ふむ・・・
2019年1月28日05時15分
約2億3千万円のコンサルタント契約を巡る2020年東京五輪・パラリンピック招致の買収疑惑が、フランスを震源地に再び揺れ始めた。招致委員会の理事長だった日本オリンピック委員会(JOC)会長の竹田恒和氏(71)を、仏裁判所の予審判事が容疑者として本格捜査に乗り出した。竹田氏は「潔白」を主張する。司法制度が違う日本とフランス。起訴まで至るのかどうか、予断は許さない。
国際オリンピック委員会(IOC)委員でもある竹田氏がパリで予審判事の事情聴取に応じたのは、昨年12月10日だった。問題視されているのは、竹田氏が理事長を務めていた招致委員会が、シンガポールのコンサルタント会社「ブラック・タイディングズ(BT)」社に支払った約2億3千万円。13年9月に東京への五輪招致が決まる前後に2回に分けて払われ、これが開催都市決定の投票権を持つIOC委員への買収工作に使われたのではないか、という嫌疑だ。
20年五輪招致には、東京、マドリード(スペイン)、イスタンブール(トルコ)の3都市が最後まで激しく争っていた。
日本の刑法では民間人同士の金銭のやりとりは汚職の対象にならないが、仏刑法では、違法行為などの謝礼として金銭などのやりとりがあれば公務員でなくても汚職になり、最大で禁錮5年が科される。また、国際機関や海外の公的業務にかかわる人を処罰対象とする規定もある。
竹田氏を取り調べた「予審判事」とは、フランスで重大もしくは複雑な事件の場合に捜査を担当する裁判官だ。日本と違い、裁判所に属する判事も捜査する仕組みがある。検察による予備的な捜査を経て、予審判事に事件が委ねられる。
仏司法省の17年の統計によると、今回のような予審手続きにかけられた容疑者のうち、不起訴処分になったのは20%だった。汚職事件などを管轄する軽罪裁判所で無罪判決が出たのは、事件全体の6・5%だ。ただ、軽罪裁判所は窃盗や詐欺など禁錮10年以下の事件を幅広く扱うため、一般化は難しい。
予審判事は容疑者の身柄拘束の請求もできるが、日本とフランスは容疑者の身柄引き渡し条約を結んでいないため、日本にいる限り、竹田氏に捜査権は及ばない。予審判事の要請を受けた東京地検特捜部が聴取する可能性はある。
フランス政界では、予審判事によって容疑者扱いされた場合、閣僚が辞任するケースが多い。今のマクロン政権も「閣僚は直ちに辞める」(フィリップ首相)と決めている。17年の大統領選では、共和党候補のフィヨン元首相が、公金流用疑惑で容疑者扱いされた際、党内からも「出馬を取りやめるべきだ」と批判された。フィヨン氏は選挙運動を続けたが、第1回投票で落選した。判決が出るまでは「推定無罪」という原則はフランスでも同じだが、現実には予審開始手続きはかなりの重みを持つ。
竹田氏、日本のオリンピック界の「顔」
そもそも、どうして仏司法当局が動いているのか。今回の発端は、国際陸上競技連盟前会長のラミン・ディアク氏と息子のパパマッサタ氏が絡んだロシア選手らに対するドーピング隠蔽(いんぺい)工作のスキャンダルだった。フランスを拠点としていたディアク親子に汚職と資金洗浄の疑いがかけられ、仏検察が捜査に乗り出した。モナコにある国際陸連の本部を家宅捜索し、資料を押収。その過程でBT社が浮上した。英紙ガーディアンは16年5月、東京の招致委から支払われた契約金が、IOC委員だったディアク氏と息子を通じてIOC委員の買収工作に使われた可能性を特報した。
報道などを受け、JOCは弁護士ら第三者を交えた調査チームで検証。調査チームは16年9月、国際陸連と関係の深い電通の役職者を通じてBT社代表だったタン・トンハン氏が有能なコンサルタントであるとの確証を得て契約した経緯を踏まえ、「違法性はない」と結論づけた。ただし、パパマッサタ氏、タン氏への聴取はかなわず、踏み込んだ調査はできなかった。
日本国内では終息したように思えた招致疑惑だが、仏の担当検事は17年秋、取材に対して「時間はかかるが、捜査は継続中。五輪招致において、招致委ではなく、別の会社を通して買収工作を行うのは典型的な構図だ」と話していた。
ディアク親子と五輪招致に絡むもう一つの疑惑が、ブラジルにもある。
ブラジル連邦検察は17年、リオデジャネイロ五輪招致を巡り、ブラジル・オリンピック委員会会長だったカルロス・ヌズマン氏らを起訴した。ヌズマン氏がブラジル企業からパパマッサタ氏の関連会社に200万ドル(約2億2千万円)を振り込む仲介をし、そのカネがIOC委員の買収に使われた疑いだった。
シンガポールでは今月16日、タン氏がロシア選手らのドーピング隠しを巡る恐喝事件の送金に絡み、パパマッサタ氏の関与を隠したとして、有罪判決を受けた。BT社がパパマッサタ氏の意をくみ、カネを動かした図式が浮かび上がる。
仏予審判事の本格捜査開始を受け、竹田氏は今月15日に会見し、「BT社との契約に関し、いかなる意思決定プロセスにも関与しておりません」と改めて強調した。
馬術で五輪出場経験を持つ竹田氏は、53歳だった01年にJOC会長に就任以降、再選を続けている。招致決定時は日本人唯一のIOC委員。文字通り、日本のオリンピック界の「顔」であり続ける。
贈賄を否定する一方で、2億円以上の契約の決裁に対する責任も否定する発言に、招致委員会にいた関係者からは「あの発言には憤りを感じた。自分の保身のために、部下を切り捨てたように聞こえる」との批判も漏れる。
17年の仏司法省の統計によると、予審判事が起訴するかどうか決めるまでにかかる期間の平均は2年8カ月。結論が出ないまま、東京五輪の開幕を迎える可能性はある。(パリ=疋田多揚、ロンドン=稲垣康介、浦野直樹)
情報源:JOC竹田会長は罪になるのか 重みある予審判事の聴取(朝日新聞デジタル) – Yahoo!ニュース(コメント)
情報源:JOC竹田会長は罪になるのか 重みある予審判事の聴取:朝日新聞デジタル
JOC竹田会長は罪になるのか 重みある予審判事の聴取 https://t.co/yDr4RBneeQ
— 朝日新聞オリンピック・パラリンピックニュース (@asahi_olympics) January 27, 2019
はぁ・・・