徳田拳士四段
2023/2/19 07:00
山口県出身初の棋士としてプロの世界に入って1年目。昨年10月、若手棋戦の加古川青流戦で優勝した。王位戦の挑戦者を決める「王位リーグ」入りも果たす。公式戦11連勝、9連勝と勝ちまくった。デビューから半年間の黒星はたったの2つで、勝率は一時、9割台にもなった。
今年度の対局数、勝数、連勝、勝率の「記録4部門」では、すべてベスト10以内にランクインしている。
「1年目としては、できすぎかなと思います」と笑顔を見せる。だが、表情を引き締めてこう言葉を続けた。「ただ、遅れた分は結果を出したいと思っていたので」。苦労したこれまでを振り返った。
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将棋に出会ったのは5歳の頃で、祖父と父が指していたのを見かけたのがきっかけ。次第に興味を持ち、近所の将棋教室に通ったり、アマチュア強豪に手ほどきを受けるなどして腕を上げていった。
小学生にとって重要な全国大会が2つある。「倉敷王将戦」と「小学生将棋名人戦」だ。棋士の多くは子供の頃に両大会に参加している。「優勝することに全力を挙げた」といい、インターネット将棋も始めた。
小学3年だった平成18年、倉敷王将戦の低学年の部で優勝した。そして21年、小学6年で小学生将棋名人戦でも優勝した。
2大会の優勝で、漠然と抱いていた目標が明確になった。プロになることだ。地元の山口県から大阪市の関西将棋会館まで出てきて棋士養成機関「奨励会」の入会試験を受けた。両大会の上位入賞者は1次試験が免除になり、受験は2次試験からの特典がある。
小学生将棋名人戦で優勝した受験者はほとんどが合格するといわれていたが、「落ちたんです。すごく恥ずかしく、情けなくて。地元の人たちも驚いていました」。会館を出て大泣きしたという。
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中学1年で改めて受験して奨励会に合格し、6級で入会した。月に1度、大阪に通うことになった。交通費の負担がかかることから「大阪近辺に住む会員たちより一局一局は重かった。負けると親に合わせる顔がないという意識で臨んでいた」と振り返った。
奨励会は6級から1級を経て、初段から三段を目指す。三段になれば半年をかけて18局指す「三段リーグ」を戦う。原則上位2人だけが、プロの四段になれる。
高校2年で二段になり、三段に昇段したのは大学2年になってから。「三段まで、思った以上に時間がかかってしまった」。ここで進路に悩んだ。就職活動をするのか、このまま棋士を目指すのか。
奨励会には26歳までに四段にならなければ、退会しなければならない厳しい決まりがある。就職活動を始めると、将棋の勉強を続けるのも難しくなる。
区切りをつけるかに迷っていると察した両親が声をかけてくれた。
「やりたいようにやりなさい」
トップ棋士の糸谷哲郎八段に教えてもらったり、将棋ソフトも導入したりして研究を深めた。師匠の小林健二・九段(65)の励ましも受けながら、三段リーグ参加8期目で15勝3敗の成績を挙げ、2位に入って昇段した。「ほっとしたのが正直なところでした」。喜びをかみしめた。
目標はタイトル獲得だが、将棋界は藤井聡太五冠(20)が八大タイトルを席巻しつつある。「次元が違うなというのが正直な感想ですが、避けて通れない。ちょっとでもついていくしかない」と前を向いた。
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とくだ・けんし 平成9年、山口県周南市出身。18年、小学3年生で倉敷王将戦の低学年の部で優勝。21年、小学生将棋名人戦でも優勝した。22年、小林健二・九段門下で奨励会入会。令和4年に四段。加古川青流戦で優勝した。名前の由来は、父が好きだった人気漫画「北斗の拳」。同志社大学卒。
情報源:【棋士列伝】将棋・徳田拳士四段(25) 山口県初の棋士 好成績も「出遅れた分結果を出したい」 – 産経ニュース
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— 産経ニュースWEST (@SankeiNews_WEST) February 18, 2023
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