将棋の強いおじさん、大熱戦 王位に大長考させた7七金:朝日新聞デジタル

9月25日・26日の最終第7局、ぜひとも奪取してほしいな・・・


2019年9月22日16時00分

王位戦第6局を振り返る木村一基九段=9月10日、神奈川県秦野市
王位戦第6局を振り返る木村一基九段=9月10日、神奈川県秦野市

豊島将之王位(29)に木村一基九段(46)が挑戦している第60期王位戦七番勝負(新聞三社連合主催)に、将棋ファンの熱い視線が注がれている。苦労人として知られる木村九段が、悲願のタイトル獲得まであと1勝と迫っているためだ。勝てば、初タイトル獲得の最年長記録となる。名人も保持する豊島王位が勝てば、初防衛を果たす。ここまで両者3勝3敗。互いに譲れない最終第7局は、25、26の両日に都内のホテルで指される。

9、10の両日、神奈川県秦野市で第6局が指された。ここまで2勝3敗の木村九段は後がない戦いだったが、1日目午後に指した力強い一手「7七金」が相手の意表をついた。豊島王位は2時間32分の長考を強いられたが、その後は自信が持てない展開だったという。木村九段はこの将棋を制してタイに持ち込んだ。

最終局に向けて、木村九段は「『いつも通り』ということを心がけてやりたい」、豊島王位は「悔いが残らないようにしたい」と話した。

木村九段は6月、王位戦の挑戦者決定戦で羽生善治九段(48)と対戦。大勝負を制して3年ぶり7回目のタイトル挑戦を決めた。

木村九段は軽妙な語り口で解説者としても人気があり、「千駄ケ谷の受け師」「将棋の強いおじさん」の愛称で親しまれる。名人挑戦権を争うA級順位戦に在籍するトップ棋士だが、過去6回のタイトル戦はいずれも敗れている。タイトル未獲得の棋士の中では最多タイだ。10年前の王位戦では、3連勝して「あと1勝」に迫りながら、4連敗を喫した。

将棋界は近年、世代交代が進み、現在5人いるタイトル保持者はいずれも20代か30代だ。木村九段は挑戦を決めた日に、「最近はタイトル戦で立会人を務めることが多くなり、挑戦はないと思っていた。ストレートで負けないように、というのが正直なところ」と控えめに語っていた。だが、ふたを開けてみると大熱戦になった。

木村九段が王位戦第7局に勝てば、46歳3カ月での初タイトル獲得となり、引退した有吉道夫九段(84)の37歳6カ月を46年ぶりに更新する。木村九段は23歳9カ月でプロ入りしたが、タイトルを取った棋士のプロ入りの年齢としても最年長記録となる。

一方、豊島王位にとっても、ここは踏ん張りどころだ。今年は5月に名人を獲得したものの、7月に棋聖を失った。この王位戦に勝てば、タイトル初防衛を果たす。

両者は8月から今月にかけて、竜王戦の挑戦者決定三番勝負でも対戦。豊島王位が2勝1敗で制した。王位戦とあわせた「十番勝負」は、いよいよクライマックスを迎える。(村瀬信也)

情報源:将棋の強いおじさん、大熱戦 王位に大長考させた7七金:朝日新聞デジタル




ちなみに、25日には第61期王位戦の予選で、藤井聡太七段が登場します。こちらもAbemaTVで中継されます。