記事執筆から掲載までにラグがあるから仕方ないけど・・・
2022.10/30 10:00
8月末から始まったヒューリック杯白玲戦七番勝負が、10月21日にフルセットの末、西山朋佳白玲に里見香奈女流五冠が勝ち、里見の初戴冠となった。
このシリーズは2人がともに振り飛車党ということもあり、7局すべて相振り飛車の戦型で、男性のタイトル戦とは一味違う戦いとなった。
最初里見が2連勝すれば、すぐに西山が2連勝で返すという、一進一退のシリーズとなったが、常に里見が一歩ずつリードし、押し切ったという印象があった。
最終の第7局も、相三間飛車から西山がうまく戦機をつかんだかに見えたが、強く攻め込めば有望な局面で、駒損を避けて引いたために受け止められ、逆に反撃されて西山の勝機はなくなった。
最後は自分の駒が玉の退路を塞いで敗れるという、およそ西山らしくない形で敗れ、タイトルを明け渡した。
里見は今回、女流棋界最高賞金(1500万円)のタイトルを手にしたことにより、タイトルを持たない男性のトップ棋士より獲得賞金が多くなるのは確実となった。これをどのように処遇する(賞金ランキングなどで)のかを注目したい。
西山はこれで、タイトルは「女王」1つだけに後退し、里見の6冠に大差をつけられた形となった。
元々2人は立場が違っていて、里見は女流棋士でありながら奨励会にも在籍し、西山は奨励会員でスタートし、出場できる女流棋戦のみ出場していた。
西山はひと頃、許された「マイナビ女子オープン」「女流王座戦」「女流王将戦」のすべてでタイトルを奪取し、また三段リーグでも14勝4敗(普通なら上がれる成績)で次点を取るなど、里見より一歩先を進んでいると思われていた。
しかし里美は奨励会を退会し、女流一本で行くと決めてからは盛り返し、この白玲奪取で6冠。あと2つで8冠全冠制覇というところまできた。
とはいえ、残る2つのうちマイナビ女子オープンは、本戦の1回戦ですでに敗退。女流名人戦では次に西山と、挑戦者を賭けた大一番が待っていて、全冠制覇はそう簡単ではない。
抜かれた西山がどう巻き返すかが注目だが、ゴルフの女子プロの世界のように、次々と若いスターが現れない将棋界が残念だと思うのは、私だけではないはずだ。
■青野照市(あおの・てるいち) 1953年1月31日、静岡県焼津市生まれ。68年に4級で故廣津久雄九段門下に入る。74年に四段に昇段し、プロ棋士となる。94年に九段。A級通算11期。これまでに勝率第一位賞や連勝賞、升田幸三賞を獲得。将棋の国際普及にも努め、2011年に外務大臣表彰を受けた。13年から17年2月まで、日本将棋連盟専務理事を務めた。
情報源:【勝負師たちの系譜】ヒューリック杯白玲戦 頭一つ抜けた里見香奈女流六冠 あと2つで8冠全冠制覇(1/2ページ) – zakzak:夕刊フジ公式サイト
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