オーストリアで重要文化財級の「古伊万里」を確認

オーストリアで重要文化財級の「古伊万里」を確認 | NHKニュース

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オーストリアの城に残されている「古伊万里」と呼ばれる、江戸時代の日本の磁器の中に、国の重要文化財に相当する歴史的に価値の高いものが複数、含まれていることが学習院大学の研究チームの調査でわかりました。

学習院大学の荒川正明教授のチームによりますと、ことしの3月と10月に、オーストリア東部のロースドルフ城に残されている「古伊万里」と呼ばれる古い日本の磁器を複数、調べたところ、その中に国の重要文化財に相当する歴史的に価値の高いものが少なくとも3点含まれていることが新たにわかったということです。

このうち17世紀末のものとみられる「古伊万里金襴手」と呼ばれる様式の作品は、乳白色の生地に鳥の姿を彫刻のように立体的に表現するなど技巧と美しさを兼ね備えています。城では卓上のランプ台として使われていたということです。

また、磁器の表面を網目状にくり抜く「すかし紋」と呼ばれる高度な技術を駆使した大型の花瓶は、日本でもほとんど確認されていないもので、特注品とみられるということです。

このほか、城には第2次世界大戦後の混乱期に壊された古伊万里の破片が大量にあり、これらの中にも歴史的に価値の高いものが含まれているということです。

荒川教授は「17世紀から18世紀にかけての一級品がそろっている。日本の古伊万里が貴族の生活にいかに浸透していたかがわかる」と話しています。

見つかった経緯は

オーストリアの首都ウィーンの近郊、ロースドルフにある古城に当時の姿を保った陶磁器や、破片など1万点以上が残されていることはわかっていましたが、詳しい調査はこれまで行われてきませんでした。

佐賀県を中心に生産された伊万里焼のうち、江戸時代のものは「古伊万里」と呼ばれ、白く美しい表面と華やかな絵柄などから17世紀から18世紀にかけてヨーロッパで高い人気を集めました。

日本の陶磁器の歴史に詳しい荒川教授によりますと、今回の調査で、城にある破片の数は1万点以上に上り、17世紀から20世紀初期にかけて日本で作られたもののほかに中国やヨーロッパで作られた陶磁器も含まれていることがわかりました。

城を所有する一家は18世紀に日本や中国から陶磁器を輸入し、当時のドイツのドレスデンの王族に販売していたということで、多くの磁器が壊れて破片になっているのは、第2次世界大戦の終結後、城を接収した旧ソビエト軍に破壊されたためだということです。

研究チームは、特に歴史的な価値のある破片は、中国やヨーロッパの磁器も含めて、日本に持ち帰って修復し、一般公開したうえで、城に戻したいとしています。

荒川教授は「これほど見事なコレクションが手つかずで残されていたのは驚きだ。古伊万里が中国やヨーロッパの磁器に与えた影響の大きさが見て取れる」と話しています。

情報源:オーストリアで重要文化財級の「古伊万里」を確認 | NHKニュース


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