高見泰地七段
2022年12月28日 6時0分
将棋の藤井聡太五冠(20)=竜王、王位、叡王、王将、棋聖=が27日、東京・将棋会館で指された第48期棋王戦挑戦者決定二番勝負第2局で佐藤天彦九段(34)に勝ち、挑戦権を獲得。今年最後の対局を白星で納め、年度内六冠の可能性を残した。全52局、勝率8割を超え、通算300勝にも到達。時に対戦相手として、時に解説者として見つめてきた高見泰地七段(29)が2022年の藤井の戦いを解説した。(瀬戸 花音)
防衛戦が続いた1年での藤井の強さについて高見は「タイトル戦は普通は非日常の夢のような時間で、挑戦者はやっとそこに上り詰めたと思うのですが藤井さんにとってはそこは日常。防衛側がプレッシャーになるかとも思ったのですが、藤井さんを見ているとむしろアドバンテージのようにも感じました」と分析した。
今年は棋聖戦、王位戦、竜王戦と連続して初戦黒星発進。高見も「藤井さんは不調なのですか?」と聞かれることがあったというが、「むしろ初戦を落としているのに防衛し続けているところに切り替えの強さが見える」という。「昨年のABEMAトーナメントで藤井さんと同じチームだった時も、負けた時は自分だけで振り返る時間を取って、その後はうっぷんを晴らすように勝っていた。見習いたいけどみんなが見習えるわけでもない強みだと思います」
数々の名勝負を繰り広げて来た藤井だが、高見が選ぶ今年の藤井の名局は永瀬拓矢王座との棋聖戦五番勝負第4局(7月17日)。「僕は現地大盤解説を行ったのですが、解説のための予習はすぐに意味がなくなりました(笑い)。本局は一局を通して他の人がやっていない独創的な指し回しを大舞台で採用した。度胸というか進化、新しい藤井さんを見た気がしました」と評した。
“今年の藤井の一手”は同対局の「74手目△5二銀」を選出した。「現地大盤解説でこの対局を見ていました。中盤、一瞬の隙をついて後手の藤井さんが一気呵成に攻めて永瀬さんの玉形を補強しにくい形になり、さらに激しく攻め立てるのかと思いきや、そこで一転して自陣に一手、銀引きという受けの手を入れることで勝ちを分かりやすくするという指し方が非常に巧み」とし、「緩急もずば抜けている」藤井の強さが分かる一手だった。
今年、高見は銀河戦決勝などで、藤井と盤を挟んだ。結果は敗れた。「(勝つためには)藤井さんと指せることに満足しないことかもしれないですね。当たってうれしいなという気持ちじゃ絶対勝てない」。言葉には熱が帯びた。
将棋連盟の佐藤康光会長(53)は7月の叡王就位式の祝辞で「誰が最初に藤井さんを倒すのかが注目される」と口にしている。来年は、誰が藤井に勝つのか。年度内六冠の可能性を残し、迎える新年。23年藤井のタイトル戦は1月8日、羽生善治九段(52)との王将戦七番勝負から幕を開ける。
情報源:藤井聡太五冠の2022年を振り返る 高見泰地七段が選ぶ今年の名局は : スポーツ報知
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— スポーツ報知 (@SportsHochi) December 27, 2022
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