へぇ・・・
将棋の最多連勝記録を30年ぶりに更新した中学生棋士の藤井聡太四段が、3日、NHKの単独インタビューに応じました。およそ30分にわたるインタビューの主な内容は以下のとおりです。
「すごく密度の濃い1年」
Q
きょう9月3日は、1年前、ちょうど三段リーグを抜けてプロ入りを決めた日。改めてこの1年間を振り返って、率直にどう感じている?
A
プロ入りから1年で、デビュー戦からいろいろ貴重な経験をさせていただいた1年だったと思います。今まで経験できなかったことがいろいろあったので、すごく密度の濃い1年だったなと思っています。Q
プロの世界に入ったことで、これまでと違うなと感じたことは?
A
デビュー戦で加藤(一二三)先生に教わるということも、今までにない経験でしたし、あれだけ注目を受けるということも本当になかったことなので、すごくいい経験をさせていただいたなと思っています。Q
注目の渦中で何を感じていた?
A
プロ入り前には全くなかったことだったので、突然の変化に驚きの思いもありましたが、これを機に将棋に興味を持ってくださった方がいれば、本当にすごくうれしいことなので、そういった意味では、本当にありがたいことだなと思いました。Q
自分自身の戦績に注目が集まっているということに対して、緊張感やプレッシャーは?
A
期待していただいているということを感じる機会ももちろんありましたが、そういったことを過度に意識してしまうとよくないので、対局の際には自然体でというふうに、いつも心がけていました。
将棋というのは盤上ですべての決着が着くゲームなので、周りは気にせずに盤上に集中するだけだというふうに思っていました。連勝ストップ「プロの厳しさ感じる」
Q
公式戦29連勝を果たしたあと、佐々木勇気五段に敗れました。負けたことで得られたことは?
A
連勝というのはかなり出来すぎな結果だったと思うんですが、一度公式戦での負けというものを経験したことで、改めてプロの厳しさというものを感じる部分はありました。Q
初めて敗れた時は、率直にどう感じた?
A
率直に、敗れたことに対する悔しさというのもありましたし、終局直後はその気持ちが一番でしたけど、後から思えば、それもプロの厳しさを見せられた、いい経験になったなと思っています。Q
逆に、負けたことでプレッシャーから解放されたような思いは?
A
記録というのはそこまで意識はしていなかったので、連勝ということに対しては特にはなかったです。Q
勝負に勝って得られることと、敗れて得られることにはどのような違いがある?
A
負けるか勝つかと言ったら勝ちたいのはもちろんですけど、負けることで、自分の指した手の中によくない手があったということがよりはっきりわかるので、それをまた反省するというのが、今後につながっていくのかなと思います。森内九段に勝利「非常に自信に」
Q
きょうNHK杯で、永世名人の資格を持つ森内俊之九段と戦い、今率直にどう感じている?
A
永世名人資格者の森内先生と対戦できるということ自体、とても貴重な機会でしたし、また、生放送ということで大変注目される舞台でもあったと思いますが、そういったなかで森内先生に自分の将棋をぶつけることができてよかったなと思っています。Q
森内九段は、藤井四段にとってどのような存在?
A
自分がプロになる前から第一線で活躍してこられた先生で、ずっと仰ぎ見る存在という感じだったので、ここにきてNHK杯という舞台で対戦できたことは非常にうれしかったです。Q
その森内九段に快勝とも言える内容。どのように受け止めている?
A
結果もそうですけど、自分の持っている力を出し切れたのかなと思います。トップの先生に勝てたということは本当に、非常に自信になったと思います。Q
1年前は三段リーグを戦っていたころだったが、わずか1年で森内九段らトップと戦っている。プロ入り後の状況の変化をどのように感じている?
A
プロになったことで、トップの先生とも対戦できるようになって、そういった経験は、今後の糧にもなるものだと思うので、そういった意味で本当に、すごくいいことだったと思っています。卒業後の進路は「難しい決断」
Q
学業との両立は、夏休み中もできた?
A
夏休みはせっかく時間があるので、それを将棋に回すというのはもちろんですが、当然学校の勉強もあるので。そういったところは、今後も含めて、うまくやっていければと思います。Q
将棋に集中するあまり、夏休みの宿題や課題が後回しになってしまったようなことは?
A
ちょっとまあ、後手後手に回してしまった感じはありました。Q
8月下旬に忙しくやったような?
A
そうですね。だんだん忙しくなった感じでした。Q
夏休みに限らず、将棋と学業の両立の難しさについて、ふだん感じることは?
A
将棋で今以上に強くなるということはもちろん大切ですけど、もちろん、学業もおろそかにしてはいけないので、そういったところをうまくやっていけたらと思います。
今は将棋に充てる時間が多いですけど、勉強のほうも興味を持って、いろいろなことに興味を持って取り組んでいきたいと思います。Q
来年3月で中学を卒業するが、卒業後の進路の希望については、どう考えている?
A
本当にそれについては、難しい決断だと思っているので、またじっくり考えて決断できればと思っています。Q
進学を考えるときに、特に何が難しく感じる?
A
そうですね。将棋と学業どちらも大切なことではあるので、そういったところで、すぐには決めきれないところがあるかなと思います。まだ時間がありますので、また改めて考えていきたいと思っています。Q
これまでに中学生でプロ入りを決めた棋士は、全員高校に進学している。将棋界の外の世界での学びも経験したいという意欲がある?
A
そうですね。将棋だけでなく、視野を広げていきたいという思いもあります。Q
プロ棋士として遠征の対局も増えるなか、高校に通いながらというのは大変だと思うが、そこへの心配な思いもある?
A
将棋においても、これからが強くなれる時期でもあると思うので、そういう意味でも難しいところだと思います。「符号」で読み たまに「盤面」
Q
手を読むとき、頭のなかではどんなイメージが浮かんでいる?
A
最初、符号で進んでいって、たまに盤が出てきてそこで改めて形勢判断をしたりというか、読み進めているときは符号で考えることが多いですね。Q
頭の中で盤上のイメージが絵として浮かぶときもある?
A
そうですね、局面を見て、本当に漠然とですけど、イメージというかそういうのが浮かぶこともあります。Q
そのイメージは白黒?色はある?
A
いや・・、あんまり色では感じない気がします。Q
いい手が光るようなことは?
A
将棋を長くやっていくと感覚的にそういうこともある程度つかめてくるので、そういった手が見えた時は、たしかにそういうイメージもあるかもしれません。Q
そういうイメージというと?
A
その手のあたりがちょっと違うという感じに、感じることもあります。Q
将棋人口は海外にも広がっている。将棋に興味持った方に上達のヒントは?
A
将棋は非常に奥深いゲームですので、そういったところを感じながら楽しんで指していただくというのが一番ではないかと思っています。
私でもいろいろ新しい発見が日々あるので、奥深さや複雑だからこそのおもしろさを感じてほしいなと思います。目標は「竜王」や「名人」 実力つけたい
Q
自分の中で、まず達成したい目の前の目標は?
A
今はまだトップ棋士には実力的に及ばないところも多いかなと思いますので、目先の結果よりも長期的に考えて、今より強くなるということを目標にしてやっていけたらと思っています。Q
より長期的に見た場合の、プロ棋士としての目標や夢は?
A
まずは実力をつけることが一番ですけど、プロ棋士である以上は「竜王」や「名人」といったタイトルを目指していかないといけないと思うので、実力をつけて、そういった舞台に立つことを目標にしたいと思います。Q
竜王、名人といったタイトルへの挑戦、登山だったら、今どのあたりにいる?
A
1年前の三段のころと比べて、公式戦でトップの先生に教わる機会もあって、そういった意味で、徐々に近づいてはいるのかなと思います。
トップ棋士の先生には自分にはない技術を感じる部分もあったので、そういった部分を取り入れて今後もやっていきたいと思っています。Q
竜王や名人への挑戦に向けて、どんな努力が必要?
A
まず一番には、もっともっと実力をつけることだと思っています。
強くなるための方法論は将棋においては確立されていないように思うので、試行錯誤してやっていくことになるかなと思います。Q
試行錯誤とはどういったことを?
A
最近は将棋ソフトが非常に強くなっていて、フリーソフトとして公開されているものもあるので、そういったものを勉強法の一環として取り入れています。
自分にはない感覚の手を指摘されることも多いので、そういったところも取り入れていけたらというふうに思います。Q
将棋ソフトの手を気になる対局の局面で参考にしたり、勉強の材料にしたりということですか?
A
読み筋、形勢判断などの参考にしています。Q
さらに実力をつけたいというと、具体的には?
A
手を読んでいくなかで、もうちょっといろいろな手を拾って視野を広くして読んでいかないといけないなと感じる場面はありますね。Q
特に中盤の難所みたいなところ?
A
そういった局面で、もっといい感覚を身につけたいと思っています。Q
戦法の幅みたいなものについては、どのように考えている?
A
本当は序盤から自分から考えて、いい手を作るのが理想ですけども、それはかなり遠いので、そういった意味で序盤の勉強とか研究というのも、ある程度は今の段階では必要かなと思っています。「トップに恐れずにぶつかりたい」
Q
これからのタイトル獲得への思いは?
A
タイトル戦というのは最高峰の舞台なので、そこに早く立ちたいという思いもありますけど、まずはじっくりと力をつけて、そういった舞台に立てるだけの実力をつけられたらなと思っています。Q
タイトル戦の舞台に立つ自信は?
A
まだまだ強くなる余地がたくさんあると思っているので、もっとどんどん進化して、そういった舞台を目指したいと思っています。Q
棋士としてこれから大切にしていきたいことは?
A
もっと強くなって、最終的には自分の将棋の「色」というか、そういったところも出せるようにしたいと思っています。Q
“藤井流”と言われるようなものが見つけられればという思い?
A
そうですね、そういったところを目指したいと思っています。Q
いつか対局したい相手は?
A
もちろん羽生(善治)先生をはじめ、公式戦で教わりたいという先生はたくさんいますけれども、自分が勝ち上がっていかないといけないので、対戦できるようにこちらが頑張らなくてはいけないかなと思います。Q
将棋を勉強していたころ憧れていた棋士と将棋を指しているんだということ、信じられない気持ちでいる?
A
こういった舞台に立てるようになったんだなあという特別な感慨はありますけど、ただ、プロ棋士として勝負は対等な関係だと思っていますので、今後もトップの先生にも恐れずにぶつかっていきたいと思います。
ほぉ・・・