「こたつでミカン」若者は敬遠 和歌山産地は動画でPR – 産経ニュース

我が家は「真穴みかん」


有田みかんを食べ、絶賛する「まなまな」さんの動画シーン
有田みかんを食べ、絶賛する「まなまな」さんの動画シーン

「こたつでミカン」と言えばかつては冬の風物詩だったが、今では「お年寄りが食べるイメージ」との理由で若者たちは敬遠…。そんなミカン離れの現状に危機感を覚えたミカン王国・和歌山県の特産品の通信販売会社が、女子高生タレントや若手歌手らとのコラボレーションで「有田(ありだ)みかん」をPRするユニークな動画配信を始めた。会員制交流サイト(SNS)などにあふれる若者言葉も使って有田みかんをアピールしている。(尾崎豪一)

スキンヘッド風の男性と女子高生「ありよりのあり…」

話題の動画では、若い女性の歌声が流れる中、ミカンを畑で摘み取り運搬、選別して出荷するまでのシーンが次々と登場する。ミカンは表面にかわいい顔が描かれ、アニメキャラクターのように口を動かす。

また、「有田みかん伝道師」というスキンヘッド風の男性が登場し、女子高生に自慢のミカンを手渡す。ミカンを口にした女子高生は「おいしい」と思わず笑顔に-。

表面に顔が描かれた有田みかんの動画シーン
表面に顔が描かれた有田みかんの動画シーン

11月上旬、動画投稿サイト「ユーチューブ」で公開された「~ストップ!若者のみかん離れ!~ありよりのありだみかん」(https://www.youtube.com/watch?v=Ojdh4r1dAS0/)というタイトルの約1分半の動画。有田みかんの産地に近い和歌山県湯浅町で特産品を通信販売する「とち亀物産」が、広告代理店に依頼して製作した。

上野真歳社長が「まなまな」さんに有田みかんを渡す動画シーン
上野真歳社長が「まなまな」さんに有田みかんを渡す動画シーン

このスキンヘッド風の男性が「とち亀物産」の上野真歳(まさとし)社長で、女子高生は動画共有アプリ「ティックトック」で人気のタレント「まなまな(仲本愛美)」さん。バックで流れる歌は、画像共有アプリ「インスタグラム」やティックトックで人気の若手歌手、Kamin(カミン)さんが担当した。

タイトルに使われた「ありよりのあり」とはネットで広まった若者言葉で、迷いながらも返事する場合に「『あり』か『なし』かで言われたら、『あり』寄り」という意味で使われる。

動画では、上野社長がミカンを握りしめ、「若い人らに、私のかわいいみかんをもっと食べて欲しいんやいしょー!!!」と和歌山弁で叫ぶシーンも。

「ミカンが若者たちに『(皮を)むくとネイルが汚れる』『おばあちゃんが食べているイメージ』などの理由で敬遠される傾向にあり、少しでもミカンに興味を持ってもらいたかった」と上野社長。「今回の紹介動画を機に、あまりミカンに関心がない若年層へのアプローチを続け、有田みかんの価値を根付かせることができれば」と語る。

有田みかんをPRする「とち亀物産」の上野真歳社長
有田みかんをPRする「とち亀物産」の上野真歳社長

若者狙い、各地で

詳しい統計はないが、全国で若者のミカン離れは進んでいるようで、和歌山以外の産地でも若者向けのPR戦略が盛んだ。特に出荷量1位の和歌山県、2位の愛媛県に次ぎ、3位の地位を争う静岡県と熊本県では激しさを増している。

天候不順の影響で平成29(2017)年に3位を熊本県に明け渡した静岡県では、沼津市のJAなんすんの「寿(じゅ)太郎みかん」を、市が舞台となった人気アニメ「ラブライブ!サンシャイン!!」とのコラボで売り出している。

昨年からアニメのイラスト入り段ボールを採用して販売を始めると、問い合わせが殺到。産地直売イベントに県外から多くの若者が訪れたという。JAの担当者は「(コラボで)普段ミカンに興味のなかった若い人にも知ってもらえた。SNSなどを通じて加工品まで宣伝できた」と効果を実感する。

一方、熊本県では、県産品の通信販売を手掛ける「コムセンス」(熊本市)が、段ボールにくまモンをデザインしたミカンを販売。さらに昨年秋から今年秋にかけ市出身の漫画家、尾田栄一郎さんの人気アニメ「ワンピース」とコラボしたミカンを販売したところ、「孫や子供が喜ぶから」と高齢者の購入も多かったという。

担当者は「くまモンのミカンの人気は根強く、ワンピースは(サブカルチャーなどの)関連メディアでも取り上げられ、お客さんの反応もこれまで以上によかった」と手応えを感じている。

一方、主産地の愛媛県も「若い人にミカンを食べてもらいたいという気持ちはあり、(具体策を)模索している」(担当者)という。

情報源:「こたつでミカン」若者は敬遠 和歌山産地は動画でPR(1/4ページ) – 産経ニュース



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