ほぉ・・・
猛烈なスピードで指し合う2人の棋士。その時、天才・藤井聡太七段の頭の中は一体どうなっているのか?
「たくさん手をひろって、じっくり比較しながらよんでいくというのは難しいので、なるべく最初の感覚で絞り込んでよんでいくという感じですね。どうしても感覚に頼る部分が多くなるんですけど、その瞬間どれだけ集中力を高めて、盤上に集中できるかというのが大事」(藤井七段)
舞台は『AbemaTVトーナメント Inspired by 羽生善治』。国民栄誉賞を受賞した羽生永世七冠が考案したルールのもと行われる対局だが、最初の持ち時間はわずか5分の“超早指し戦”。ただし、一手指し「チェスクロック」と呼ばれるボタンを押せば5秒増えるという仕組みで、残り時間が少なくなる局面に来ると、見ている方もハラハラドキドキだ。
羽生永世七冠は、自身が考案したルールについて次のように話す。
「見ている分には楽しいですけど、100メートルダッシュを何回も繰り返している感じ。競技としてはかなりハード(笑)。短い限られた時間の中でもスリリングな内容が続いていて、将棋の面白さ、魅力を表す1つの形にはなっている。パッと見てパッと指していかないと時間切れちゃうので、非常に直感というか、ロジックで考えるよりも感覚的に考えるというのが中心になる」
天才棋士と呼ばれた加藤一二三九段は、“天才の条件”として「『早指し』に強いことをあげたい。勉強をしている、していないにかかわらず、早く指すことができて、しかも着手が正確で、なおかつ勝つこと──これは、間違いなく天才の共通点である。絶対だ。天才は、盤を見た瞬間にパッと手がひらめくのである」と自身の著書で語っている。
そこで、誰もが認める天才・藤井七段を直撃した。加藤九段が天才の条件にあげた早指しについて、「あんまり得意、不得意とかの意識はしていないです」という藤井七段。指す手の“ひらめき”についても、「いや…自分はそういうことは少ないですね」と話す。
では、藤井七段の連勝記録を「29」でストップさせた、若手実力派の佐々木勇気六段はどうなのか。超早指し戦は、「指している自分たちもパニックになっています」という佐々木六段。「状況を把握するだけで精一杯で。時間がピーって鳴っていて、指さないと時間が切れちゃう。その中で考えるというよりも直感ですよね。最後の方はここだ!という感じで指しています」と話す。
「直感」――それを具体的に表現してもらうと、「最後の1秒とか2秒でひらめくというのがたまにあるんです。“見える”と言うんですけど、羽生永世七冠は『勝ちが見えたら手が震える』という。自分もほんのちょっとだけ感じて、緊張の中で見えたときは震えるものがあったなと」と語った。
棋士の直感について研究している理化学研究所の「将棋プロジェクト」。研究の対象となったのは、プロ棋士とアマチュア棋士それぞれ20名ほどで、プロ棋士の中には羽生永世七冠も含まれていた。「将棋プロジェクト」に参加した東京大学の中谷裕教助教は、研究について「アマチュアと比較することにより、プロ棋士の特異的な直感の仕組みは何か?というのを脳科学的に調べました」と説明する。
例えば、実際の対局でもあり得る「定跡形」と呼ばれる駒の配置と、絶対にこうはならないというデタラメな駒の配置を見せると、アマチュア棋士はどちらにも同じスピードで脳が反応したという。一方プロ棋士はというと、定跡形には0.2秒で反応し、デタラメな方には無反応。つまり、0.2秒で判断しているというのだ。
その上、一手選ぶのにかかった時間と正解率の関係を調べた別の実験では、驚くべきことに0秒で判断した場合の正解率が80%と最も高くなることがわかった。棋士の直感について中谷助教は、「将棋の強さそのものであり、長年の修行によって身につけた能力です」と語った。
直感を磨くことの大切さについて羽生永世七冠は、「小学生くらいの子が将棋が強くなっていく時に、ひとつ絶対磨かなくてはならないのが、パッ見て良い手が選べるかどうかというセンス。将棋が強くなるには絶対必要不可欠な要素だと思っている」と話している。
棋士の強さの源、直感。その詳しい仕組みを解明するには、まだまだ時間がかかりそうだ。
(AbemaTV/『けやきヒルズサタデー』より)
情報源:天才棋士の強さの源?「0.2秒」で判断するプロ棋士の“直感力”(AbemaTIMES) – Yahoo!ニュース
情報源:天才棋士の強さの源?「0.2秒」で判断するプロ棋士の“直感力” | AbemaTIMES
へぇ・・・