ふむ・・・
2019年11月21日16時30分
杉本昌隆八段の「棋道愛楽」
最近の棋士は、ファンの方からプレゼントをいただくことが増えました。ネクタイやハンカチなどが多く、対局に使えるので重宝します。
将棋会館に届くプレゼントは、やはり藤井聡太七段が圧倒的に多いようです。バレンタインデーには段ボールいっぱいのチョコレートが届くとか。持って帰るのが大変ですね。
私も藤井七段の師匠ということで、プレゼントをいただく機会が増えました。正直なところ、20代の頃よりはるかに増えています。こんなとき、返す返すも素晴らしい弟子だと感心……いや、普段から思っていますが、よりそれを感じます。
多いのは、私宛てに藤井七段と2人分のプレゼントが届くケース。もちろん責任をもってちゃんと渡します。ときに、おそろいのネクタイをいただきます。さすがに同じ日に使うと気恥ずかしいので、お互いの柄を確認するようにしています。
喜び過ぎると落とし穴もあります。私宛てに届いた小包の中に、贈り物が一つと2通の手紙。1通は藤井七段宛てで、自分宛ての手紙には「このネクタイを藤井七段に渡してください」。うん、これも師匠の大事な役目ですが、ちょっと複雑な気分でした。
基本的に師匠は弟子にプレゼントをしませんが、節目の勝利などで誕生日近くに会った時は「この前の勝利も兼ねて」と何かを渡すこともあります。
一昨年は学生の藤井七段にピッタリだろうと、都道府県の形で視力検査ができるちょっと珍しいノートやペンを渡しました。取材で話したところ、その日の晩、そのメーカーからお礼のメールが届いてビックリしたものです。
昨年は、かつおの生節でした。なぜ、かつお? 直前に高知で仕事があり、お土産を兼ねていたからです。脳の働きに良い栄養素が豊富で、我ながら抜群のセンスだと自負しましたが、さすがの藤井七段も意表を突かれた様子でした。今年は鉄道ファンの藤井七段に似合うだろうと、新幹線型のネクタイピンを贈りました。
イベント会場でお菓子などの差し入れをいただくことも多く、うれしいものです。ぬいぐるみや地元でとれた野菜など思わぬものもあり、驚いたことも。甘納豆と浜納豆を一つずついただいた際は、違いを私が説明して藤井七段と分けました。
棋士にとっての最高のプレゼントは公式戦の勝利であり、これは自分で勝ち取るしかありません。しかし、弟子から大きな「プレゼント」をもらうこともあります。
11月の私の誕生日の翌日、藤井七段は王将戦の挑戦者決定リーグ戦で久保利明九段に勝利。タイトル挑戦の最年少記録まで、あと一歩に迫りました。もちろん偶然ですが、師匠としては最高の贈り物をもらった気分です。
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すぎもと・まさたか 1968年、名古屋市生まれ。90年に四段に昇段し、2019年2月に八段。第20回朝日オープン将棋選手権準優勝。藤井聡太七段の師匠でもある。
情報源:藤井聡太七段、師匠から贈られた誕生日プレゼントとは?:朝日新聞デジタル
村)杉本八段のコラムです→「私も藤井七段の師匠ということで、プレゼントをいただく機会が増えました。正直なところ、20代の頃よりはるかに増えています」「喜び過ぎると落とし穴もあります」
藤井聡太七段、師匠から贈られた誕生日プレゼントとは?:朝日新聞デジタル https://t.co/QvpWmdc7TQ— 朝日新聞将棋取材班 (@asahi_shogi) November 21, 2019
ほぉ・・・