番勝負
2023.5/27 10:00
タイトル戦の番勝負は、当然ながらトーナメント戦とは、明らかに違う勝負である。
七番勝負なら3局負けても、それは負けではないのだ。従って強い人ほど、番勝負は有利と言える。
番勝負ではないが、この考え方にハッとさせられたことがある。棋士が順位戦でA級を目指すとき、B級1組は最後の関所と言われる。
A級から落ちた人、元タイトル保持者といった、猛者が多くいるからで、ここを突破できず、A級に行けなかった人は数多い。
しかし羽生世代の優秀な若手たち(藤井も)は、ほとんど1期で抜けていった。それはB級2組までは1人10局で、1敗すると昇級できないこともあるのに対し、B級1組は12局で、9勝はまず昇級ライン。つまり3局負けても大丈夫という勝負は、強い人にとっては楽なのである。
この有利な立場に完全に立ったのが、現在6冠の藤井聡太竜王だ。
現在は誰が挑戦者となっても、「藤井に七番勝負で4局勝つのはまず無理」と思わせるものがある。これを周りだけでなく、相手自身が感じたら、まず勝てるものではない。
今年に入って行われた、羽生善治九段との王将戦、そして今藤井が渡辺明名人に挑戦している名人戦を見ていると、それをつくづく感じるのだ。
名人戦は藤井2勝の後、名人が勝った第3局は久々の快勝で、藤井に対する苦手意識を払拭できたかと思わせたが、続く第4局は69手で、ポッキリ折れるように名人が投了した。
これで藤井の3勝1敗となり、羽生に続く7冠が見えてきた。
とは言え、渡辺も羽生相手に竜王戦で、3連敗から4連勝した実績もあるので、まだ終わったわけではないが、精神状態がこのままではかなり防衛は難しい。
ただし全冠の8冠を目指す上では、今進行中の菅井竜也八段との叡王戦防衛がまず一つ。
そして6月から始まる「ヒューリック杯棋聖戦」、7月開始の「伊藤園お~いお茶杯王位戦」と、2つの防衛戦を勝つことが条件である。
挑戦者はどちらも佐々木大地七段で、佐々木は藤井と棋士番号(棋士になった順番)が一つしか違わない同期。
対戦成績も2勝2敗で、佐々木にとっては良きライバルだったはずが、藤井に手の届かない高みに行かれた思いであろう。
佐々木の強みは、藤井に散々やられた記憶がないことで、これがどう出るかが楽しみな初夏のタイトル戦となった。
■青野照市(あおの・てるいち) 1953年1月31日、静岡県焼津市生まれ。68年に4級で故廣津久雄九段門下に入る。74年に四段に昇段し、プロ棋士となる。94年に九段。A級通算11期。これまでに勝率第一位賞や連勝賞、升田幸三賞を獲得。将棋の国際普及にも努め、2011年に外務大臣表彰を受けた。13年から17年2月まで、日本将棋連盟専務理事を務めた。
情報源:【勝負師たちの系譜】強者ほど有利なタイトル戦の「番勝負」 誰が挑戦者でも「七番勝負で4局勝つのは無理」と思わせる藤井聡太竜王(1/2ページ) – zakzak:夕刊フジ公式サイト
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七番勝負なら3局負けても、それは負けではないのだ。従って強い人ほど、番勝負は有利と言える。#zakzak
— zakzak (@zakdesk) May 27, 2023
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か
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