で行われた。1回戦の相手は東京大大学院博士後期課程に在籍する谷合(たにあい)広紀四段(26)。東京大2年の天野倉さんにとって大学の先輩にあたる。天野倉さんは谷合四段の棋譜を「できるだけかき集めて」臨んだ。

図1・▲6五桂まで
図1・▲6五桂まで

谷合四段の四間飛車に天野倉さんは▲6六角~▲7七桂という布陣。谷合四段は先手の角桂を圧迫すべく、5二にいた金を△5三金と上がって金を繰り出そうとしたが、▲5七角△2二飛に▲6五桂(図1)と跳ねた手が機敏だった。「金を上がられるかなと思っていた」と天野倉さん。研究手だったのだ。

この瞬間だと▲5三桂成があるため△6四金と出られない。谷合四段は△5二金引と引いたが、続く▲7五角が厳しく、△6二銀▲3一角成で、先手が一本取った形だ。この後、長い中盤戦が続いたが、天野倉さんが優位を保って押し切った。

2回戦は上村亘(かみむらわたる)五段(33)と対戦。天野倉さんの三間飛車に上村五段は居飛車穴熊で対抗した。

図2・▲3二金まで
図2・▲3二金まで

天野倉さんは中盤で苦しくするも盛り返して終盤のねじり合いに突入した。すでに両者秒読みに入って30手近く指し続けている状況で、天野倉さんが竜を切って後手玉に迫り、▲3二金(図2)と打った。△同銀には▲2二角△同玉▲3四桂という詰み筋がある。上村五段は△3九角から先手玉を詰ましに行ったが、▲同玉△4九と▲同玉△4八香▲3八玉△4九銀▲2八玉以下詰まず、最後は天野倉さんが寄せきった。

実は、図2では△3二同銀▲2二角に△2一玉と逃げればぎりぎり詰まず、後手の勝ち筋だった。「詰まされると思って」と上村五段。天野倉さんは「勝ちと思って踏み込んだんですけど、正確に指されていたら足りなかったですね」。天野倉さんの強気の攻めが上村五段の判断を狂わせた。

天野倉さんは30日に3回戦で佐藤秀司八段(53)と対戦。勝てば2次予選進出をかけて決勝で阿部健治郎七段(31)と戦う。3回戦に向け「全く考えていなかったので望外です。せっかくの機会なので次も精いっぱい指したい」と話した。(村上耕司)

■横山さんは初戦敗退「次こそ」

朝日杯将棋オープン戦1次予選1回戦で敗れた横山大樹さん=7月25日、大阪市福島区
朝日杯将棋オープン戦1次予選1回戦で敗れた横山大樹さん=7月25日、大阪市福島区

横山さんは7月25日、大阪市福島区の関西将棋会館で服部慎一郎四段(21)と対戦した。服部四段は4月に四段に昇格した新鋭。横山さんも「服部四段は力将棋に強く、早見え早指し」と敬意を払って、臨んだ。

図3・▲3四桂まで
図3・▲3四桂まで

戦型は相懸かりに。序盤は服部四段ペースで進んだが、中終盤で横山さんが激しく追い上げた。図3は、横山さんが▲3四桂と打った局面。局後に服部四段は「この、直接攻められる手が見えていなかった。実戦的にすごく嫌だった」。以下、△5二玉▲2一角△3三金▲6五歩と進行。ここで△同銀として「受ける方針に切り替えたのが良かった」と服部四段。108手までで服部四段が朝日杯初勝利を挙げた。

終局後、横山さんは「関西将棋会館という神聖な場所で指せること自体、幸せなこと。また、この舞台に戻って、次こそ結果がついてきたら、うれしい」とさわやかに話した。(佐藤圭司)

情報源:天野倉さん、跳ねた攻めた プロに強気、「望外の3回戦」へ 第14回朝日杯将棋、アマ2人の戦い:朝日新聞デジタル




2連勝すれば二次予選進出。