たしかに
2023.4/22 10:00
最年少記録を、次々と塗り替えてきた藤井聡太竜王だが、まだまだ到達していない記録は多い。
先週の将棋大賞の項でも示したが、年間の最多対局数は羽生善治九段の89局(2000年度)で、この部門において藤井は、歴代10位にも入っていない。
対局数は予選を勝ち抜き、タイトル戦に出場した棋士が一番多く指すわけだから、タイトルを独占する勢いの藤井にとっては、予選に出ることが少なくなり、この部門の記録更新は今後も難しいかもしれない。
また年度勝ち星数も、やはり羽生が持っている68(2000)。藤井の最高は61だ。
勝率第1位は中原誠十六世名人の、0・8545(1967)で、これは50年以上破られていない。勝率に関しては、藤井はデビュー以来6年連続8割越えというとてつもない記録を持っているが、中原のレベルまでは追いついていない。
記録部門では唯一、連勝記録の29(2016~17)を藤井が持っている。
また最年少記録でも、加藤一二三九段の持つ18歳でA級という記録は、C級1組で1年足踏みしたことで、藤井にも破れなかった。
しかし記録の中で私が最も驚くのは、大山康晴十五世名人の持つ、50期(10年)連続タイトル戦出場(1957名人戦~1967名人戦)である。そのうち大山は44回勝ち、敗れてもまた、タイトルを取り返している。
もちろん藤井にとって、長期の記録はこれからだが、すべてのタイトル戦に出るというのは、大山時代の5棋戦に比べ8棋戦になった今は、さらにハードルが高くなっている。
しかし今月から始まった名人戦の挑戦者になったことで、この一年で藤井の出ていないタイトル戦は、昨年8~10月に行われた王座戦だけとなった。
まだ本戦は始まっていないが、もし今期、藤井が王座戦の挑戦者になると、年間全タイトル戦出場となり、大山の記録を追いかける第一歩となる。そして8冠全冠制覇の道も見えてくるのだ。
名人戦第1局は、恒例の「ホテル椿山荘東京」から始まった。ファン300人を集めての前夜祭は、4年ぶりだ。
将棋は先手番となった渡辺明名人が、やや意外な雁木の作戦を採ったが、藤井は9筋の端歩攻めからうまく手を作り、先手の攻めを利用して反撃。藤井は一度も形勢を損ねることなく、しっかり勝利した。
もし名人戦も制すれば、7冠で、渡辺は無冠となるだけに、渡辺の今後の対策が注目される。
■青野照市(あおの・てるいち) 1953年1月31日、静岡県焼津市生まれ。68年に4級で故廣津久雄九段門下に入る。74年に四段に昇段し、プロ棋士となる。94年に九段。A級通算11期。これまでに勝率第一位賞や連勝賞、升田幸三賞を獲得。将棋の国際普及にも努め、2011年に外務大臣表彰を受けた。13年から17年2月まで、日本将棋連盟専務理事を務めた。
情報源:【勝負師たちの系譜】歴代記録 藤井聡太竜王でも難しい数々の「壁」 大山康晴十五世名人の持つ「50期連続タイトル戦出場」今はさらにハードル高く(1/3ページ) – zakzak:夕刊フジ公式サイト
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いつだったかのインタビューで、羽生善治九段の年間対局数は現行制度では難しいだろうって言ってたな。
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