静かに撮りたい場所には向いているか・・・
演劇や演奏会などの舞台撮影をするプロカメラマンの間で、ミラーレス一眼カメラが欠かせない存在となっている。ミラーレスは、一眼レフでは難しい「無音」撮影が容易にできるためだ。【米田堅持】
撮影に専念できる「無音」
一眼レフは、シャッターを切る際にボディー内のミラーを高速で動かす機構を持つため、「シャッター音が大きい」という銀塩フィルム時代から変わらない問題がある。演劇や演奏会を撮影するカメラマンは、音をいかに消すかに頭を悩ませてきた。大きな劇場には「金魚鉢」と呼ばれるガラス張りの撮影用の部屋が存在するが、小さな劇場には撮影用の部屋がないことも多い。客席から撮影する場合は、カメラをすっぽり覆う防音用ケースを用意するが、それでも公演の邪魔にならないように神経を使ってきた。
劇場だけではなく、けいこ場では撮影距離が近いため、シャッター音はより耳につく。21日から浅草九劇(東京都台東区)で公演が行われている「十二階のカムパネルラ」を控えた劇団「シアターキューブリック」のけいこ風景を撮影するにあたって、ミラーレス機のキヤノンEOS-Rなどを使用した。
ミラーレスは文字通りミラーがないため、もともとシャッター音が小さい。さらに、多くのミラーレスカメラは、電子式シャッターを使った「サイレント撮影」ができるため、シャッター音を気にせず撮影に専念できた。
関西を中心に演奏会や文楽をはじめとする舞台芸術の撮影をしている写真家の植村耕司さん(48)は「2014年末からミラーレスを導入した。電池消耗が激しかったり、電子ビューファインダー(EVF)の画像が遅延するといった問題もあったが、無音で撮れることは大きなメリットだ」と話す。
2大メーカーがフルサイズ機投入
ソニーやオリンパス、富士フイルムが先行したミラーレス一眼市場は、この秋大きな動きがあった。今年に入ってキヤノン、ニコンの2大カメラメーカーが、フラッグシップ機と同等の大型フルサイズセンサーを搭載したモデルを相次いで投入した。スポーツ撮影など動くものに弱いと言われたオートフォーカス(AF)速度や動作のタイムラグも改善、先行メーカーも含めて、最新機種であれば、条件によっては一眼レフに迫るレベルとなってきた。
今回使用したキヤノンEOS-Rは、同社で初めてのフルサイズミラーレス一眼で、10月に発売されたばかりの最新機種だ。AFは速く、明るくない室内のけいこ場で、近距離で動き回る被写体をスムーズに追尾した。サイレント撮影時には連写ができないという制限はあったが、慣れればそれほどストレスはない。専用レンズだけでなく、アダプターを介して従来の一眼レフ用のEFレンズを使っても、動作に差を感じることなく撮影できた。
気をつけたいこと
元々、一眼レフに比べ小さく軽いという大きなメリットを持つミラーレスだが、使用する上で気をつけたいこともある。「サイレント撮影」は、電子式シャッターの恩恵だが、電子式シャッターは、センサーが部分的に順次露光して信号を読み出す「ローリングシャッター」と呼ばれる方式をとる。わかりやすく言えば、被写体をスキャンしている形だ。この原理上、高速で動く被写体を撮影すると、形がゆがむことがある。
また蛍光灯など、周波数にあわせて高速に点滅する照明の下で撮影すると「フリッカー」と呼ばれる現象が起きて、撮影した画像上に、明暗や色のムラなどの意図せぬ模様が写り込むこともある。フリッカー現象は一眼レフでも起きるが、電子式シャッターを使うと、影響をより受けやすくなる。
さらに、EVFを使うミラーレスは一眼レフよりも電池を多く消費する。キヤノンEOS-Rの場合、背面液晶での画像確認を行わなければ、残り50%でも、カタログスペックの370枚に近い320枚の撮影ができた。しかし、同じ型式の電池を使用する同社のフルサイズ一眼レフ、EOS6Dマーク2は1200枚、EOS5Dマーク4の900枚と比較すると電池消費はかなり早い。電池残量を意識しながらの撮影を心がけたい。
最近発売されたミラーレス一眼は、USB端子から充電しながら撮影できる機種もあり、使い勝手の面でも一眼レフとの差は確実に埋まりつつある。演劇や演奏会だけでなく、ゴルフやテニスなどのスポーツ、さらには会議やインタビューなどでも「無音撮影」が求められる場面は多い。ミラーレスはますます重用されることになりそうだ。
情報源:<カメラ>ミラーレスは舞台撮影に格好の機材(毎日新聞) – Yahoo!ニュース
情報源:カメラ:ミラーレスは舞台撮影に格好の機材 – 毎日新聞
ふむ・・・