第81期 名人戦七番勝負 第四局 2日目 渡辺明名人 対 藤井聡太竜王
感想戦
現地大盤解説
解説者:中田功八段
聞き手:水町みゆ女流初段
2023/05/22 21:19
将棋の藤井聡太竜王(王位、叡王、棋王、王将、棋聖、20)が5月21・22日の両日、福岡県飯塚市の「麻生大浦荘」で行われた第81期名人戦七番勝負第4局で渡辺明名人(39)に69手で勝利した。この結果シリーズ成績を3勝1敗とし、最年少名人と七冠獲得に“王手”をかけた。次戦、第5局は5月31日・6月1日の両日、長野県高山村の「緑霞山宿 藤井荘」で行われる。
雁木模様の出だしとなった本局は、中盤で抜け出した藤井竜王がリードを拡大。終盤、名人を一気に突き放して勝利を手にした。勝利した藤井竜王は、「こちらが受ける展開が続いていたので、はっきり勝ちが見通せる展開ではなかった。また第5局もすぐにあるので、スコアのことは気にせずに良い状態で臨めればと思います」とコメント。厳しい立場となった渡辺名人は、「攻めの手がおかしく、どんどん悪い方を選んでしまった。今日早い時間に終わってしまいすぐに駄目にしてしまったので、もう少し良い将棋を指さないといけない」と厳しい表情で振り返った。
注目の第5局は5月31日・6月1日の両日、長野県高山村の「緑霞山宿 藤井荘」で行われる。
(ABEMA/将棋チャンネルより)
情報源:藤井聡太竜王がシリーズ3勝目 渡辺明名人を破り最年少名人&七冠獲得へあと1勝/将棋・名人戦七番勝負 | ニュース | ABEMA TIMES | アベマタイムズ
終局後インタビュー
藤井聡太竜王「スコア、意識せずに」
終局後の藤井竜王の一問一答は以下の通り。
――本局、また力戦調といいますか、途中までは類型のある将棋だったと思いますが、▲2六飛と、長考して飛車を浮いたあのあたりから新しい局面に入っていったと思われます。まず、1日目を振り返って、どんな形勢判断をされていたか、どんな方針で指そうと思っていたのか教えてください。
「昼休憩の長考したところで▲2六飛のほかに▲3八飛とかも考えていたんですけど、それもあまり見通しが立たなかったというところはありました。ただ本譜も、ちょっとやっぱり▲2六飛だと攻められる展開になりやすいので、どうなっているか、難しいのかなと思ってやっていました」
――手数としては進行が遅くなったわけなんですけれども、1日目終わりの封じ手のあたり、△8八歩に対しての封じ手に1時間19分の長考でした。手の選択肢としてはそんなに多くはなかったとは思われますが、封じ手1時間19分の長考はどのようなことを考えていましたか。
「▲7七桂を本線に考えていたんですけど、ただ、そのあと△6五桂と打たれたときが、手が広いのかなというふうに思って、ちょっとそこでの指し手が決まっていなかったので、▲7七桂を封じ手にしたという感じです」
――2日目の戦い、△6五桂に対して▲8八銀と歩を取って引かれましたが、控室の方では▲9五歩の方を本線というか、掘り下げた検討をしていました。そのあたりの手の選択についてはどうだったんでしょうか。
「△6五桂のところ、手が広いのかなと思っていて、本譜はかなりこちらの玉が危なくなる変化が結構多いので、まあどうかなというところもあったんですけど、▲9五歩とか、と金を作られる形になるので、その後、後手の飛車をどのぐらい追っていけるのかなとも思ったので、ちょっとそれほど見通しが立たなかったので、本譜で受けに回る順を選びました」
――渡辺名人の側が昼食休憩を挟み、1時間54分の長考がありました。それは▲8三歩と飛車の頭をたたいた手に対しての渡辺名人の長考でしたが、その後の進行で▲8四歩と追撃したときに△8七歩と銀頭に歩を打ち返された局面がありました。そのあたりはどんな判断だったんでしょうか。
「なんていうか、基本的にはこちらが後手の攻めを受け止められるかどうかと思っていたんですけど、△8七歩は少し予想していなかった手で、▲8三歩成で攻め合う手も、もちろん考えたんですけど、ちょっとまあよく分からなかったので。あと本譜だと拠点が残ってしまうところもあって、なかなかこちらの自玉の嫌みを解消できない展開なのかなというふうには思っていました」
――その後の渡辺名人の攻めに対して、丁寧に応じられたような印象を持っていたんですけど、どの辺りで勝勢、勝ちを意識されましたでしょうか。
「そうですね、こちらが受ける展開が続いていたので、はっきり勝ちが見通せるというところはなかったんですけど、▲7四歩と伸ばした後、▲6六角と打って少し攻めを受け止められそうな形になったかなというふうには思っていました」
――本局に勝ち、対戦成績を3勝1敗としました。史上最年少での名人獲得および七冠にあと1勝と迫りました。第5局は長野県高山村の藤井荘で指されますが、第5局、次局に向けての意気込みをお聞かせください。
「また第5局も割と、すぐにあるので、あまりスコアのことは意識せずに良い状態で臨めればと思います」
渡辺名人「もうちょっといい将棋を…」
終局後、渡辺名人の一問一答は以下の通り。
――対局前日の取材でも、後手番だった第2局が内容的にも少し不本意だったということで、それを踏まえて作戦を練って臨みたいということで本局を迎えられたと思いますが、まず今回、序盤の進行というのは名人の用意していた進行だったと思いますが、桂馬を早くにはねて△4二角とのコラボといいますか、そういう攻めをみせていったような序盤作戦の方針はどんな風に立てられていたんでしょうか。
「形はいろいろあるので、先手の構えもいろいろあるんで、なかなか決め打ちできてたわけではないんですけど、あの局面になったら攻めていこうかなという感じはなんとなく持ってはいたんですけど、ちょっとただその後の攻め方がなんか、おかしかったような気はしますね」
――途中までは類型がある将棋だったと思いますが、先手が▲2六飛と浮いたところの場面、その辺りはどんな形勢判断をしていたんでしょうか。
「手が広いので、どれもあるという感じなんですけど、ちょっと攻め出してからが、やっぱり攻め手順がちょっとおかしかったかなというところですかね」
――攻め手順がおかしかったというのは△9五歩とそこから△6五桂の決断だったと思いますが、そこのあたり?
「いや、もうちょっと後の△8八歩とか、△8六角とか出たあたり、ちょっとどこまでさかのぼればいいか今の段階ではわかっていないですけど」
――1日目の最終手が△8八歩、57分の考慮で指されました。終局直後でまだ感想戦をしていない段階ですが、あのあたりはどうだったんでしょう。
「△8八歩のところはこうやるところかなとは思ったんですけど、そうですね、そのあと▲7七桂の後が……。というか、△6五桂、▲8八銀の後がちょっと思ってたより、あんまり良い攻めがなかった。そうですね、1日目が終わった段階で思ってたより、良い攻めがなかったっていう感じですかね」
――いまおっしゃった▲8八銀の後△8六角と1時間20分の長考でしたが、控室の方でも「角なんだ」という、少し意外な声も出たんですけれども、その1時間20分の長考の中身というのはどんな中身だったんでしょうか。
「うーん、そうですね。まあ△9六香と、ちょっと迷ってはいたんですけど、どっちもいまいちかなという感じに思っていて。まあ、でも、ちょっとなんか、選択としてちょっと、どんどん悪い方にいってしまったかなという感じですね」
――本局、渡辺名人は居玉で攻めていかれて、7一の銀も参加させずに、という少し大胆な攻めといいますか、そういう構想については、今、どうだったというふうに思われますか。
「そのあたりは、作戦の範疇(はんちゅう)ではあったんですけど、ただやっぱりちょっと難しい将棋にしてしまったんで、そのあたりも含めてどうだったかなっていうところはありますね」
――本局、少し短手数で終局時刻も早い段階での投了となりましたが、どの辺りから少し苦しいというような感じだったんでしょうか。
「まあやっぱりそうですね、昼休の時にちょっと手が出なくなっているんで、再開してからもちょっとなかなか、指し手が無かったので、そのあたりちょっとやっぱり困っている感じはありましたね」
――4連覇に向けて残りを3連勝するしかないという星取りにはなりました。次局以降に向けて臨む、今のお気持ちをお聞かせください。
「ちょっと今日、早い時間に終わってしまって、すぐダメにしてしまったんで、もうちょっと良い将棋を指さないといけないですね」
2023年5月22日16時56分
将棋の藤井聡太竜王(王位・叡王・棋王・王将・棋聖=20)が渡辺明名人(39)に挑戦する第81期名人戦7番勝負第4局が21、22の両日、福岡県飯塚市「麻生大浦荘」で行われ、先手の藤井が69手で渡辺を破った。
シリーズ成績を3勝1敗とし、最年少名人&7冠にあと1勝とした。4連覇を狙う渡辺はかど番に追い込まれた。第5局は31日から長野県高山村「緑霞山宿 藤井荘」で行われる。
◇ ◇ ◇
何度も、考えた。藤井の2勝1敗で迎えた第4局。渡辺が4手目に角道を止める。開幕から4局連続して角道を止める力戦になり、渡辺は戦型を雁木(がんぎ)に進めた。経験の少ない形への誘いに応じた藤井は早々と銀を繰り出し、急戦を狙う構えを見せた。
「あまり見通しが立たなかった。本譜も攻められる展開になりやすいので、どうなっているか難しいと思ってやっていました」。持ち時間は2日制のタイトル戦では最長の9時間。未知の領域に入っても、読みを深め、的確に対応した。
2日目は渡辺の攻めを受け止める展開になり、長考を繰り返した。「こちらが後手の攻めを受け止められるかどうかと思っていた」。考え抜いた一手一手で徐々にリードを広げ、人工知能(AI)の評価値が示す折れ線グラフが終盤に近づくにつれて上昇する「藤井曲線」を描き、相手を早い投了に追い込んだ。
これで谷川浩司17世名人(61)が持つ21歳2カ月の名人獲得最年少記録の40年ぶりの更新と、羽生善治九段(52)以来となる史上2人目の7冠にあと1勝とした。偉業へ“ダブル王手”だ。
20年7月の棋聖戦で初タイトル奪取してからタイトル戦には15度登場し、連敗はなく、失冠もない。師匠の杉本昌隆八段(54)は「常に自分の読みを信じて、それをベースにここまで進んできたのは間違いない」。未体験ゾーンでも、考えて、考えて、強くなってきた。
「奨励会」に入会したばかりの小学4年のとき、藤井少年は地元・愛知県瀬戸市のコミュニティーFMラジオ局「ラジオサンキュー」に出演し、将来の夢を聞かれ、こう答えた。
「名人を超えたいです」
歴史と伝統のある名人位にあこがれ続けた20歳は「名人超え」に「そろそろ時効にしてほしいです(笑い)」と子ども時代の“豪語”を振り返る。史上最年少14歳2カ月でプロデビューしてから約7年。第5局へ「スコアは気にせず臨みたい」。「名人」までは、あと1勝だ。【松浦隆司】
情報源:【名人戦】藤井聡太竜王“藤井曲線”描き終盤力で渡辺明名人押し切る 最年少名人&7冠に王手 – 社会 : 日刊スポーツ
2023年5月22日17時51分
藤井聡太竜王(王位・叡王・棋王・王将・棋聖=20)が渡辺明名人(39)に挑戦している、将棋の第81期名人戦7番勝負第4局が22日、福岡県飯塚市「麻生大浦荘」で行われた。
21日午前9時から始まった対局は、22日の夕食休憩(午後5時)前に69手という短手数で藤井が快勝した。
これでシリーズ3勝1敗として、史上最年少での名人獲得と7冠達成まであと1勝とした。第5局は5月31日からの2日制で長野県高山村「緑霞山宿 藤井荘」で行われる。
敗れた渡辺は、攻防ともに見込みがないと悟った。腕組みして盤を見つめていた後、あっさり投了した。「攻めだしてから、攻めの手順がおかしかった。思ったよりあまりいい攻めがなかった」と悔やんだ。
4筋に展開した角と右桂を活用した連係で、藤井玉の攻略と2勝目を狙ったが、受けきられた。「選択としてどんどん悪い方に行ってしまった。難しい将棋にしてしまった」。
これでかど番。名人戦4連覇に向けて3連勝するしかない。「ちょっと早い時間に終わった。すぐダメにしてしまった。いい将棋を指せないといけない」と自ら言い聞かせるように、話していた。
情報源:【名人戦】渡辺明名人あっさり投了「選択としてどんどん悪い方に行ってしまった」敗れてかど番に – 社会 : 日刊スポーツ
渡辺明名人に藤井聡太竜王が挑戦する 第81期名人戦七番勝負第4局が、5月21、22日(日・月)に福岡県飯塚市「麻生大浦荘」で行われ、藤井竜王が69手で渡辺名人に勝ち、3勝1敗としました。
第5局は、5月31・6月1日(水・木)に、長野県上高井郡「緑霞山宿 藤井荘」で行われます。
詳しくは、ABEMA、名人戦棋譜速報及び日本将棋連盟ライブ中継をご覧ください。
情報源:渡辺明名人VS藤井聡太竜王 第81期名人戦七番勝負第4局 藤井聡太竜王の勝利|将棋ニュース|日本将棋連盟
七番勝負の日程
#藤井聡太 竜王の勝利
【第81期 #名人戦 七番勝負第4局】
●渡辺明名人 VS ○藤井聡太竜王
第81期名人戦七番勝負第4局が、5月21、22日(日・月)に福岡県飯塚市「麻生大浦荘」で行われ、藤井竜王が69手で渡辺名人に勝ち、3勝1敗としました。 https://t.co/UqtHyOIUiX
— 日本将棋連盟【公式】 (@shogi_jsa) May 22, 2023
▲藤井聡太竜王-△渡辺明名人
角をつなげ打って王手。6六にも残すことで☖4一玉には☗3三桂を用意している。次の休憩まで20分を切った。渡辺は腕を組む。 この局面で6分考え、渡辺は次の手を指さずに投了した。控室の報道陣が慌ただしく動く。終局時刻は16時45分。消費時間は☗藤井6時間57分、☖渡辺7時間38分。王手を防いでも☗7三歩成があり、後手陣は収拾がつかない。一方で先手玉は安泰だ。藤井は3勝1敗とし、タイトル奪取、及び史上2人目の七冠達成まであと1勝と迫った。第5局は5月31日(水)から6月1日(木)にかけて、長野県上高井郡高山村にある山田温泉の「緑霞山宿 藤井荘」で行われる。 ※局後の感想※ 藤井は受ける展開になり、勝ちを見通せるところはなかったという。後手にとって最も有力だったのは、38手目に☖8八歩と打たずに☖8六角の変化だった。先手も大変な進行になる。感想戦は17時55分に終了した。
16時45分 終局
69手 7五角打まで、▲藤井聡竜王 の勝ち
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奪取に王手
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