第61期王位戦(北海道新聞社主催)第2局で、候補となっているふた組の駒

<みなぶん>タイトル戦の将棋盤と駒 どう選ぶ?:北海道新聞 どうしん電子版

将棋盤も駒もいい奴は本当に高い


https://www.youtube.com/watch?v=W1sAazEj9zA&hd=1

2020/07/09 10:02

第61期王位戦(北海道新聞社主催)第2局で、候補となっているふた組の駒
第61期王位戦(北海道新聞社主催)第2局で、候補となっているふた組の駒

将棋のタイトル戦で、どんな駒や将棋盤が使われるの? 木村一基王位(47)に、藤井聡太七段(17)が挑戦する将棋の第61期王位戦(北海道新聞社主催)第2局は、7月13、14の両日、札幌市厚別区のホテルエミシア札幌で指される。「30歳差」「公式戦初顔合わせ」など、見どころの多い対局を演出する駒と将棋盤は、いわば「陰の主役」。その選び方は―。

■静かな“前哨戦”

「タイトル戦では、将棋連盟か、地元の愛棋家(あいきか)の所有する駒が用いられます」。日本将棋連盟北海道支部連合会(札幌)の工藤学会長(69)が教えてくれた。

道内で開かれる場合、連合会が候補となる駒を二、三組、盤は一つ用意する。

対局前日、両棋士が対局場を「検分」。空調や照明の明るさ、盤や記録机の位置などを細かく確認する。本番を想定し、駒の候補も実際に盤上に広げ、互いに向き合って手触りなどの感触を確かめながら決める。

もし、意見が割れたら? 「基本的に話し合いですが、タイトル保持者の提案に挑戦者が異を唱えることは、ほぼ、ないのでは」

全国各地で行われるタイトル戦で、検分は非常に大事な作業だ。夏場だと、クーラーを入れるのか。窓からの風に頼る場合は、車の騒音などへの配慮も必要だ。ちょっとしたことが集中力に影響し、勝敗につながる。

王位戦の“舞台”となる将棋盤と、ふた組の駒の候補。工藤学さんの解説にも熱がこもる(小室泰規撮影)
王位戦の“舞台”となる将棋盤と、ふた組の駒の候補。工藤学さんの解説にも熱がこもる(小室泰規撮影)

■羽生九段好み

今回用意した駒のひと組は、菅井竜也王位(当時)に豊島将之棋聖(同)が挑戦した2018年8月の王位戦第3局(ホテルエミシア札幌)で、初めて使われた。昨年の王位戦第2局(京王プラザホテル札幌)でも使用された。木村さんは、この後の対局で勝ち星を重ね、王位を獲得した。

駒には作者名として「竹風(ちくふう)」と刻まれている。新潟県在住の大竹竹風(おおたけ・ちくふう)氏で、羽生善治九段が好む駒として知られている。

大竹竹風氏の名前が刻まれている駒。対局を前に、出番を待つ(小室泰規撮影)
大竹竹風氏の名前が刻まれている駒。対局を前に、出番を待つ(小室泰規撮影)

■二つの「王将」

もうひと組は、渡部愛(まな)女流王位(当時)と里見香奈女流四冠が対戦した19年5月の女流王位戦第2局(帯広市のとかちプラザ)で初めて使われた。この時、木村さんは立会人を務めた。

駒に刻まれている作者名は、「静山(せいざん)」。東京最後の名工と言われた故金井静山(かない・せいざん)氏だ。ふつう、「王将」の表記は、二つある片方が「玉将」だが、静山は二つとも、点のない「王将」で、非常に珍しいという。

金井静山氏の名前が刻まれている駒。二つとも点のない「王将」と記されているのが特徴だ(小室泰規撮影)
金井静山氏の名前が刻まれている駒。二つとも点のない「王将」と記されているのが特徴だ(小室泰規撮影)

■「デビュー戦」の証し

今回、候補に選ばれた駒は、ふた組とも「木村さんにゆかりのある駒」だ。工藤さんは、こう解説を続ける。

ふた組の駒は、北海道将棋連盟常務理事・事務局長を務め、道内の将棋振興に尽くした故新井田基信(にいだ・もとのぶ)さんの家族が、連合会に寄贈した。文字を漆で盛り上げて作る「盛り上げ駒」で、タイトル戦の「常連」だ。

駒は、タイトル戦で対局棋士から選ばれて使用されると、「デビュー」を飾った証しとして、箱に対戦棋士と立会人がサインをする慣例があるという。

19年5月にデビューしたふた組目の駒には、立会人として木村さんの名前が記されている。

サインをするのは、対局中の時間のある時。終了後だったり、昼休みだったりさまざまだ。ちなみに、その後、いかにビッグネームの棋士の対局が行われようとも、サインが入るのはデビュー戦のみ。工藤さんは語る。「それだけに、勝利した棋士にとっては思い入れがあり、使いたい駒になるでしょうね」

■どちらの駒で?

美しく木目が映える将棋盤。30年以上、熱い対局を演出してきた(小室泰規撮影)
美しく木目が映える将棋盤。30年以上、熱い対局を演出してきた(小室泰規撮影)

盤も30年以上、道内のタイトル戦で使われており、北海道将棋連盟の設立に尽力した故福井資明(ふくい・すけあき)さんが使用していた。将棋盤の最高峰とも言われる国産の本榧(ほんかや)で、美しく木目が映える。

対局に際し、連合会は肘掛けや座布団も用意する。さらに、控室で記者や棋士らが、棋譜をもとに戦局を分析するための盤と駒も準備する。

さて、本番で、どちらの駒が用いられるのか―。工藤さんは、こう予想する。

「木村さんは、昨年の王位獲得のシリーズで使ったひと組目の駒を選ぶのではないでしょうか」

女流王位戦で木村さんが立会人を務めた際の駒(上)と、昨年の王位戦札幌対局で使われた駒。駒が「デビュー」を飾った時に棋士と立会人がサインする(小室泰規撮影)
女流王位戦で木村さんが立会人を務めた際の駒(上)と、昨年の王位戦札幌対局で使われた駒。駒が「デビュー」を飾った時に棋士と立会人がサインする(小室泰規撮影)

情報源:王位戦で使う将棋盤と駒 どう選ぶ? 木村王位vs藤井七段(北海道新聞) – Yahoo!ニュースコメント

情報源:<みなぶん>タイトル戦の将棋盤と駒 どう選ぶ?:北海道新聞 どうしん電子版


https://twitter.com/doushinhoudouc/status/1281015049914429440


  


木村一基王位  vs △藤井聡太七段(棋譜を見る

木村一基王位の先手


 



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