(大志 藤井聡太のいる時代)激闘編:3 最終盤の強手、ベテラン「私なら怖くて指せない」:朝日新聞デジタル

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2019年7月7日05時00分

井上慶太九段(右)に敗れた藤井聡太六段(左)。感想戦では両者、笑顔も
井上慶太九段(右)に敗れた藤井聡太六段(左)。感想戦では両者、笑顔も

2018年3月28日。中学3年だった藤井聡太(そうた)七段(16)=当時六段=の17年度の最終戦が、大阪市福島区の関西将棋会館であった。対戦相手は、日本将棋連盟常務理事の井上慶太九段(55)だった。

先手の井上が得意の戦型「矢倉(やぐら)」を目指すと、藤井もそれに応じた。終盤に「勝負手(しょうぶて)のような感じ」で井上が持ち駒の角を盤上に放ち、藤井の玉に王手を掛けた局面がクライマックスだった。藤井の持ち時間は残り2分しかない。相手の角と自玉の間に持ち駒を打つ「合駒」をすれば王手を防げるが、攻めに使える駒も減る。藤井は1分を使って、持ち駒を温存し、玉を逃がす手を選んだ。

「玉が逃げる手を指され、ちょっと衝撃があった。私なら怖くて指せない『強手』。『王者の感覚』と思いました」。井上は対藤井戦をこう振り返る。「藤井七段は羽生善治九段(48)と似ている」とも。相手の得意戦法を避けず、相手にベストパフォーマンスをさせて負かそうとする姿勢が重なった。井上は1996年、七冠達成後の羽生に初めて勝った棋士でもある。

結局、藤井との対局は137手で井上が勝った。玉を逃がした手に対して絶好手があった。井上は、藤井に公式戦で勝った最年長の棋士となった。

対局の晩、結果がNHKテレビのニュースで全国放送された。井上はそれを行きつけの寿司屋(すしや)で見た。「今までの人生で一番、勝利を祝うメールが届きました」。店の求めで色紙に「放心(ほうしん)」と揮毫(きごう)した。50代のベテラン棋士が、藤井と無我夢中で戦い終えた後の正直な気持ちだった。

井上一門は弟子の稲葉陽(あきら)八段(30)や菅井竜也(たつや)七段(27)も藤井に勝ち、「藤井キラー」と評されるようになる。だが、井上はこう思っている。「弟子には藤井さんとずっと勝負できる棋士であって欲しい。かつての『藤井キラー』ではなく、藤井さんと切磋琢磨(せっさたくま)し続ける一門であって欲しい」=敬称略(佐藤圭司)

◆毎週日曜に掲載します。

情報源:(大志 藤井聡太のいる時代)激闘編:3 最終盤の強手、ベテラン「私なら怖くて指せない」(朝日新聞デジタル) – Yahoo!ニュースコメント

情報源:(大志 藤井聡太のいる時代)激闘編:3 最終盤の強手、ベテラン「私なら怖くて指せない」:朝日新聞デジタル



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