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将棋AI研究、戦法に変化 名人戦・A級順位戦、5年前と比較:朝日新聞デジタル

ふむ・・・


2020年4月6日 16時30分

将棋の戦法の流行は時代と共に移り変わる。近年、その変遷に大きな影響を与えているのが人工知能(AI)を搭載した将棋ソフトだ。棋士が研究に活用するようになり、公式戦で減った戦法もある。渡辺明三冠が9戦全勝した2019年度の第78期将棋名人戦・A級順位戦(朝日新聞社、毎日新聞社主催)と、5年前の第73期のA級で指された将棋から傾向を分析した。

第73期では、行方尚史八段(当時)が4者プレーオフを制して、羽生善治名人(同)への挑戦権を獲得した。この期の45局のうち、居飛車の主力戦法は角換わりと矢倉、そして横歩取りだった。

横歩取りは後手側が誘導する戦法だ。矢倉や角換わりは先手が主導権を握りやすく、後手の棋士がそれを避ける意味で選ぶことが多い。「中原囲い」や「8五飛戦法」といった新しい手法の登場もあり、進化を続けてきた。

しかし、横歩取りは公式戦であまり見られなくなってきている。第73期は7局指されたが、第78期は2局。何が起きたのか。

横歩取りを武器に名人3連覇も果たした佐藤天彦九段は「プロの間では、『青野流』への対策が難しいと考えられている」と話す。

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青野流は、横歩取りの先手側の手法の一つで、青野照市九段が先駆けとなって広めた。図1が基本図で、先手はここから▲3七桂~▲4五桂、▲7七桂~▲6五桂と2枚の桂で速攻を狙う。佐藤自身、防衛戦だった昨年の名人戦第1局の指し直し局で横歩取りを用いたが、豊島将之・現名人の青野流に敗れた。

さらに佐藤によると、横歩取りの後手側はソフトの評価も低いという。「先手の初手▲7六歩には、△8四歩と応じて、横歩取り以外の作戦を選んだ方が得」という考えが、棋士とソフトの共通認識になりつつある。「トップクラスの棋士が採用しなくなると有力な対策も進まず、さらに勝率がダウンしていく。負のスパイラルになっている」と佐藤は言う。

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横歩取りと同様、実戦例が減った先手番の戦法が矢倉だ。長年、居飛車党の「王道」で、第73期では10局指されていた。しかし、ソフト発の後手番の作戦「左美濃急戦」の登場で風向きが変わった。図2が一例の形で、△6五歩~△7五歩と速攻を仕掛ける狙い。先手が守勢を強いられることが増え、先手になった棋士が矢倉を目指すことが少なくなった。

ただ、横歩取りとは違い、矢倉は復活の兆しもみえる。第78期での局数は5局だが、そのうち4局は後半の7~9回戦で指された。先手だった7、9回戦で矢倉を指した木村一基王位は「後手の急戦が脅威だったが、駒組みに工夫を施すことで攻め味が増えてきた」と話す。第79期は、矢倉の局数がさらに増えるかもしれない。

■新手法発見、増えた「力戦」

横歩取りと矢倉の減少に伴い、採用が増えた相居飛車の作戦もある。相懸かりと、「雁木(がんぎ)」を始めとする力戦だ。いずれもソフト発の新しい手法の発見が背景にあり、第78期ではいずれも採用が6局を数えた。

一方、ソフトの影響は大きくないものの、振り飛車においても作戦の多様化が目立った。第78期では佐藤康光九段が「ダイレクト向かい飛車」を多用し、糸谷哲郎八段は「阪田流向かい飛車」を披露。振り飛車党の久保利明九段は、角道を止めた四間飛車、中飛車、三間飛車、向かい飛車を使い分け、多芸ぶりを改めて印象づけた。(村瀬信也)

情報源:将棋AI研究、戦法に変化 名人戦・A級順位戦、5年前と比較:朝日新聞デジタル



 



矢倉は藤井七段がたまに使ってるよな。