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2019年1月13日05時00分
米軍が日本で活動する際のルールを定めた日米地位協定に関し、政府は日本の法律を米軍に原則適用しないと説明する理由に国際法をあげることをやめた。国内法の適用による基地問題解決を求める声が強まるなか、適用しない根拠となる国際法を示せないことへの批判をかわす狙いだ。
政府は1970年代ごろから国会で「一般国際法上、外国軍隊には特別の取り決めがない限り接受国の法令は適用されず、日本に駐留する米軍も同様」と答弁してきた。外務省のホームページにある「日米地位協定Q&A」にも明記していたが、11日に修正した。
修正後は「一般に、外国軍隊や構成員等は個別の取り決めがない限り、軍隊の性質に鑑み、公務について受け入れ国の法令の執行や裁判権等から免除される」とし、米軍に国内法を原則不適用とする理由から「国際法」の言葉を削った。
変更前の説明に対し、日本弁護士連合会は2014年の意見書でそうした国際法はないとし、「領域主権からして米軍にも日本法令適用が原則」と表明。地位協定に関する米政府の諮問委員会も15年の調査報告書で、受け入れ国の法適用が国際法の原則としている。
野党は国会などで政府の立場を「被占領国当時の日米関係」と批判。沖縄県も国内法の制限が米軍機の飛行などに及ばないことを問題視しており、政府は地位協定への反発が強まらないよう説明の変更を決めた。
ただ、外務省は説明の変更について「批判をふまえわかりやすくしたが、『原則不適用』の根拠となる国際法があるという見解は変えていない」とする。
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政府が日米地位協定に関して長年続けてきた説明の変更に追い込まれた。米軍の日本での活動に国内法を適用しない理由として国際法に言及することを封印。主権に関わる問題での安易な説明への批判の高まりが背景にある。
日米地位協定は1960年に新日米安全保障条約とともに国会で承認された。その際の審議で「米軍に治外法権を与えるのでは」との質問に対し、当時の外務省条約局長は「当然日本の法令が原則として適用になる」と答えていた。
その後、政府答弁は「原則不適用」と逆転し、根拠に「一般国際法」を持ち出す。国会議事録にそうした答弁が明確に現れるのは72年の沖縄返還直後で、沖縄に集中する在日米軍への国内法適用をめぐって増えた質問に対応する形だった。
地位協定に関する「一般国際法」は明文の一つの条約ではなく、主に二国間合意の積み重ねから生まれる慣習だ。国内法が及ばない分野で米軍基地問題が続くなか、「原則不適用」の根拠となる国際法があるのかが最近の焦点となった。
日本弁護士連合会は2014年の意見書で否定し、「米軍基地周辺住民の権利侵害の多くは日本法令の適用除外による」と弊害を指摘。世界各国に軍隊を送り、地位協定の蓄積が圧倒的な米国でも、15年の政府諮問委員会の調査報告書や17年の陸軍の「法運用ハンドブック」で日本政府と反対の見解を示している。
国会では野党が政府に「一般国際法」の根拠を再三ただしたが、政府は「これまでご説明している通り」という答弁に終始。昨年末には国民民主党が「治外法権を改める」として「米軍は国内法を原則順守」とする地位協定改定案をまとめた。
沖縄県名護市の辺野古沿岸への土砂投入が進み、米軍基地問題で政府と沖縄県の対立が深まるなか、政府は県が見直しを求める地位協定の議論再燃を危ぶみ、急ぎ足で説明を変更した。ただ、外務省は国際法に根拠があるとする姿勢は変えず、「総合的な判断で詳細は明かせない」としている。
国際法が専門の岩本誠吾京都産業大教授は「主権国家の領域で外国軍に国内法適用の例外を設けるのが地位協定だ。日本政府が米国に有利な解釈にこだわるのは守ってもらうための忖度(そんたく)ではないか」とみる。
情報源:政府、説明から「国際法」削除 米軍に国内法不適用根拠:朝日新聞デジタル
政府、説明から「国際法」削除 米軍に国内法不適用根拠:朝日新聞デジタル https://t.co/mVQVW4beXu
— 朝日新聞官邸クラブ (@asahi_kantei) January 13, 2019
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