ほぉ・・・
将棋のプロ棋士を目指す者にとって、棋士養成機関「奨励会(しょうれいかい)」の三段リーグは、突破しなければならない最終関門だ。関東と関西の三段が全員参加し、約半年かけて計18局を戦い、上位2人がプロ入りの四段に昇段できる。
高校生棋士の藤井聡太(そうた)七段(16)は、中学1年だった2015年10月18日に三段昇段を決めた。奨励会での初対局から約3年1カ月。順調に昇段したが、10月から始まる第58回三段リーグにはわずかの差で間に合わず、翌春の次の三段リーグまで待たなければならなかった。
師匠の杉本昌隆七段(49)は「半年も真剣勝負の機会が少ないと感覚が鈍ってしまう」と心配した。杉本は、控えめにしてきた聡太との直接対局を増やした。「藤井の将棋観も固まったと判断しました。私も藤井と真剣勝負を指してみたかった」
奨励会で世話役の「幹事」を4年間務め、聡太の成長を見てきた山崎隆之八段(37)は、杉本が雑談の中で聡太との対戦について語った内容を覚えている。杉本はこう話していたという。「最初は『ちょっと苦戦するようになった』。次いで『負けるようになった』『勝つのが大変に』。最後に『(勝負を)見切られるようになった』『勝負にならなくなった』」。序盤研究の熱心さや終盤の粘り強さで有名な強豪・杉本の率直な言葉に、山崎はびっくりした。
杉本はさらに、聡太のために東京の有力棋士との練習将棋もセッティングした。中学1年を終えた春休みに2泊3日で上京し、1日目は村山慈明(やすあき)七段(34)ら、翌日は高見泰地(たいち)叡王(えいおう)(25)、中村太地(たいち)王座(30)、増田康宏六段(20)、八代弥(わたる)六段(24)ら関東の若手トップ級と対戦させた。
「藤井がすごく負けました。4勝9敗くらいの記憶があります」。杉本は振り返った。山崎も「東京での武者修行でいろいろ吸収したのでは」とみる。
聡太も含めて計29人が参加する第59回三段リーグが間近に迫っていた。=敬称略(佐藤圭司)
◆毎週日曜に掲載します。
情報源:(大志 藤井聡太のいる時代)修業編:9 三段リーグまで半年、直接対局増やした師匠:朝日新聞デジタル
へぇ・・・