ほぉ・・・
激動の2018年よ、さらば―。藤井フィーバーが列島を駆け抜けた昨年に続き、今年の将棋界もビッグニュースの尽きない空前の一年になった。日本将棋連盟会長の佐藤康光九段(49)に「将棋界10大ニュース」を選んでもらいつつ、常に話題の中心にいた盟友・羽生善治九段(48)について聞いた。無冠転落後の肩書のことを相談した際の羽生の様子を、佐藤会長は「迷いなく『九段』を選んでいらっしゃいました」と明かした。
「2018年の将棋界を漢字一文字で表すと」との質問に、佐藤会長は考え込んだ。「激動でしたし、動きが多かった意味では『動』ですけど、ありきたりですよね…。う~ん、あ、そうだ。『活』にしましょう。こんなに活気に満ちた年というのは過去に経験がありませんでしたから」。「1秒間に1億と3手を読む男」と称される男が思わず長考に沈んでしまうほど、ニュースにあふれた特別な年だった。
会長の選ぶ10大ニュースで最も注目すべきは5位のトピック。今月21日、第31期竜王戦7番勝負最終局で竜王防衛を目指した羽生善治は広瀬章人現竜王(31)に敗れ、27年ぶりの無冠に転落した。新しい肩書には段位の「九段」を選択した。
会長は山口県下関市の対局場を訪れており、失冠直後の羽生に肩書についての意向を尋ねている。どのような様子だったのだろう。
「感想戦が終わった後に『ちょっとお話があります』と声を掛けて別室に行きました。『前竜王、あるいは特別な称号を名乗るか、いくつかの選択肢があるんですけど…』とお伝えしましたが、すぐに本人の意向を汲(く)んで『九段』に決まりました。羽生さんは迷いなく選んでいらっしゃいましたね。私としては、今後もずっと第一線で戦い続けるための選択と捉えましたし、同じ棋士の立場としては、段位を選ぶことは自然なことだと思います」
選んだ肩書に驚きはなかった。むしろ衝撃を受けたのは、竜王戦の盤上に現れた羽生の戦い方、選び取る一手だった。
「1局目と7局目は現地で検討しましたけど、正直カルチャーショックを受けました。コンピューターは推奨しているけれども、人間はこんな手を指さないだろう、切り捨ててしまうだろう、という手を羽生さんは指していた。コンピューターを使ったハードなトレーニングを日頃から重ねているんだな、という印象を強く受けました。今までなら、たとえ浮かんだとしても指せないような一手で、トレーニングを積んで評価していないと指せない手なんです。決して依存するわけではなく、新しい感覚や良いものは取り入れていこう、と変化を続けているんだな、ということを感じました」
会長にとって羽生は奨励会同期。島朗九段が主宰する伝説の研究会「島研」で10代の頃からともに研鑽(けんさん)を積んできた。タイトル戦の大舞台では、21度にわたって雌雄を決したライバルでもある。
「無冠になるということには同世代として驚きはありますけど、羽生さんは大山先生(大山康晴十五世名人、タイトル通算80期)、中原先生(中原誠十六世名人、同64期)と比較しても別格といえるくらいの存在。お二人のように実績を積み上げた先生でも無冠になる時代はあるので、羽生さんが2019年からどのように立て直し、再び100期を目指していくかということは、ファンの皆さんも関心があるところだと思いますし、個人的にも非常に注目しています」
将棋界を束ねる連盟会長としての視点もあるが、もちろん棋士として、プレーヤーの立場として盟友を見つめている。羽生が無冠に後退する4日前、今月17日に行われた順位戦A級の羽生―佐藤戦は、終局時間が深夜1時を越える激闘になり(結果は羽生の勝利)、真夜中にファンを熱狂させた。
「私にとっても、一番対局してきた(通算161局で羽生107勝、佐藤54勝)のは羽生さんです。羽生さんと指すことで自分は成長してきました。戦うことで成長できる存在であることは年齢を重ねても決して変わることはありません。これからも対局する時間を多く作っていきたいと思います」(北野 新太)
◆佐藤 康光(さとう・やすみつ)1969年10月1日、京都府八幡市生まれ。49歳。田中魁秀九段門下。82年、奨励会入会。87年、四段昇段。93年、羽生善治から竜王を奪取して初タイトルを獲得。タイトル獲得は竜王1、名人2、棋王2、王将2、棋聖6の通算13期(歴代7位)。永世棋聖資格保持者。現在も竜王戦1組、順位戦A級に在籍するトップ棋士。17年2月、日本将棋連盟会長に就任。同7月に史上9人目の通算1000勝を達成した。
情報源:佐藤康光会長が選ぶ将棋界10大ニュース 「羽生27年ぶり無冠」は5位(スポーツ報知) – Yahoo!ニュース(コメント)
情報源:佐藤康光会長が選ぶ将棋界10大ニュース 「羽生27年ぶり無冠」は5位:将棋:スポーツ報知
へぇ・・・