今の時代で全冠制覇は難しそうだけどな・・・
【勝負師たちの系譜】
最近あちこちで「ポスト羽生は誰か」という言葉を見かける。つまり、羽生善治九段の後継者は誰か、誰が次の覇者になるのかということだが、羽生の後継者という言葉には大変な意味がある。
何せ羽生は、七冠すべてを制覇した棋士であり、誰も勝てなかった時代が長く続いたからである。現在は八冠あるタイトルのうち、渡辺明三冠(棋王・王将・棋聖)が一番多く、永瀬拓矢二冠(叡王・王座)の他は、広瀬章人竜王、豊島将之名人、木村一基王位が一つずつと、5人でタイトルを分け合っている状況だ。しかも今年は、棋王を除いてすべて挑戦者が勝つという、下剋上の年となっている。
私はかつて、棋士の明るさを星に例えたことがある。棋戦でランクのある順位戦のA級を1、竜王戦の1組を1とし、一つ下がるごとに足していく。そしてタイトルを持っている数だけ、数字を引くのである。
つまりA級で1組は2等星、名人か竜王を持っている人は1等星という具合だ。
これで行くと渡辺はマイナス1等星。後のタイトル保持者はすべて1等星で、渡辺が一番輝いている訳だが、羽生の七冠時代はマイナス6等星で、夜空に輝く月と星くらいの差があったことになる。
今だと棋界制覇と言えるのは、過半数の五冠くらいにならないと相応しくないかと思う。現在は残念ながら、それだけ飛び抜けた棋士はいないということになる。
前述の計算方法では、どうしても違和感のある棋士もいる。代表は藤井聡太七段で、計算上は7等星だから、肉眼ではほとんど見えない明るさだが、実際は一番輝いて見える星とも言える。
現在注目されているのは王将リーグだ。定員は7人で、タイトル保持者でも弾かれてしまう過酷なリーグを、現在3勝1敗。直近の対羽生戦は、堂々たる勝ち方で、羽生に初の土をつけた。
藤井はまだ対局数は少ないが、ほとんどの棋士に勝ち越しているので、将来のポスト羽生を狙える可能性は、順位戦全勝の渡辺と共にある。
今回の王将リーグで挑戦者になれば、また大いに話題となるであろう。
■青野照市(あおの・てるいち) 1953年1月31日、静岡県焼津市生まれ。68年に4級で故廣津久雄九段門下に入る。74年に四段に昇段し、プロ棋士となる。94年に九段。A級通算11期。これまでに勝率第一位賞や連勝賞、升田幸三賞を獲得。将棋の国際普及にも努め、2011年に外務大臣表彰を受けた。13年から17年2月まで、日本将棋連盟専務理事を務めた。
情報源:ポスト羽生は誰か “七冠すべてを制覇”した棋士の「後継者」という言葉には大きな意味 勝負師たちの系譜(夕刊フジ) – Yahoo!ニュース(コメント)
情報源:【勝負師たちの系譜】ポスト羽生は誰か “七冠すべてを制覇”した棋士の「後継者」という言葉には大きな意味 (1/2ページ) – zakzak:夕刊フジ公式サイト
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