アマ強豪が増加、ユーチューバ-も プロとアマの差は?:朝日新聞デジタル

ふむ・・・


2019年10月24日13時36分

東京・将棋会館の大広間で行われたプロアマ戦一斉対局。対局開始の模様をファンが観戦した=2019年6月29日午前10時、東京都渋谷区の将棋会館、村上耕司撮影
東京・将棋会館の大広間で行われたプロアマ戦一斉対局。対局開始の模様をファンが観戦した=2019年6月29日午前10時、東京都渋谷区の将棋会館、村上耕司撮影

杉本昌隆八段の「棋道愛楽」

将棋界でプロといえば、奨励会を抜けた四段棋士のこと。プロとアマは制度上、はっきりと分けられています。

近年、プロ顔負けのアマ強豪が増えています。朝日杯将棋オープン戦では毎年10人のアマが出場し、プロアマ戦は対抗戦の様相で壮観です。一昨年は藤井聡太七段も現役東大生と対局して話題になりました。プロ側にはちょっとプレッシャーがかかる場面ですが、プロアマ戦は盛り上がるのです。

技術において、プロとアマの大きな違いは時間の配分です。例えば、プロが指す名人戦順位戦の持ち時間は6時間。対局中は、納得のいくまでとことん考え抜きます。自分のミスで相手にリードを許した場合、それが髪の毛1本程度の差でも最後まで縮まらず、逃げ切られてしまうからです。

一方、アマ大会は持ち時間が短く、序盤に時間を使えません。必然的に終盤の勝負が多くなります。両者の対局で、プロが「ここは急所」と思う局面でも比較的あっさり通り過ぎ、プロが形勢をリード。しかし、終盤戦に照準を合わせていたアマが怒涛(どとう)の追い込みで逆転。こんな進行をよく見ます。

プロである以上、アマ戦で結果を求められるのは、ある意味当然。しかし、公式戦でプロが敗北を喫するケースは一定数あります。これは主戦場の違いから読みの波長が合いにくく、プロ側が戸惑うのも原因と思われます。

アマ戦の前は、事前の調整法や挑む心構えも変わります。前述の朝日杯。私は2回戦で、プロ対アマの勝者と対局することが決まっていました。

どちらも強敵ですが、その結果で心の準備は全く変わります。結局、プロが勝ち、私の対アマ戦は実現しませんでしたが、落ち着かない気分でその対局中継を見ていた記憶があります。タイトルにつながる棋戦の出場も可能な現代は、アマ側にも夢があります。

アマからプロへの転身といえば、瀬川晶司六段が有名です。奨励会を退会後、サラリーマンをしながらアマ強豪として活躍。対プロ戦も7割以上の勝率を挙げました。奨励会を卒業するしかなかったプロへの道を、「フリークラス編入試験」につなげたのは瀬川六段の活躍があったから。後に映画化されるほどの大きな話題でした。

今泉健司四段も異色の経歴です。奨励会退会後、介護職などに就きながら三段リーグに再挑戦、そしてプロ編入試験で合格して棋士に。41歳で最年長四段の記録達成でした。

現在の注目はユーチューバーとしても知られる折田翔吾アマでしょう。対プロ戦10勝2敗の好成績でプロ編入試験の資格を取得。(プロ入りから日が浅い)棋士番号の大きい順番に若手棋士5人との五番勝負で勝ち越せば、新制度での3人目のプロ誕生です。大きな注目を集めるであろうこの勝負。熱戦を期待しています。

肩書ではなく、技術や取り組む姿勢、ファンへの接し方など、個々の「プロフェッショナル」さが問われる時代です。自分のためではなく、人に喜んでもらうために仕事をするのがプロ。これは他の世界も同じでしょう。私も棋士として、あらためてプロの仕事を心がけたいものです。

すぎもと・まさたか 1968年、名古屋市生まれ。90年に四段に昇段し、2019年2月に八段。第20回朝日オープン将棋選手権準優勝。藤井聡太七段の師匠でもある。

情報源:アマ強豪が増加、ユーチューバ-も プロとアマの差は?:朝日新聞デジタル



アマ強豪って、元奨もけっこういるらしいからな・・・