ほぉ・・・
2019.2.10 15:00
国民的人気アニメ「サザエさん」は1969年10月5日に放送が始まり、今年でアニメ50周年を迎える。「サザエさん一家」の周りで起きるドタバタ劇には悪の組織も出てこなければ、SF的ド派手な展開もない。だが、そんなごく平凡なサザエさんの住む架空の町で世界レベルの戦いが繰り広げられているという情報をキャッチした。
ことの発端は、あるツイッターユーザーの「サザエさんの囲碁シーンを検証した」というツイートだ。サザエさんでは波平さんがマスオさんや隣人の小説家・伊佐坂難物先生と囲碁を打つシーンが度々出てくるが、このユーザーは1年かけてサザエさんを録画して検証し、
ちなみに、マスオさんと波平さんは互先か先番、波平さんがいつも白!!
マスオさんの表情からして、マスオさんは将棋の方が好きそう(笑)
ついでにドラえもんは囲碁覚えたてのようです\(^o^)/<6路盤! pic.twitter.com/lDE9kUVxrX— 景千代 (@kagechiyo_i) January 16, 2019
<そういや前にサザエさんとまるちゃんを1年間録画して囲碁シーンを集めた事があるんですけど、検証した結果。「波平さんは割と忠実に囲碁勉してる」「友蔵さんは、偽物の碁盤と適当な囲碁本を買ったのでは・・?」という結論に至りました>(本文ママ)
とツイッターに書き込んだのだ。
すると、このツイートは囲碁好きの間で瞬く間に拡散され、プロ棋士の大橋拓文六段もシーン検証に参戦。波平さんが囲碁教室で碁を打つ「ちょっとそこまで」(2014年9月14日放送)の場面画像と、同年に行われた世界大会の盤面画像を並べてこう呟いた。
では改めて盤面を凝視してください。ネタは仕込むものですね。サザエさん製作陣の気合いしか感じない。波平さん最強か。 pic.twitter.com/PTFqKpXNIn
— 大橋拓文🌗 (@ohashihirofumi) January 19, 2019
<では改めて盤面を凝視してください。ネタは仕込むものですね。サザエさん製作陣の気合いしか感じない。波平さん最強か。>
この二人の対局と波平さんの盤面が一緒です。元ネタは2014年に打たれており、この二人は世界戦優勝多数のトップ棋士です。盤面の再現はけっこう手間がかかるはずですが、国民的長寿アニメなのに盤面画像を使い回すことなく、最新ほやほやの最強対局を再現する心意気に囲碁クラスタは興奮しております。 https://t.co/lEEqeNx125
— 大橋拓文🌗 (@ohashihirofumi) January 20, 2019
<この二人の対局と波平さんの盤面が一緒です。元ネタは14年に打たれており、この二人は世界戦優勝多数のトップ棋士です。盤面の再現はけっこう手間がかかるはずですが、国民的長寿アニメなのに盤面画像を使い回すことなく、最新ほやほやの最強対局を再現する心意気に囲碁クラスタは興奮しております。>
と、高ぶりを隠さない大橋六段にAERA dot.が改めて取材すると、
「囲碁には定石という打ち方の模範のようなものがあって、その定石の形になっていることにまずびっくりしました。この定石は16年3月にコンピューター囲碁プログラム『AlphaGo』が登場してから激減した形だな、と見覚えがありました。そこで、おそらく10年以降で、13~14年くらいのものかなと予想していたら、友人が特定してくれました」(大橋六段)
そうしてたどり着いたのが14年4月24日に行われた「中国第28期天元戦挑戦手合三番勝負」の第2局だった。17歳で史上最年少の九段昇段を果たした中国の陳耀燁棋士(白番)と「AlphaGo」との勝負で話題になった柯潔九段(黒番)の対局という極めてハイレベルなものだ。
「中国のタイトル戦なので、持ち時間は一人3時間くらいです。この盤面を見る限りでは終盤に差し掛かっているので、5、6時間は経っているのではないでしょうか。でも、持ち時間などが関係ない波平さんだと2時間くらいの盤面だと思います。『波平さん最強か』って囲碁ファンはみんな盛り上がっていましたよ」(大橋六段)
町の囲碁教室で世界レベルの戦いが繰り広げられているという衝撃の事実が判明。他のシーン描写についても熱弁する。
「波平さんが本を読みながら囲碁を打つシーンもすごく忠実です。表紙から推測される内容と盤面に並ぶ石の形が合っている。定石の勉強をしている雰囲気が出ていて、とにかくすごい。画像も小さいのに、よく作り込まれています。碁盤に白と黒の石を描くのは面倒な作業だと思いますし、石の数が少ない形を選んでもいいのに、あれを選んで忠実に再現されている。サザエさんは盤面の画像を適当に使いまわしているわけではないんだ、と本当に感動しました。囲碁にめちゃくちゃ詳しい人がいるのか、たまたま当たっただけなのかどっちなのかな……」(大橋六段)
■サザエさんで繰り広げられる“熱戦”の真実
SNSで繰り広げられる碁盤考察を制作サイドはどう感じているのか。サザエさんの映像制作を手がける「エイケン」担当者を直撃した。まず、碁盤についての一連のツイートを伝えると、「そ、そんなにですか」と、驚きながらもこう答えた。
「シーンを描くときは作画の描き手がその都度テレビやネット、本の情報を参考にしながら独自に調べています」
膨大な数の対局を手がけるため、どのシーンでどの資料を使ったかどうかを特定することは難しいというが、番組の放送時期、試合の日付、そして何より盤面からも作画担当者が同対局を参考にした可能性はじゅうぶん高い。
サザエさんをめぐる新事実が明らかになったところで、さらなる疑問が浮かび上がってきた。番組ではサザエさんの夫・マスオさんと波平さんが囲碁を打つシーンが度々登場する。となれば、磯野家で寝食をともにするマスオさんにとって、妻の父である波平さんの威厳を“忖度”し、すんでのところで波平さんが勝つような盤面になってはいないのだろうか。
結論から言うと、サザエさんに“ヤラせ”は存在しない。担当者はこう告げる。
「(勝敗のバランスは)特に意識はしていないようです。ストーリーに出てくるシーンは囲碁をしているのが分かればいいだけなので、差しさわりのない配置にしています。囲碁シーンは時々しか登場しませんし、キャラクター芝居の中の一つのパーツなので、そこだけを気にして作業をしていません。ですが、昔から『間違ったものを写しこんではいけないよ』ということは言われています」
ところで、波平さんの腕前はいかほどなのか。そして、ツイートにもあった「ちびまる子ちゃん」の友蔵が使う碁盤は偽物なのか? 先の大橋六段はこう分析する。
「サザエさんのシーンを見る限りでは、波平さんは有段者だと推察できます。読んでいる定石書の雰囲気ではアマチュア初段から三段くらいの感じですね。友蔵さんが使っている碁盤は19×19の囲碁盤ではなく、15×15の連珠盤を使っているので、五目並べをしているのではないでしょうか」
世の中には白黒はっきりさせないほうがいいこともある。さーて、来週のサザエさんは?
情報源:「サザエさん」波平の囲碁対局の腕は「世界レベル!」大橋六段が解説〈dot.〉(AERA dot.) – Yahoo!ニュース(コメント)
情報源:「サザエさん」波平の囲碁対局の腕は「世界レベル!」大橋六段が解説 (1/3) 〈dot.〉|AERA dot. (アエラドット)
すげぇ・・・