ふむ・・・?
200万タイトルに及ぶ書籍を分析した結果から、著者名に女性の名前が入っている本は男性の本に比べて価格が45%も低く、およそ半分の値段で販売されているという実態が明らかになっています。
Comparing gender discrimination and inequality in indie and traditional publishing
http://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0195298Books by women priced 45% lower, study finds | Books | The Guardian
https://www.theguardian.com/books/2018/may/01/books-by-women-priced-45-lower-study-findsこの実態を明らかにしたのは、ニューヨーク市立大学クイーンズ校の社会学者であるダナ・ベス・ワインバーグ氏と数学者のアダム・カペルナー氏の研究チームです。ワインバーグ氏は、出版の世界は著者・評論家の両面で男性によって支配されて偏りが生じていることを明らかにした2017年10月のGuardianの記事に関心を持ったことから、今回の調査を行うことを決めたとのこと。この調査についてワインバーグ氏は「我々の研究では、『著書のジャンルにおけるジェンダーの分離』『ジャンルごとの価値の違い』『ジャンル内での差異』の3つの点を調査しています」と述べています。
チームは、2002年から2012年の間に北米で出版された200万タイトルの書籍を分析。その際には、男女の名前が記録されたデータベースを用いて著者の性別を分類し、価格・ジャンル・出版に関する情報を収集しました。
その結果判明したのが、「女性の著者による書籍は、男性による書籍に比べて価格が平均して45%低い」という事実でした。また、女性であることが明白ではないものの、女性とおぼしき著者による本の価格も、男性の著書に比べて9%価格が低かったということも明らかにされています。
さらに、ジャンルにおいてもジェンダー間で違いが存在することが明らかにされています。女性はロマンス作品などのジャンルで多数を占めており、この偏りも男女で平均価格が異なる原因の一つであるとのこと。科学分野など、単価が高く設定されるジャンルは男性が大多数を占め、価格が低くなりがちなロマンス系で女性が多いという傾向も、女性による著書の平均単価を引き下げる要因となっています。
ジャンルの偏りという要因はあるものの、なぜこれほどまでに男女間で著書の価格が大きく異なるのかについては明らかでない部分も多く残されています。ワインバーグ氏はその原因の一つを社会に存在するジェンダー間の格差であるとし、「私たちは、最初の2つの差異を考慮することでジェンダー間の違いを説明できると考えていましたが、それは間違いでした。3つめの点『ジャンル内での差異』においてもその違いは歴然としていました。今思えば、社会一般的にも男女間で収入格差が存在することを考えると、この違いは驚くべきものではなかったのかもしれません」と述べ、単なるジャンルの違いではなく、より大きな社会という枠組みの中でジェンダー間での価格の違いが生じていることを示唆しています。
研究チームでは、従来の大手出版社からの書籍と併せて個人出版による書籍の価格も調査しています。その結果からは、個人出版の世界ではジェンダー間の価格差は7%とぐっと縮まっていることが明らかになっています。この結果についてワインバーグ氏は「出版社が介在しない場合、ジェンダー間の差異は少なくなっていますが、それでもなお同じパターンの傾向は存在しています」とし、その理由は旧来の出版社に存在する性差別的な概念の存在を指摘しています。
この結果に関しては、女性作家から「失望させられるものだが、驚きではない」「女性は男性に比べ、賛同的であるように社会的に求められているという事実があり、出版社のエージェントに対してより多くを求めてプッシュすることに対しるためらいがあるのではないか」などの声が挙がっており、特に旧来の出版業界の中にはまだまだ男性優位的な考え方が残っているという見方が示されています。
情報源:女性が書いた本は男性の本の半分の値段で売られているという実態が明らかに – GIGAZINE
へぇ?