対局がなくなった大田原市
2023.4/1 10:00
最近のタイトル戦の多くが、地方か大都市かに関係なく誘致先で行われている。
現在最も回数を重ねているのが、王将戦を毎年誘致している、栃木県大田原市で18回連続。
しかし今期は羽生善治九段の挑戦を受けた藤井聡太王将が、七番勝負を4―2で終わらせ、第7局の大田原対局はなくなってしまった。
そこで大田原市としては、対局の代わりに祝賀会という形で藤井に来てもらい、2日にわたって開催したのが、前夜祭とイベントだった。
何せ藤井が強過ぎて、番勝負がフルセットまで届かないことがほとんどなので、予算をつけて誘致した自治体にとっては、何かやってもらわないと困るのだろう。
私は本来なら、第7局の立会人だったので、この祝賀会に同行した。渡辺明王将時代に行った、佐賀県・上峰町以来、2度目だった。
前夜祭は『ピアートホール』という大劇場で行われた。当選者は450人で、倍ほどの応募者があったと言う。
主催者あいさつの後は、早速私と藤井王将のトークショー。私が質問をして藤井が答える形だが、ある意味、対局がなくなったことで藤井の話が聞けるから、返って喜んだ人もいただろう。
対局前の前夜祭だと、対局者の抱負として「明日は皆さんに喜んでもらえるような将棋を指したいと思います」程度のことしか言わないからだ。
質問の中の「羽生さんと指して今までの人と違ったことは感じましたか」には「経験豊富な方で、自分の読みにない手を多く指されて、参考になりました」というのがあった。
翌日のイベントは、まず12人の少年少女相手に指導対局。対局者が指すことはまずないから、指した人は幸運な時間だったと思う。
指導対局の後は、司会者ありの大盤での解説とトークショー。第2局の羽生のそっぽ(相手玉や自玉に遠いところ)に打った▲8二金に感心していたのには、藤井の謙虚さを感じた。私が感心したのは、第5局の終盤、羽生が王手飛車をかければ勝ち筋だった手を指させなかった、藤井の終盤力で、手よりも心理を解説した。
その後は前日に続いての抽選会。地元の産物や那須牛、また王将戦の扇子や直筆色紙が抽選で当たり、皆満足して帰っていった。
こういうイベントが開催されるなら、誘致する側も安心して手を挙げられるだろうと思った2日間だった。
■青野照市(あおの・てるいち) 1953年1月31日、静岡県焼津市生まれ。68年に4級で故廣津久雄九段門下に入る。74年に四段に昇段し、プロ棋士となる。94年に九段。A級通算11期。これまでに勝率第一位賞や連勝賞、升田幸三賞を獲得。将棋の国際普及にも努め、2011年に外務大臣表彰を受けた。13年から17年2月まで、日本将棋連盟専務理事を務めた。
情報源:【勝負師たちの系譜】藤井聡太王将のトークショーも「王将戦祝賀会」 番勝負がフルセットまで届かず誘致先で開催 対局とは異なる充実のイベント(1/2ページ) – zakzak:夕刊フジ公式サイト
対局とは異なる充実のイベント 藤井聡太王将のトークショーも「王将戦祝賀会」https://t.co/GFvn6zTput
番勝負がフルセットまで届かず誘致先で開催青野照市の勝負師たちの系譜 #zakzak
— zakzak (@zakdesk) April 1, 2023
ほぉ・・・
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