ふむ・・・
【AFP=時事】合成麻薬「エクスタシー(Ecstasy)」の主成分MDMAには、他者への協力度を高める作用があるが、その対象は信頼できる人物に限られるとの研究論文が19日、発表された。他者を助けたいという意志にMDMAがどのように影響するかを調査した初の研究結果だという。
英国ではMDMAは、違法薬物の分類で最も有害とされる「クラスA」に指定されているにもかかわらず、摂取すると活力や共感、快楽感などを高める作用があるため広く消費されている。
MDMAには行動や心的状態に関連することが知られている神経伝達物質(脳内で情報伝達を行う化学物質)が含まれるが、これらが社会的交流にどのような影響を及ぼすかについては現在のところ、科学的にほとんど解明されていない。
英ロンドン大学キングスカレッジ(King’s College London)の研究チームは今回、被験者となった健康な成人男性20人に、娯楽目的で通常用いられる量のMDMAとプラセボ(偽薬)のどちらかを投与する実験を行った。被験者には投与後に一連の作業課題を実行させ、その間にMRI(磁気共鳴画像装置)スキャナーで脳活動状態の画像を撮影した。
■「囚人のジレンマ」で見えた効果
被験者に与えた思考課題の一つは、いわゆるゲーム理論の一例の「囚人のジレンマ」だった。被験者は、未知の他者である別の被験者と協力するか、競争するかの選択を迫られる。
両方の被験者が協力を選択した場合には、与えられる得点は2人で平等に分け合うことになる。もしも競争を選んだのが一方の被験者だけだった場合は、その被験者が全得点を獲得し、相手の得点はゼロになる。だが、競争を選ぶ際には、相手の被験者も競争を選んだ場合は2人とも得点がゼロになるというリスクがある。
実験の結果、MDMAを摂取した被験者はプラセボを与えられた被験者に比べて、協力を選ぶ傾向が強くなることが分かった。
だが予想外なことに、MDMAを摂取した被験者が協力的な行動を取ったのは、それまでに行った選択の観察結果に基づいて信頼できると判断した相手に対してだけだった。
ロンドン大キングスカレッジ精神医学・心理学・神経科学研究所のミトゥル・メータ(Mitul Mehta)氏は、AFPの取材に「MDMAには、他者を信用しやすくなる作用があるのではと考えていたが、それは誤りだった」と語った。
「実際には、MDMAによって相手をどう思うかという部分には全く変化はなかったのに、相手に対する行動は変化した」
「これは、MDMAが楽観視をもたらすために行動が変わるのではなく、実際はMDMAを摂取しても眼鏡は曇らず、信用できない人物は信用できないとみなすことに変わりはない」
■PTSD治療に有望
研究チームは、MDMAが脳の上側頭皮質と中帯状皮質の活動を高めることを発見した。この2領域は、他者の思考や意思への共感にとって重要な脳領域であることが知られている。
またMDMAを投与された被験者が、信用できる被験者と信用できない被験者のそれぞれの行動を処理する際に、右前島皮質の活動に顕著な違いが観察された。右前島皮質はリスクや不確実性の評価において重要な脳部位とされる。
「言い換えれば、MDMAの作用で被験者が他者を無警戒に信用することはなかったことになる」と、メータ氏は説明した。「MDMAは脳の挙動に大域的な影響を及ぼすのではなく、実際の影響は極めて特異的で、これを示した研究は今回が初めてであり、実に有用だ」
米専門誌「神経科学ジャーナル(Journal of Neuroscience)」に論文を発表した研究チームによると、今回の発見は心的外傷後ストレス障害(PTSD)などの精神疾患の治療の助けとなる可能性があるという。
MDMAは米食品医薬品局(FDA)によって「ブレークスルー・セラピー(画期的治療薬)」の指定を受けている。
PTSD治療のフェーズ3臨床試験が現在進行中だが、MDMAを医療研究目的でより広く利用可能にするべきだとメータ氏は指摘した。「治療の利用については非常に有望なので、人々に利用機会を与えないのは倫理に反すると思われる」「MDMAがどのように作用するかや、どのように脳に影響するかなど、MDMAに新たな関心が寄せられている」
情報源:合成麻薬MDMAに協力度高める効果、PTSD治療に有望(AFP=時事) – Yahoo!ニュース
情報源:合成麻薬MDMAに協力度高める効果、PTSD治療に有望 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News
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