ふむ・・・
2019年2月19日 17時47分
自動車大手のホンダは2021年中にイギリス南部にある工場での自動車の生産を終了する方針を正式に発表しました。世界的な自動車の生産体制の見直しの一環だとしています。
発表によりますと、ホンダは2021年中にイギリスの南部、スウィンドンにある工場での生産を終了し、閉鎖する方針を決め労働組合との協議を始めました。
工場で働くおよそ3500人の従業員については、支援を行っていくとしています。
この工場はホンダのヨーロッパ唯一の自動車の生産拠点で、年間16万台の生産台数のうち、およそ35%がヨーロッパ向けで、そのほかはアメリカや日本などに輸出されています。
しかし、ヨーロッパ市場での販売が低迷していることに加え、今後、車の電動化で新たな設備投資を行うと採算が悪化するおそれもあるとして、今回の方針を決めました。ヨーロッパ向けの自動車は日本や中国からの輸出に切り替えるということです。
これについて、ホンダは世界的な自動車の生産体制の見直しの一環だとしており、ヨーロッパ向けにも輸出していたトルコの工場についても、2021年中に生産を終了するとしています。
背景には来月29日に迫ったイギリスのEU離脱による生産や販売への影響が見通せないこともあると見られますが、ホンダの八郷隆弘社長は記者会見で「EU離脱とは関係ないものと理解してもらいたい」と述べました。
そのうえで八郷社長はEU離脱の当面の影響について「まだまだどうなるのか不透明なところがあり、最終的にどうなるのかは分からない。部品の調達が滞るのではないかという懸念を多少持っている」と述べました。
他社の対応は
イギリスのEU離脱が迫る中、日本の自動車メーカーや電機メーカーの間では生産体制などを見直す動きが広がっています。
このうち日産自動車は今月イギリスで計画していたSUV=多目的スポーツ車の生産を撤回すると発表しました。
また、トヨタ自動車では、イギリスの工場に部品の在庫が生産の4時間分しかなたいめ、離脱による混乱で部品の納入に遅れが出れば工場の操業が停止するおそれがあるということです。
一方、電機メーカーのうち、ソニーはヨーロッパ事業を統括するイギリスの現地法人を通じて、日本やアジアの工場から輸入したテレビやカメラなどの製品をEU域内に輸出しています。しかし、イギリスがEUから離脱した場合輸出の手続きが煩雑になることから会社では、ことし4月から貿易手続きを行う拠点の登記をイギリスからオランダに移すことを決めました。ただ、ヨーロッパ事業を統括する業務と従業員は引き続きイギリスに残すとしています。
また、パナソニックも、ヨーロッパでの本社機能をイギリスに置いていましたが、去年10月、機能の一部をオランダの拠点に移すなど、生産体制などを見直す動きが広がっています。
日本企業への影響避けられず
イギリスがEU=ヨーロッパ連合との協定がないまま離脱する、いわゆる「合意なき離脱」が現実になると、イギリスに拠点を置く日本企業への影響も避けられない見通しです。
まず、挙げられるのは関税の復活です。現在、イギリスとEU加盟各国との貿易では関税はかかりません。
しかし、「合意なき離脱」になれば新たな関税が発生します。例えばイギリスからEU域内に自動車を輸出する場合、10%の関税がかかるようになります。
また、通関の手続きも必要になり、部品の調達や製品の出荷に時間がかかるようになる可能性があります。
さらに、これまでどおり労働力を確保できるかどうかについても懸念が広がっています。
イギリス国内の工場などでは、EUから移り住んだ外国人労働者も多く働いていますが、こうした人たちの働くための条件が厳しくなる可能性があります。
いずれの場合もイギリスに拠点を構えている企業にとっては、生産活動が滞ったり新たなコストが発生したりするおそれがあるため、一部の企業では生産体制を見直すなどの動きも出ています。
しかし、離脱をめぐり不透明な情勢が続く中、十分な備えができていない企業も多いとみられ、日本政府は現地企業への情報提供を強化するなど「合意なき離脱」への一層の備えを促しています。
外相「各社が対応検討は当然」
河野外務大臣は記者会見で、「個別には申し上げられないが、ノーディール=合意なき離脱が行われると、自動車のように多くの部品がイギリス国外から来るものは、すぐに調達できなくなると容易に想定され、各社が必要な検討に入るのは当然だ。引き続き合意なき離脱は避けるべきだと、イギリス政府に明確に伝えるとともに、企業に対しても影響を最小化すべくできることはやっていきたい」と述べました。
現地では
イギリスでは来月29日にEU離脱が迫る中、自動車メーカーが生産体制を見直す動きが広がっています。
今月3日には、日産自動車が北部サンダーランドにある工場で予定していた、新型モデルの生産計画を撤回すると発表しました。日産はディーゼル車の規制の強化が理由だとしていますが、現地ではEU離脱の影響が見通せないことも背景にあると受け止められています。この工場はイギリス全体の30%に当たる年間44万台を生産する国内最大の自動車工場であるだけに、部品メーカーなどへの影響を懸念する声が広がっています。
また、先月にはイギリスで最も多くの車を生産するジャガー・ランドローバーがヨーロッパでの販売低迷などを受けて、国内を中心に4500人を減らす計画を決めました。
さらに、BMWがEU離脱による混乱を避けるため、離脱直後のおよそ1か月、乗用車の生産を取りやめる措置を決めたほか、エンジンを生産するフォードは離脱の行方によってはイギリスでの生産を見直さざるをえないという考えを明らかにしています。
イギリスの自動車産業ではEU離脱の行方が見通せない中、去年の自動車の生産台数が前の年に比べて9%余り減少したほか、投資額も前の年の半分にまで落ち込んでいて、影響がさらに広がることへの危機感が高まっています。
情報源:ホンダ 2021年中に英工場閉鎖の方針発表 | NHKニュース
ホンダは19日、2021年に英イングランド・ウィルトシャー州スウィンドンの生産工場を閉鎖すると発表した。世界の自動車産業を取り巻く急激な環境変化と、電動化の加速に対応する生産体制の適正化の必要があると説明している。これにより、3500人が失職する見通し。
工場閉鎖については英スカイニュースが18日に報じ、イギリス国内に衝撃が走っていた。
スウィンドンの工場では昨年、「シビック」を16万台生産したが、その90%は欧州連合(EU)に輸出された。
ホンダ欧州法人のイアン・ハウエルズ上級副社長はBBCの取材に対し、「我々は世界規模でこれまでにない業界の変化に直面している。顧客の需要と規制を受け、速やかに車両の電動化を行わなければならない」と話した。
また、「これはブレグジット(イギリスの欧州連合離脱)問題とは関係なく、グローバルな変化についての決定だ」と述べた。
「我々はブレグジットを常に克服すべき問題と捉えてきたが、世界規模の変化は対応しなくてはならないものだ。スウィンドンのコミュニティーに与える影響については残念に思っている」
ホンダは、この日付で労使間での協議を開始したことも明らかにした。
ホンダのスウィンドン工場とは
スウィンドン工場の敷地は元々、飛行場だった。
ホンダは1985年にこの敷地を購入し、欧州拠点として操業を開始。最初は納入前の乗用車の検査をしていた。
1989年にはエンジン製造を始め、1992年には自動車の製造ラインが加わった。これまでに「アコード」、「ジャズ(日本名:シティ)」、「CR-V」、「シビック」などを生産してきた。
2001年には工場を拡大し、年間の生産能力を25万台まで引き上げている。
イギリス国内の反応
ホンダの正式発表前、イギリス最大労組のユナイトは、もし正式に発表されればこのニュースは「衝撃的なボディーブローだ」と述べた。
ユナイトのデズ・クイン氏は、「イギリスの自動車産業は過去20年間、製造業の中でも最も重要な位置を占めていた。だが今は、メイ首相の融通の利かない方針が作り出したブレグジット(イギリスのEU離脱)の混乱と先行き不透明感に貶められてしまっている」と話した。
また、従業員とその家族に「甚大な」影響が出るだけでなく、「イギリス全土に広がるサプライチェーンに関わる何千人もの雇用にも影響する」と指摘した。
リアム・フォックス国際貿易相は、欧州全土で新しいディーゼル排出規制が施行されて以降、乗用車の需要は落ち込んでいると指摘し、「消費者からの大きな需要減退がメーカーにも影響を及ぼしている」と話した。
ブレグジットが原因?
発表前にホンダ側と話したというスウィンドン選出のジャスティン・トムリンソン下院議員(保守党)はツイッターで、「ホンダは、この決定は世界的な業況に基づいたもので、ブレグジットが原因ではないと明言している。欧州市場向けの生産は全て、2021年に日本に集約される」と述べた。
自動車業界はこのところ、中国での需要減退やディーゼル車の低迷に悩まされている。
ホンダのスウィンドン工場では、ガソリンエンジンとディーゼルエンジンの両方を生産している。
しかしスカイニュースは、ホンダはブレグジット後に新たな関税が課されることを懸念しており、ブレグジットも工場閉鎖の要因のひとつだ伝えている。
ブレグジットをめぐっては、自動車メーカー各社から関税や製造、輸出面について懸念の声が挙がっている。
1月には英ジャガー・ランドローバーが人員整理を発表し、米フォードも2021年までにイギリスでの人員を減らすと報じられた。
2月には日産自動車が、ブレグジットの不透明感で「将来の見通しを立てられない」ため英サンダーランド工場での「エクストレイル」の次期モデル製造を撤回。トヨタ自動車も、合意なしブレグジットになった場合は人員整理の可能性があると述べている。
高級車の独ポルシェは先に、ブレグジット後にイギリスでの販売価格に最大10%の関税を上乗せする可能性があると発表した。
ホンダも合意なしブレグジットを懸念
ホンダは昨秋、ブレグジット交渉の結果に関わらずイギリスでの生産に注力すると話していたばかり。
しかし今年1月には、ブレグジット後の混乱に対処するため、スウィンドン工場を4月に6日間閉鎖する可能性があると発表した。
これは「物流や国境管理に関するあらゆる結果」に対処できるようにするための措置だという。
また、もし部品が国境で立ち往生した場合は、それによって減った生産の回復を助けるとしている。
ハウエルズ上級副社長は昨年、合意なしブレグジットとなった場合、ホンダは何千万ポンドもの追加コストを追うことになると警告。BBCの取材はあ、合意なしブレグジットでは、ホンダの欧州での競争力に影響が出ると話していた。
日本とEUの経済連携協定(EPA)の影響か
日本とEUのEPAが2月1日に発効した。これにより、双方で輸入車の関税が撤廃される。
英業界誌「オートカー」のジェイムズ・アトウッド副編集長は、これがホンダの決定の決め手になったのではと話した。
「EPAにより、ホンダは製造拠点の大半がある日本国内で車を製造し、これまで支払っていた輸入関税を払わずにEU加盟国へ輸送することができる。イギリスに工場を置く理由が一つ減った格好だ」
BBCのサイモン・ジャック・ビジネス編集長も、EPAによって「EU域内に製造拠点を置く根拠が薄れている」と指摘した。
「スウィンドン工場での生産台数はここ数年減っており、現在は生産能力の半分しか使われていない。EPAは、工場にとってはさらなる打撃だ。それでもやはり、日本企業は長期的な投資家だ」
「ソニーもパナソニックも、欧州本部をEU域内に移した。どちらもその理由は少しずつ違う。しかし日本人の多くは、イギリスがブレグジットに確実性をもたらせなかったことが、両国のつながりを弱くしてしまったと感じている」
情報源:ホンダ、英工場を閉鎖へ 3500人が失職の見通し(BBC News) – Yahoo!ニュース(コメント)
情報源:ホンダ、英工場を閉鎖へ 3500人が失職の見通し – BBCニュース
情報源:Honda | 事業運営体制変更に関する会見代表取締役社長 八郷 隆弘 スピーチ内容
理由としては、EU離脱だけではないようだが・・・