「塀のない刑務所」更生託したのに 大井造船作業場、受刑者逃走:朝日新聞デジタル

逃げたら逃げるだけ刑が重くなればいいのに。


尾道大橋南詰めで、市中心部方面へ向かう車を検問する警察官=11日夜、広島県尾道市向東町(画像の一部を加工しています)
尾道大橋南詰めで、市中心部方面へ向かう車を検問する警察官=11日夜、広島県尾道市向東町(画像の一部を加工しています)

「塀のない刑務所」として知られる松山刑務所大井造船作業場(愛媛県今治市)から受刑者の男が8日夜に逃走した事件で、愛媛県警などは単純逃走容疑で指名手配し、捜索を続けている。法務省は開放的施設の更生効果を強調しつつ、警備の検討を始めた。

■模範囚、寮で生活/従業員と作業

逃走したのは窃盗罪などで服役中の平尾龍磨容疑者(27)。2015年3月から服役し、昨年12月にこの作業場へ来た。刑期は20年1月までだった。

作業場は民間の造船会社の敷地内にある。受刑者は敷地内の寮で暮らし、日中は従業員とともに溶接などの作業に当たる。夜間は寮内を刑務官が巡回するが、鉄格子や周囲を囲む高い壁はなく、「開放的施設」と呼ばれている。

愛媛県警などによると、平尾容疑者は8日夕、夕食後に走って逃げたとみられ、川に面した作業場のフェンスを乗り越えた可能性がある。その後は民家で盗んだ車に乗り、瀬戸内しまなみ海道を逃走。車は瀬戸内海に浮かぶ人口約2万人の向島(広島県尾道市)の駐車場で乗り捨てられた。

島内では10日朝までに、民家などから現金や車の鍵、サンダルなどが盗まれる被害が6件確認された。車の鍵が盗まれた民家の近くで「車をお借りします」という趣旨の手書きメモも発見。車上荒らしにあった車から平尾容疑者の指紋が検出されたという。愛媛、広島両県警は平尾容疑者が窃盗を繰り返しながら島内を逃げている可能性が高いとみている。12日まで両県警で計約2200人の捜査員が捜査にあたった。約1千戸ある空き家周辺や山間部を中心に行方を捜している。(柳川迅、寺田実穂子、藤井宏太)

■再犯防止に効果、警備は検討

全国の開放的施設
全国の開放的施設

法務省によると、同種の開放的施設は全国に計4カ所。開放的施設に入る受刑者は、殺人や性犯罪などで収容された凶悪犯でない▽入所期間が最長で約2年――などの条件を満たす「模範囚」。複数の刑務官らの意見を元に選ばれるという。

大井造船作業場では1961年の開設以来、02年までに16件19人が逃走。今回は16年ぶりだった。松山刑務所の河内睦大総務部長は「受刑者の内心を見抜けなかった」と話す。

ただ、最新データで、この作業場は刑期を終えた全受刑者が再び刑務所に入る割合を示す「再入率」が6・9%と、全国平均の41・4%を大幅に下回る。上川陽子法相は事件後、開放的施設について「再犯防止に果たす役割は大きな意義がある」と述べ、警備などを検討する委員会を立ち上げた。

矯正制度に詳しい藤本哲也中央大学名誉教授は「受刑者を閉じ込めておくだけでは、更生や早期の社会復帰に弊害がある。犯罪傾向が進んでいない場合、徐々に自由になれていくため開放的施設での服役が必要だ」としている。(浦野直樹)

情報源:「塀のない刑務所」更生託したのに 大井造船作業場、受刑者逃走(朝日新聞デジタル) – Yahoo!ニュース

情報源:「塀のない刑務所」更生託したのに 大井造船作業場、受刑者逃走:朝日新聞デジタル


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