(大志 藤井聡太のいる時代)番外編:3 熱気の中の大勝負 広瀬、鷹揚の境地に:朝日新聞デジタル

ふむ・・・


2019年6月2日05時00分

朝日杯将棋オープン戦の決勝で対戦する広瀬章人八段(右)と藤井聡太五段(肩書はいずれも当時)=2018年2月
朝日杯将棋オープン戦の決勝で対戦する広瀬章人八段(右)と藤井聡太五段(肩書はいずれも当時)=2018年2月

「日本中が藤井君のことを応援しているんだろうな、と思いながら指していました」

藤井聡太七段(16)と初めて対戦した時の心境を尋ねると、広瀬章人竜王(32)は苦笑いしながらそう答えた。

2018年2月17日。広瀬は、第11回朝日杯将棋オープン戦の決勝戦に駒を進めた。相手の藤井は直前の準決勝で、過去5回優勝している羽生善治九段(48)を破っていた。

藤井が勝てば、「中学生棋士の棋戦優勝」という史上初の快挙が実現することになる。約600人の将棋ファンが詰めかけた東京・有楽町のホールは、異様な熱気に包まれた。

初めての大舞台で、藤井は人々の記憶に長く刻まれる絶妙手を放つ。終盤、タダで取られる所に打った「▲4四桂」。これが華麗な決め手だった。広瀬は「既に苦しい局面でしたが、鮮やかに勝負を決められました」と脱帽する。

広瀬は、10年に「王位」のタイトルを23歳で獲得したトップ棋士だ。藤井と対戦した時点では無冠だったが、この後、波に乗った。9月に竜王戦で初めて挑戦権を獲得。相手は、史上初の「タイトル獲得通算100期」まで、あと一つと迫った羽生だった。

世間の注目は、「羽生の偉業達成なるか」に集まった。広瀬自身、対局前日に開かれる前夜祭などの際に羽生への声援の多さを感じたが、そうした雰囲気に徐々に慣れていったという。両者3勝3敗で迎えた第7局を制したのは広瀬だった。翌朝の記者会見で広瀬が披露した色紙には、「悠然と落ち着いている様子」を表す「鷹揚(おうよう)」の2文字が揮毫(きごう)されていた。

将棋界の「顔」とも言うべき藤井、羽生の2人と、まれに見る大勝負を戦った広瀬。「昨年は国民的スターとどう戦うかがテーマとなる年でした」と振り返りつつ、こう語る。「藤井君と対局した経験は、竜王戦を戦う上でプラスになったと思います」=敬称略(村瀬信也)

◆毎週日曜に掲載します。

情報源:(大志 藤井聡太のいる時代)番外編:3 熱気の中の大勝負 広瀬、鷹揚の境地に:朝日新聞デジタル


へぇ・・・