【新井の伝言】<9>カープ愛 復帰戦の感激、原動力に | 広島東洋カープ | 中国新聞アルファ

ふむ・・・


大歓声に包まれ、復帰初打席へ向かう新井(2015年3月27日)
大歓声に包まれ、復帰初打席へ向かう新井(2015年3月27日)

通算8799打席に立った新井貴浩には、「一生の宝」として心に刻む打席がある。8年ぶりに広島へ復帰した2015年、3月27日の開幕戦に代打で登場。「マイナス100と想像していた光景が、実際はプラス200。心の振れ幅がすごかった」。大歓声のマツダスタジアムに思わず目が潤んだ。

開幕直前に右肘を痛めてスタメンを外れた。出番に備え、ベンチ裏で準備。「不安しかなかった。(ファンに)受け入れてもらえないだろう。応援してくれないかもしれない」。ただ一人、違う緊張感の中にいた。

ヤクルトを2点差で追う七回2死一、二塁、「代打新井、背番号28」がコールされる。その瞬間、7年前の記憶がよみがえった。フリーエージェント(FA)で阪神へ移籍し、旧広島市民球場で迎えた初戦。「またブーイングされるかも。それでもいい」。覚悟を決めて踏み出した先には、絶景が待っていた。

立ち上がってメガホンを打ち鳴らす人がいる。移籍前の「背番号25」のユニホームを掲げる人もいる。耳に届く声は温かく、優しく、懐かしい。フルカウントから右飛に打ち取られた直球は、ほぼ顔の高さだった。「まずまずの手応え。よく打てたなと思うようなボール球。集中していた。それだけの力をもらった」と振り返る。

前年のオフに阪神を自由契約となった。復帰を促す古巣の誘いは、驚きに満ち、喜びを伴い、「正直怖かった」。球団は認めてくれた。チームに溶け込めた。でも、ファンが許してくれるとは限らない。だから復帰初打席の大歓声には驚き、喜び、心と体が震えた。

燃え尽きたい衝動は、「カープファンを喜ばせたい」という燃え盛る情熱へ。「あの声援がなければ4年もプレーできなかった。僕の中にあった小さな火が大炎(たいえん)になった」。3連覇を遂げてユニホームを脱いだ今、胸を張ってそう言い切る。(山本修)=おわり

情報源:【新井の伝言】<9>カープ愛 復帰戦の感激、原動力に | 広島東洋カープ | 中国新聞アルファ


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