一強時代
2023.7/16 10:00
藤井聡太七冠にとって、ヒューリック杯棋聖戦と並んで行われる、伊藤園お~いお茶杯王位戦が7、8日、愛知県豊田市の『豊田市能楽堂』で始まった。挑戦者は棋聖戦と同じ、佐々木大地七段。
この2つを防衛し、王座戦の挑戦者決定戦で勝てば、いよいよ全冠取りのショーが見られることになる。
それにしても、なぜ藤井一人にタイトルが集まるのか、不思議に思う人は多いはずだ。これでは将棋界の話題が、藤井一人に集まるのも無理はない。
私は以前から、一対一で戦い、点数でなく決着をつける競技は、絶対王者が出やすいと思っている。
このジャンルには相撲や、格闘技とも言える柔道、レスリングなどが含まれる。格闘技も点数で決着がつくことがあるが、それでも柔道やレスリングには200連勝以上という、絶対王者が存在した。相撲も横綱だけが優勝し、通産勝率が8割を超えるという時代があった。
室内競技においても、同じ形態を持つ「競技カルタ」は常に絶対王者がいると聞く。
将棋においても、昭和30年代(1955~)からは、大山康晴十五世名人、次は中原誠十六世名人、そして平成時代は7冠全冠制覇の羽生善治九段と、一強時代が長く続いた。
ただしどの時代もライバルはいて、タイトルを取られたこともあったのだが、今の藤井は一度も苦汁を飲んだことがないまま、王者となっている。
第1局は振り駒で藤井の先手となった。藤井は振り駒にも強く、先手番の勝率が9割超えなので、番勝負で初戦に先手を引き当てる意味は大きい。
棋聖戦の方も第3局を終え、すべて先手勝ちで、藤井の2勝1敗となっている。
佐々木にしたら、後手番の対策は相当練ってきたはずで、それが新四段の頃に愛用していた、横歩取り戦法だった。一時は大流行したが、最近は勝率が悪いとして、めっきり減ってしまった戦法を持ち出したのだ。
将棋は佐々木の工夫もあり、後手のペースで進んだと見えた。しかし中盤過ぎに、得意のジックリ指すところで動き、動くべきところで囲うなどのちぐはぐがあって、佐々木は形勢を損ねた。最後は完封されての投了だった。
このままやはり佐々木も藤井には勝てないのか、同期の意地を見せるのか、次の佐々木の先手番に期待したい。
■青野照市(あおの・てるいち) 1953年1月31日、静岡県焼津市生まれ。68年に4級で故廣津久雄九段門下に入る。74年に四段に昇段し、プロ棋士となる。94年に九段。A級通算11期。これまでに勝率第一位賞や連勝賞、升田幸三賞を獲得。将棋の国際普及にも努め、2011年に外務大臣表彰を受けた。13年から17年2月まで、日本将棋連盟専務理事を務めた。
情報源:【勝負師たちの系譜】「絶対王者」に近づく藤井聡太七冠、王位戦開幕 なぜ藤井一人にタイトルが集まるのか…相撲や柔道に見る王者の法則(1/2ページ) – zakzak:夕刊フジ公式サイト
最初に藤井聡太竜王からタイトルを奪取するのは誰だ?
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