夕食休憩で離籍したのは形だけ
2023年4月29日 13時11分
終局後
藤井聡太竜王の考えるコスト 将棋担当・北野新太の目
28日午後5時、名人戦第2局は2日目の夕休憩を迎えた。勝負は佳境に入っているが、形勢は互角で局面は難解だった。渡辺の△2四香に対し、藤井の考慮時間が30分を超えた頃に休憩時刻となった。挑戦者はゆっくりと立ち上がり、対局室と同階にある対局者控室へと向かった。
同30分に再開された後は終局まで戦い続けることになる。軽食でエネルギーを蓄え、横になるなどリラックスして最後の休息を取るための時間だった。
ところが、である。対局室を出てからわずか2分40秒後、藤井は盤の前に戻った。手に持った扇子を回転させながら、一人きりの部屋で盤上を見つめている。
同じ光景は第1局でも見られた。2日目の夕休憩となると早々と対局室に戻って考慮に沈むのだ。タイトル戦のような特別な舞台ばかりではない。順位戦など、夕食休憩のある対局での藤井は早々に食事を終え、戦いの舞台に戻って来る。習慣としてはデビューの頃から変わっていない。
自然と、ひとつの疑問が生まれる。別に盤の前に戻らなくたって、局面について考えることなんていくらでもできるのでは、と。当たり前だが、棋士は数手先、数十手先の局面までを常に読み進めている。現局面を脳内に描く能力など、幼い頃に会得した基本中の基本である。ならば、自室で体を休めながらゆっくり考えた方がいいのではなかろうか、と。
感想戦終了後に「なぜ早々と盤の前に戻るのでしょうか」と尋ねた。藤井は、そんなことは考えてもみなかったと語るような微笑を浮かべて「なるほど」と言った。
情報源:【詳報】藤井聡太竜王、1分で休憩を終えた秘密 語った思考コスト:朝日新聞デジタル
七番勝負の日程
▲藤井聡太竜王-△渡辺明名人
この手を見て渡辺が投了を告げた。以下☖2四玉は☗2五歩☖3五玉に☗3七銀が詰めろ逃れの詰めろで先手勝ち筋。☖3四同玉には☗6一角と打ち、以下☖2四玉は☗2五角成以下の詰み。☖4三飛は先手玉の詰めろが解けるので☗2五歩ぐらいで先手勝勢だ。 終局時刻は19時51分。消費時間は、☗藤井聡8時間27分、☖渡辺明8時間41分。シリーズは藤井が開幕から2連勝とした。5月13・14日(土・日)に大阪府高槻市「高槻城公園芸術文化劇場」で行われる。
19時51分 終局
87手 ▲3四歩まで、▲藤井聡竜王 の勝ち
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連勝
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