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ISP(インターネットサービスプロバイダ)などの通信企業にネットコンテンツの平等な取り扱いを求めるアメリカの「ネットワーク中立性(ネット中立性)」規制が2018年6月11日に撤廃されることになりました。通信インフラの管理コストを削減することで収益性を高められるISPは大歓迎のネット中立性規制撤廃ですが、そもそもネット中立性を維持した状態でも通信企業はぼろ儲けの状態であり、ネット中立性規制の撤廃は不当だと電子フロンティア財団(IEE)が糾弾しています。
The Big Lie ISPs Are Spreading in State Legislatures Is That They Don’t Make Enough Money | Electronic Frontier Foundation
https://www.eff.org/deeplinks/2018/05/big-lie-isps-are-spreading-state-legislatures-they-dont-make-enough-moneyオバマ政権時代に作られた「ネット中立性規制」の根拠は、インターネットが表現の自由に大きく関係する社会インフラという側面があることに鑑みて、表現の自由を保障することにありました。ネット中立性規制問題については、以下の記事を見ればよくわかります。
「ネット中立性」規制の撤廃で大きく揺れるアメリカの「オープンなインターネット」を巡る問題とは? – GIGAZINE
表現の自由の保障というインターネットコンテンツ提供者やコンテンツ利用者の立場に対して、インターネット回線を提供するISP事業者からは、ネット中立性規制のせいでインフラ整備・維持コストが高止まりし、企業の投資意欲が減退し通信品質が悪化することで、将来的にはかえって情報格差の拡大が生じ得るという危険性が指摘され、連邦通信委員会(FCC)はこの主張を容れて、ネット中立性規制の撤廃を決定しました。
しかし、IEEによるとISP事業者がロビー活動中に主張した「インフラ維持コスト増」については事実を正しく伝えていないとのこと。ISP企業にとってブロードバンド回線を提供するのに最も大きな負担は、光ケーブルなどを敷設するイニシャルコストであり、これが全支出の80%に達するとIEEは指摘しています。つまり、メンテナンスや品質向上のための施策などインターネット回線提供にかかるコストは全コストの5分の1しかないとのこと。
しかも、回線維持コストをはるかに上回る高い収益性をISP企業は享受しているとIEEは指摘しています。以下のグラフは、テネシー州でブロードバンド回線を提供する地方企業のEPB Fiber Optics(EPB)の資産状況を示したものです。ほぼ一定の設備投資額(灰色)に比べると、オペレーション費用(オレンジ)は右肩上がりです。しかし、オペレーション費用が上がるのに比例して、収益(青色)も右肩上がりで収益性は極めて高い状態であることが分かります。
このからくりは、光ケーブル敷設のイニシャルコストに比べると、メンテナンスコストが圧倒的に低いことにあります。そして、アメリカの各地域でインターネット回線を提供する企業は独占状態にあることからこれまでに莫大な利益を上げて初期投資した多額の費用を回収できており、あとはサービスを展開するだけで利益を上げられる構造にあるというわけです。独占ゆえに高いサービス料金設定できるという恩恵を受けており、ネット中立性規制を撤廃すべき理由として挙げた「インフラ整備・維持コストの高止まり」というのは事実と異なるというわけです。
EPBは地方の小規模ネットワークですが、大手企業を見れば2500万人の顧客を抱えるComcastの2016年の収益は86億ドル(約940億円)、AT&TとVerizonに至っては約130億ドル(約1400億円)もの利益を上げており、参入障壁が極めて高い業界の独占的な企業ゆえの高収益構造に守られていることは決算報告から明らかだとのこと。
「アメリカのインターネット利用者は、プライバシーが保護されネット中立性が担保された高速回線を手に入れるために必要となる以上の料金を支払っている」と述べ、ネット中立性規制の撤廃により、一部コンテンツの速度が抑制される不利益を受けることになるのは不当だと主張しています。
情報源:「ネット中立性」規制撤廃の理由に挙げられた「ISP事業者の過度な負担」は真っ赤なウソと電子フロンティア財団が独占的ISP事業者を批判 – GIGAZINE
えぇ・・・