開発加速、初参加ソフト1位2位 世界コンピュータ将棋選手権:朝日新聞デジタル

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戦況を見つめるHefeweizenの開発者ら=5日、川崎市幸区の川崎市産業振興会館
戦況を見つめるHefeweizenの開発者ら=5日、川崎市幸区の川崎市産業振興会館

将棋ソフトの実力世界一を決める第28回世界コンピュータ将棋選手権(コンピュータ将棋協会主催)が3~5日、川崎市産業振興会館(同市幸区)で過去最多の56チームが参加して開かれ、初参加の「Hefeweizen(ヘーフェヴァイツェン)」が優勝した。準優勝も初参加の「PAL(パル)」で、いずれも短期間の開発で力をつけた。新規参入の容易さが全体のレベルを押し上げている。

3日の1次予選には初出場11チームを含む40チームが参加し、上位8チームが2次予選に進んだ。4日の2次予選はシードの16チームと合わせて24チームが参加し、上位8チームが決勝に進出した。

過去2回優勝し、昨年の電王戦で佐藤天彦名人(30)を破った「PONANZA(ポナンザ)」は「引退」を表明し、今回は不参加だった。また、前回優勝の「elmo(エルモ)」は通信プログラムのバグ(誤り)による反則負けが影響し、2次予選で敗退。どこが優勝するか、予測が難しい決勝となった。

決勝は8チームの総当たり戦。持ち時間は予選と同じ各10分で、手番が来るごとに10秒加算されるルールだ。4R(ラウンド)を終えた時点でトップに立ったのは第24回大会で優勝した「Apery(エイプリー)」。だが次の5Rで「Hefeweizen」に敗れ、「Hefeweizen」「PAL」と3チームが4勝1敗で並んだ。

6Rは「Hefeweizen」と「PAL」の直接対決。終盤、「Hefeweizen」が優位を築くも「PAL」も粘って敵陣に玉将が入り、図は203手目▲9一玉としたところ。先手が勝つためには駒数は足りないが、簡単には詰まされそうにない。

図・203手目▲9一玉まで
図・203手目▲9一玉まで

実は同選手権では、ソフト同士ならではのルールがある。千日手でもなく、手数が256手に達した場合は、どんなに形勢に差があっても引き分けとなる。実際、他の対戦で、あと1手で詰む局面で引き分けとなった対局があった。

引き分けになるのかどうか、関係者が見守る中、図から△7四馬▲9三銀△9二馬▲同銀成△5一飛▲8一角△8三銀以下、240手で後手が寄せきった。これで「Hefeweizen」が1チームだけ1敗を守り、最終7Rを待たずに優勝を決めた。

■人間に似た工夫、勝敗左右

「Hefeweizen」を開発したのは芝世弐(せいじ)さん(45)と松下光則さん(52)。いずれも人工知能(AI)の専門家ではなく、開発を始めてまだ1年くらいだという。時間を有効に使うため、相手の手番に相手の指し手を予測するプログラムを導入。実際、9割以上の確率で手が当たり、時間を節約できたという。思わぬ優勝に「決勝に出られたらという感じだったので驚いています」と芝さん。喜びを隠しきれない様子だった。

2位のPALも短期間で作られたソフトだ。囲碁ソフト開発者である山口祐さん(31)が4月から「完成品を流用して突貫工事」で開発した。山口さんは「ここまでの成績を残せたのは幸運だった」と話す。

同協会の滝沢武信会長は「昔の開発者は一から作ったけれど、今はライブラリーが充実しているので、ある程度の知識があればいきなり強いソフトができる」。同じプログラムを参考にするため、実力差が小さくなっているという。遠山雄亮六段は「ソフトが自分の中に定跡を持ったり、相手の時間を有効に使ったり、細かな工夫が勝敗を左右する。人間同士の対局に近いところがあり、奥深いです」と話した。(村上耕司)

■第28回世界コンピュータ将棋選手権決勝の結果

プログラム名 勝ち数 順位
T.N.K. × × × 3.5 5
Hefeweizen × 6 1
Apery × × × 4 3
PAL  ○ ×  ○  ○  ×  ○  ○ 5 2
クジラちゃん  △  × ×  ×  –  ○  3 6
名人コブラ  ×  ×  – ×  ○  3.5 4
Qhapaq  ○ ×  ×  ×  ×  ○  × 2 7
 HoneyWaffle  ×  ×  ×  ×  ×  ×  ○  1 8

※勝ち数は○が1、△(引き分け)は0.5。勝ち数合計が同じ場合は、対戦相手の勝ち星の合計などで順位を決定。正式名称は(1)「the end of genesis T.N.K.evolution turbo type D」(5)「大合神クジラちゃん2」(7)「妖怪惑星Qhapaq」

情報源:開発加速、初参加ソフト1位2位 世界コンピュータ将棋選手権:朝日新聞デジタル



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