名人4連覇なるか 佐藤天彦名人「目の前の対局に集中する」10日から開幕/名人戦七番勝負

佐藤名人と豊島二冠が対局室「検分」 名人戦第1局前に

両対局者による検分(盤駒、照明や室温、窓からの日差しなど)


2019年4月9日19時32分

佐藤天彦名人に豊島将之二冠が挑む第77期将棋名人戦七番勝負(朝日新聞社、毎日新聞社主催、大和証券グループ協賛)は、第1局が4月10日から、東京都文京区のホテル椿山荘東京で始まります。注目の第1局の様子を詳しくお伝えします。

対局者が意気込み

前夜祭で花束を贈られた佐藤天彦名人(右)と挑戦者の豊島将之二冠(左)=2019年4月9日午後9時11分、東京都文京区のホテル椿山荘東京、迫和義撮影
前夜祭で花束を贈られた佐藤天彦名人(右)と挑戦者の豊島将之二冠(左)=2019年4月9日午後9時11分、東京都文京区のホテル椿山荘東京、迫和義撮影

花束が贈呈された後、両対局者が決意表明に立った。

豊島二冠は「名人戦は歴史と伝統のある棋戦で、棋士になってすぐに挑戦することができない。順位戦で一つずつクラスを上げていって立てる舞台なので、こうして舞台に立てることを本当にうれしく思います。また、佐藤名人は奨励会のころから戦ってきた相手。そういう相手と名人戦で戦えることをうれしく思っています。椿山荘はかなり前に勉強で来たことがあったけれど、対局室に入ることはできませんでした。今回こうしてすばらしい場所で対局できるということなので、楽しみながら、また、みなさまに楽しんでいただけるような熱戦にできるよう、頑張っていきたい」と話した。

佐藤名人は「この時期になると名人戦が始まるなという気持ちになってくる。技術面、精神面を含めて準備をしてくるが、前日にならないと思い出せないこともたくさんある。豊島さんは平成生まれで、僕も昭和63年で平成とともに生きてきた。ログイン前の続き平成最後の名人戦を迎えることができて、平成とともに歩んだ棋士としてフレッシュな、新しい時代を感じていただけるような将棋を指せていければと思います」と話した。

対局の展開、棋士が予想

前夜祭も半ばを過ぎ、両対局者が明日に備えて退場した後は、第1局に携わる棋士が「今期名人戦のみどころ」について壇上で語った。

立会人の島朗九段は、佐藤名人の名人戦での実績を「羽生さんに(名人戦七番勝負で)二回勝ったのは(すごいことで)、他の棋士に勇気を与えた」と、たたえた。今期名人戦は「次世代のナンバーワンを決める戦い」と位置付けた。

戦型予想を尋ねられたのに対し、副立会人の松尾歩八段は「角換わり、一点読みです。でも、意外と外れるかもしれません」。もう一人の副立会人の戸辺誠七段は「角換わり」としながらも、「後手番の時にどう変化するかが一つの見どころ」と指摘。「特に佐藤名人は後手番の時に工夫をこらしたりしています」。

現地で大盤解説を担当する金井恒太六段は「明日は、豊島さんが先手番で、横歩取りになると思います」と大胆予想。「みなさん、1年前を思い出してください。名人は、『ここぞ!』というところで、(横歩取りという)切り札を持って来ます」。確かに、前期名人戦第1局は、羽生挑戦者が先手番となり、後手番の佐藤名人が誘導するような進行で、横歩取りの将棋に進んだ。ただし、97手で先手の羽生挑戦者が勝っている。

棋士たちは「最近の名人戦は1日目から激しい展開になることも多いです。ぜひ、ご注目ください」と話していた。

前夜祭に500人

第77期将棋名人戦第1局の前夜祭が4月9日午後6時、対局場のホテル椿山荘東京であり、将棋ファンら約500人が参加して盛大に催された。

佐藤天彦名人(31)と挑戦者の豊島将之二冠(28)を前に、日本将棋連盟の佐藤康光会長があいさつし、「二人とも研究熱心。豊島二冠は作戦巧者というより、序盤強者。序盤からリードして勝ちに結びつけるイメージ。佐藤名人は落ち着いて、手厚い将棋を好まれる。常に動じない、ぶれない、芯の強さは盤上でも際立つ」と紹介した。

また、2人の共通項を「女性ファンの人気が高い」「佐藤名人は、師匠の師匠が大山先生(=康晴・十五世名人)。豊島さんの師匠の桐山先生(=清澄九段)も名人に登場されたことがある。名人戦に縁の深い一門同士の対決」と指摘。「見どころの多い今期名人戦を、さまざまな角度から楽しんでいただけましたら」と結んだ。

横浜F・マリノスの波戸康広アンバサダーが乾杯の発声をし、「名人戦は本当に重きのあるタイトル。このプレッシャーは、このお二人にしか味わえないこと。エキサインティングな対局を期待しています」と両対局者にエールを送った。

玉が二つの駒

名人戦第一局で使用される駒。「玉将」が2枚ある=9日午後、ホテル椿山荘東京、迫和義撮影
名人戦第一局で使用される駒。「玉将」が2枚ある=9日午後、ホテル椿山荘東京、迫和義撮影

両対局者が検分

第1局の対局室を検分する佐藤天彦名人(左)と挑戦者の豊島将之二冠=2019年4月9日午後4時57分、東京都文京区のホテル椿山荘東京、迫和義撮影
第1局の対局室を検分する佐藤天彦名人(左)と挑戦者の豊島将之二冠=2019年4月9日午後4時57分、東京都文京区のホテル椿山荘東京、迫和義撮影

第1局前日の9日夕、対局者の佐藤天彦名人、豊島将之二冠、立会人の島朗九段らがそろって対局室の検分に臨み、使用する将棋盤や駒、部屋の明るさなどを確認した。

盤と駒は日本将棋連盟所蔵のもので、名人戦でしか使われない逸品。佐藤名人が駒箱から駒を取り出し、両者が3枚ずつ盤上に並べ、感触を確認した。検分は5分ほどで終わり、その後、両対局者に一人ずつインタビューが行われた。

佐藤名人は「春を迎えて今年も名人戦が始まるんだなという感慨がある。長丁場なので、目の前の対局に集中したい。豊島二冠は関西奨励会で一緒で、長い間見てきた。敬意を抱きながら学んでいって、自分自身も高めてもらいながら力を出していい勝負を戦いたい」、豊島二冠は「名人戦で指せるということが非常にうれしいし、幸せなことだなと思っています。いよいよ始まるんだなという感じです。佐藤名人は奨励会時代から戦ってきたので、名人戦で指せるのはうれしい」と話した。(村上耕司、佐藤圭司、村瀬信也)

情報源:佐藤名人と豊島二冠が対局室「検分」 名人戦第1局前に:朝日新聞デジタル


2019年4月9日21時06分

佐藤天彦(あまひこ)名人(31)に豊島(とよしま)将之二冠(28)が挑戦する第77期将棋名人戦七番勝負(朝日新聞社、毎日新聞社主催、大和証券グループ協賛)の第1局の前夜祭が9日午後6時から、東京都文京区のホテル椿山荘東京で開かれ、ファンら約500人が集まった。

対局は10日に始まり、佐藤名人は4連覇、昨年、棋聖と王位を獲得した豊島二冠は三冠獲得がかかる。最高峰の戦いにふさわしい顔合わせとなった。豊島は、平成生まれの棋士として名人戦初登場となる。

日本将棋連盟の佐藤康光会長(49)は「頂上決戦にふさわしいカードとなった。今年もよりいっそう濃密な戦いになることを期待しています」とあいさつした。両対局者はファンとの記念撮影に応じるなど、交流を深めた。

豊島二冠は「名人戦は歴史と伝統のある棋戦で、棋士になってすぐに挑戦することができない。順位戦で一つずつクラスを上げていって立てる舞台なので、こうして舞台に立てることを本当にうれしく思います」。佐藤名人は「平成とともに歩んだ棋士としてフレッシュな、新しい時代を感じていただけるような将棋を指せていければと思います」とそれぞれ話した。

対局は2日制で、持ち時間は各9時間。10日午前9時に始まり、夕方に封じ手を行う。11日午前9時に再開し、夜までに決着する見込み。立会人は島朗九段(56)。

対局の模様や棋譜は、朝日新聞デジタルの将棋ページ(http://www.asahi.com/shougi/)で随時お伝えします。現地の大盤解説会は10日が午後2時半から同6時半まで、11日が午後2時から終局まで。2日通し券3千円、1日券2千円。(村瀬信也、村上耕司)

情報源:将棋名人戦が10日開幕 4連覇か、勢いのまま3冠か(朝日新聞デジタル) – Yahoo!ニュースコメント

情報源:将棋名人戦が10日開幕 4連覇か、勢いのまま3冠か:朝日新聞デジタル


まもなく平成が終わる時、平成生まれとしては初の名人が誕生するかもしれない。4月10日から開幕する名人戦七番勝負で、3連覇中の佐藤天彦名人(31)に挑戦するのが、豊島将之二冠(28)だ。自身初の名人挑戦でもあり、奪取となれば平成生まれの棋士としては初の名人となる。昨年度、王位、棋聖と一気に2つのタイトルを獲得し、将棋大賞でもMVPにあたる最優秀棋士賞に輝いた。9日に行われた前夜祭でインタビューに答えると「名人戦で指せるというのが非常にうれしいし、幸せなことだなと思っています」と語った。

平成生まれ初名人誕生か 豊島将之二冠、初挑戦に「名人戦で指せるのが非常にうれしい」10日から開幕/名人戦七番勝負
平成生まれ初名人誕生か 豊島将之二冠、初挑戦に「名人戦で指せるのが非常にうれしい」10日から開幕/名人戦七番勝負

2007年度のデビュー以来、通算勝率は636局で441勝195敗、勝率.693。トップ棋士との戦いが続く中では、驚異的な高勝率をキープしている。いつタイトルを取ってもおかしくない実力を持ちながら、なかなかタイトルに縁がなかったものの、昨年7月に棋聖位で初タイトル。続けて9月には王位も奪取し、一気に二冠となった。現在、8つあるタイトルで複数を保持しているのは豊島二冠と渡辺明二冠(34)の2人だけ。ここで最も歴史ある名人位を獲得して三冠となれば、まさに棋界トップに君臨すると言っていい。対戦相手となる佐藤名人には、過去11勝6敗と勝ち越しており、現在は4連勝中。相性もいいが「奨励会時代から戦ってきた方なので、名人戦で指せるのはうれしく思いますし、棋風については非常に手厚い将棋で、やっぱり大変な相手だなと思います」と答えた。

名人戦七番勝負は持ち時間9時間の2日制。第1局で振り駒が行われ、以降は先手・後手が入れ替わり、最終第7局になった場合は再度振り駒が行われる。

情報源:平成生まれ初名人誕生か 豊島将之二冠、初挑戦に「名人戦で指せるのが非常にうれしい」10日から開幕/名人戦七番勝負(AbemaTIMES) – Yahoo!ニュースコメント

情報源:平成生まれ初名人誕生か 豊島将之二冠、初挑戦に「名人戦で指せるのが非常にうれしい」10日から開幕/名人戦七番勝負 | AbemaTIMES


名人位4連覇を目指す佐藤天彦名人(31)が4月9日、明日10日から始まる名人戦七番勝負を前に「名人戦は長丁場。目の前の対局に集中する」と意気込みを語った。第1局は10、11日の2日間、東京都文京区の「ホテル椿山荘東京」で行われ、挑戦者は豊島将之二冠(28)。

名人4連覇なるか 佐藤天彦名人「目の前の対局に集中する」10日から開幕/名人戦七番勝負
名人4連覇なるか 佐藤天彦名人「目の前の対局に集中する」10日から開幕/名人戦七番勝負

2016年、羽生善治名人(当時、48)との七番勝負に4勝1敗で勝利し、初タイトルで名人の座についた佐藤名人は、2017年は稲葉陽八段(30)を4勝2敗、2018年には羽生竜王(当時)にも4勝2敗と3期連続で保持。2017年度においては、プロ入り後初めて勝率が5割を切る不調だったが、名人戦では見事に防衛するなど、ここ一番での勝負強さが光っている。

前夜祭が開かれた9日、インタビューに応じた佐藤名人は、過去の対戦成績で6勝11敗と負け越し、かつ4連敗中の豊島二冠に対して「関西奨励会から一緒で、長い間見てきている棋士の一人。勉強熱心というか、コツコツ積み重ねていられる方。プロになっても高い勝率を残されている。短期間ではなく、数年とか10年とか、そういう単位で残されている」と高く評価。その上で「豊島さんは、積み重ねた序盤研究といったものは非常に強みになっていると思いますし、そこで差をつけられて負けることもあったので、自分の持っていないところをお持ちだと思いますので、そういったところに敬意を抱きながら、学んで自分自身を高めながら、持っている力を出していい勝負を戦っていければなと思います」と語った。

名人戦七番勝負は持ち時間9時間の2日制。第1局で振り駒が行われ、以降は先手・後手が入れ替わり、最終第7局になった場合は再度振り駒が行われる。

情報源:名人4連覇なるか 佐藤天彦名人「目の前の対局に集中する」10日から開幕/名人戦七番勝負(AbemaTIMES) – Yahoo!ニュースコメント

情報源:名人4連覇なるか 佐藤天彦名人「目の前の対局に集中する」10日から開幕/名人戦七番勝負 | AbemaTIMES


2019年4月8日20時47分

将棋名人戦に向けて抱負を語る佐藤天彦名人=東京・千駄ケ谷の将棋会館、迫和義撮影
将棋名人戦に向けて抱負を語る佐藤天彦名人=東京・千駄ケ谷の将棋会館、迫和義撮影

今期のA級順位戦は、7勝2敗の羽生さんが挑戦者になれなかったわけですから、かなりハードな争いだったのかなと思います。

その中で豊島さんは非常に安定感があった。序盤の研究をしっかりやって、中盤は一つ一つ丹念に読みを積み重ねる。正確な大局観で容易に悪くならない。終盤で一気に切るというタイプではないですが、確実に勝ちを求めて、リードを守り切る棋風なのかなと思います。A級の戦いぶりも決定的に悪くなるような将棋は多くなかった。

これまで戦った羽生さんや稲葉さんはどちらかといえば中終盤派。自分も同じタイプなので、わりあい波長が合っていたと思いますが、豊島さんの場合は序盤に無駄な時間をかけないという考え方で、かなり局面を先に進めてこられます。

七番勝負は序中盤が大事になるでしょう。比較的早い段階からのつばぜり合いもある。もちろんそれを乗り越えたあとの終盤も熾烈(しれつ)な戦いになることが予想されます。2日間の過ごし方も違うところが出てくる。今までの名人戦とは違った様相になると思います。

豊島さんとは、奨励会時代からずっと切磋琢磨(せっさたくま)してきた。いろんな趣味を求める自分と違い、将棋以外のものをそぎ落としたストイックなところなど、なかなかまねできないところがあります。そういう棋士と戦うことで自分も前に進めればという思いはある。

最近の対戦では、序盤で形勢を損ね、最後までリードを保たれてしまうパターンが多かった。豊島さんの研究の質の高さや量に対抗できていないのかなと思います。負け越しという結果を真摯(しんし)に受け止め、勝つという目的に向けて力を尽くしつつ、学びの気持ちも大事にしてやっていきたい。(聞き手・村上耕司)

さとう・あまひこ 1988年1月、福岡市生まれ。2006年10月に18歳でプロ四段。08年と11年に新人王戦優勝。15年、王座戦でタイトル初挑戦。16年の名人戦で初タイトルを獲得、17年に初防衛、18年に羽生竜王(当時)の挑戦を退け、3連覇を達成した。

情報源:佐藤名人、豊島二冠との七番勝負「序中盤が大事」:朝日新聞デジタル


2019年4月8日20時47分

挑戦者になった豊島将之さん=2019年3月12日午後、大阪市福島区の関西将棋会館、水野義則撮影
挑戦者になった豊島将之さん=2019年3月12日午後、大阪市福島区の関西将棋会館、水野義則撮影

A級順位戦の1~3回戦は、二つのタイトル戦(棋聖戦と王位戦)と時期が重なって、研究時間を確保するのが大変でした。初タイトルの棋聖を獲(と)れたのは気分的に大きかった。全9局のうち5回戦の深浦康市九段戦の勝ちが大きかった。最後まで負けかなと思いながら指した将棋でしたから。

長い歴史がある名人戦に出られるのは、すごく楽しみ。昇級を重ね、階段を一つ一つ昇って、最後にあるのが名人戦ですから。

佐藤名人は居飛車党の本格派で手厚い感じの将棋を好まれる印象。粘り強くて、逆転勝ちが非常に多いのも特徴。精神力や体力に優れ、名人戦にピッタリ。大変な戦いになると覚悟しています。過去の対戦では勝ち越しですが、2011年の新人王戦三番勝負は1勝2敗で負け、16年の将棋日本シリーズ決勝は勝ち。大舞台で結構当たって、勝ったり負けたり、と思っています。

佐藤名人は私の3学年上で、関西奨励会にも私より1年早く入会。他の奨励会員がワイワイ楽しそうにやっていても、勝負しに来ているというオーラが出ていました。

名人戦は長丁場。最初からあまり思い詰めて指すと息切れしかねません。せっかくの名人戦ですので楽しみながら指して、最後で粘り強さを発揮できたら。2日間、ずっと難しい局面を考え続けて、最後でもう一回、難しい局面に取り組み直すような気力を問われる気がします。

9時間という持ち時間に、私が適応できるのかということもポイント。私が経験してきた王将戦や王位戦は2日制ですが、8時間制。名人戦は2日目の夕方、結構、緊迫したところで30分の休憩が入る。そこが独特で、勝負の分かれ目になりそうです。(聞き手・佐藤圭司)

とよしま・まさゆき 1990年4月、愛知県一宮市生まれ。2007年4月に16歳でプロ四段。王将戦で11年にタイトル初挑戦。18年には棋聖戦で羽生棋聖(当時)を破って初タイトルを獲得。同年に王位も奪取し、二冠となった。

情報源:豊島二冠、長丁場の名人戦 「気力を問われる気が…」:朝日新聞デジタル



奪取か、防衛か、初戦を取るのはどちらだ?