「インターネット・アーカイブのウェイバックマシンが記録した過去のウェブサイトの情報」に証拠能力があると裁判所が認める – GIGAZINE

へぇ・・・


Internet Archive(インターネット・アーカイブ)によって運営されている「Wayback Machine(ウェイバックマシン)」は日々更新されているウェブサイトを随時記録し続けており、過去に記録されたウェブサイトの情報は全て閲覧することが可能です。このため、ウェイバックマシンが記録した情報を見ることで「ウェブサイト上に悪意のある内容が掲載されていたこと」などの情報が明らかになる可能性が高いのですが、アメリカの裁判所では「過去に記録されたウェブサイトの情報に証拠能力はない」と扱われていました。しかし、2018年6月~2018年7月にかけて行われた裁判において、ウェイバックマシンが記録した情報が初めて「証拠能力がある」と認められ、有罪判決が下されました。

Archive.org’s Wayback Machine is legit legal evidence, US appeals court judges rule • The Register
https://www.theregister.co.uk/2018/09/04/wayback_machine_legit/

ウェイバックマシンが記録した情報に証拠能力があると認められたのは、イタリア人のファビオ・ガスペリーニが犯したハッキングに関する裁判でした。ガスペリーニは2014年にストレージデバイスの脆弱性を突くマルウェアを開発し、インターネット上に拡散。このマルウェアによって、アメリカ国内にある15万台以上のコンピューターが感染されることとなり、ユーザーの認証情報が盗まれたり、DDoS攻撃の踏み台にされたり、コンピューター上で行われたクリック操作をオンライン広告に送信されたりするなどの被害が発生しました。

事件が明るみになった後、アメリカ当局はマルウェアの「オンライン広告の機能」に着目します。それはオンライン広告で報酬を受けるには、掲載元となるウェブサイトが必要となるからです。そこで、当局がマルウェア被害によってクリックされたオンライン広告の掲載元サイトを調査したところ、サイト所有者がガスペリーニであったことが発覚。ガスペリーニは容疑者として逮捕されることになりました。逮捕の後、ガスペリーニの仲間によってサイトが全て削除されてしまったことで、証拠がなくなってしまったかのように思われましたが、ウェイバックマシンには削除前のサイトが記録されており、全て閲覧できる状態となっていました。このため、当局はウェイバックマシンが保存した情報を事件の証拠として裁判所に提出することにしました。

しかし、ウェイバックマシンが保存した情報が刑事裁判上の法的な証拠となるかは難しい状況にありました。それは、2009年に行われた民事裁判で「ウェイバックマシンの保存した情報には証拠能力はない」と判断されていたからです。当然ながら、ガスペリーニの弁護士は「過去の民事裁判の判例に従うのであれば、刑事裁判でもウェイバックマシンが保存した情報は無効になるはずだ」と主張しました。

しかし、裁判では「ウェイバックマシンが保存した情報には証拠能力が認められ、また信憑性も高い」と判断され、ガスペリーニに懲役1年の刑が科されることとなりました。ガスペリーニの犯した罪は軽犯罪にあたると判断されたため、比較的軽い刑罰となっていますが、「ウェイバックマシンの保存した情報に『証拠能力がある』と判断されたことは非常に大きなことである」と、The Registerは述べています。

情報源:「インターネット・アーカイブのウェイバックマシンが記録した過去のウェブサイトの情報」に証拠能力があると裁判所が認める – GIGAZINE


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