12歳の少女エンジニアが海のマイクロプラスチック汚染に対抗する装置を発明 – GIGAZINE

ほぉ・・・


リサイクル処理されなかったプラスチックが5mm以下の細かな粒子となったものをマイクロプラスチックと呼びます。近年、このマイクロプラスチックが海や食卓塩などを汚染しているということで大きな問題となっているのですが、この問題になんとわずか12歳の少女エンジニアが立ち向かっているということでAccuWeatherがピックアップしています。

12-year-old engineer invents device to combat ocean microplastic pollution
https://www.accuweather.com/en/weather-news/6th-grader-invents-device-to-combat-ocean-microplastic-pollution/70005513

日本では小学6年生の学年にあたる、わずか12歳の少女アンナ・ドゥーさんが、地球をマイクロプラスチック汚染から守るための発明に取り組んでいます。ドゥーさんはアメリカ・マサチューセッツ州のアンドーバーで暮らす少女で、2018年の「The 2018 Young Scientist Challenge」というコンテストでファイナリストにまで残っている人物。The 2018 Young Scientist Challengeは、小学5年生から中学2年生までの少年少女が、何かしらの問題に対する解決策を紹介する短いムービーを投稿し、このムービーを3万人の科学者たちが審査するというコンテストです。

ドゥーさんが発明したのは、生物を傷つけることなく海洋環境からマイクロプラスチックを検出・写真撮影・除去することが可能な赤外線を用いた水中遠隔操作モジュールです。

ドゥーさんに直接インタビューしたというAccuWeatherによると、ドゥーさんは「プラスチックは既に大きな問題を抱えています。マイクロプラスチックを魚が食べると、体内にビスフェノールAと呼ばれる毒素が生成されてしまいます。もしも魚が食べたプラスチックを排出したとしても、この毒素は体内に残ります」と語っており、マイクロプラスチック汚染による問題が環境だけでなく生物にも波及していることを指摘したそうです。

最新の研究によれば、大西洋・中深海水層に生息する魚の73%の胃袋からマイクロプラスチックが検出されており、汚染は想像以上のスピードで拡散していることが示唆されています。

汚染物質「マイクロプラスチック」が大西洋・中深海水層の73%の魚の胃に入っていた – GIGAZINE

マイクロプラスチックを食べた魚を人間が食べることにより起きる人体への悪影響も問題視されています。また、人間がマイクロプラスチックを体内に摂取してしまうのは、魚経由だけでなく食卓塩経由でも、微量ながら確認されています。なお、日本ブランドの塩では顔料に使われるフタロシアニンが検出されている模様。

海水から作る食卓塩には健康への影響が懸念される微小なマイクロプラスチック粒子が含まれている – GIGAZINE

このように世界中で問題となっているマイクロプラスチック汚染を解決するために、ドゥーさんは遠隔操作可能なモジュールに赤外線センサーを用いることに決めます。赤外線センサーを用いるのは、実験室にサンプルを送ることなく手軽に水中の無害な物質とマイクロプラスチックを区別できるようになるからだそうです。

「私は海に浮かぶプラスチックが大きな問題であることを知った際、海洋関連のプロジェクトに取り組みたいと考えました。そしてボストン・ハーバーのビーチへ行ったのですが、どこかしこで投棄されたプラスチックを見かけることができました」と、マイクロプラスチック汚染について取り組むことを決めた際のことについて語るドゥーさん。

ドゥーさんの発明のユニークな点は、マイクロプラスチックを識別するために利用している数学的アルゴリズムにあります。「私がまず行ったのは、水中のプラスチック写真を撮ることです。しかし、写真からプラスチックを選別するのに本当に時間がかかることがわかったため、何がプラスチックで、何がそうでないのかを識別できるアルゴリズムを作ることにしました」とドゥーさんが語る通り、水中のマイクロプラスチックを識別するためのアルゴリズムはドゥーさんが自作したものだそうです。

水中遠隔操作モジュールでマイクロプラスチックを検出している様子。水中遠隔操作モジュールは有線でコントローラーとつながっており、記事作成時点では25フィート(約7.6メートル)ほどしか伸びませが、将来的にこれを伸ばすことも計画しているとのこと。

海洋保健科学者のルス・クラウディオ博士は、「私は海のプラスチック問題、特にマイクロプラスチック汚染を解決するための彼女(ドゥーさん)の革新的なアイデアにとても感銘を受けました」と語っています。

ドゥーさんがThe 2018 Young Scientist Challenge用に投稿した、水中遠隔操作モジュールについて解説するムービーは以下から見ることができます。なお、ドゥーさんは彼女の指導者である先端研究専門家のアン・フォルノフ博士の助けを借り、水中遠隔操作モジュールをさらに改良することを計画しています。

DE3MYSL Submission – Developing a Smart Infrared Based ROV to Identify Ocean Microplastics – YouTube

情報源:12歳の少女エンジニアが海のマイクロプラスチック汚染に対抗する装置を発明 – GIGAZINE


へぇ・・・