プロ棋士編入試験
2022.10/23 10:00
里見香奈女流五冠が挑戦していた棋士編入試験が、この10月で終わった。
これはプロの公式戦で一定の成績を挙げると、棋士(フリークラスの四段)に編入する試験が受けられるというもので、里見は8月から月に1局ずつ指していたのだが、五番勝負を1勝もすることなく、0勝3敗で失格となった。
里見はプロの公式戦では棋士相手に勝ちまくっていて、それで資格を得た。そしてこの試験が始まる前は、合格の可能性は五分五分ではないかと予想されていた。プロの四段になれば女性初だから、大いに注目されたのだった。
しかし里見にとってこの挑戦は、荷が重かったのではないかという気がしていた。それは男性棋士と同じく順位戦に出られる四段は、里見にとって昔からの夢だったとはいえ、現在の女流プロでも十分に活躍しているし、公式戦にも出られる。
そして何より、男性プロと同じ立場と、女流棋士を重複するのは対局数が倍増し、体力が持つかどうかわからないからだ。そんなこともあって、資格を得てからすぐに挑戦を表明せず、迷っていたのだろう。
また今回の試験官の相手も、運が悪かったのかもしれない。初戦の徳田拳士四段は、4月にプロになって以来今週までで、勝率が9割超という藤井聡太竜王のデビュー当時を思わせる勝ち方をしていて、勝率は現在棋士のトップを走っているのだ。
この里見や西山朋佳白玲・女王をしっかり負かせるかどうかが、若手棋士として抜けた存在になれるかどうかの分岐点だと、私は思っている。徳田は里見の中飛車をしっかり抑え込んで勝利した。
第2局は岡部玲央四段相手に、終盤で勝ち筋が出たが、それを逃して敗れてからは、この話題は世間から消えてしまった感があった。誰しもが今回は無理だろうと。
第3局を狩山幹生四段に敗れて、里見の夢はついえた。
「これが最後の挑戦だった」という意味の言葉を里見が言ったらしいが、こんな思いはもうしたくないという気持ちはよくわかる。
しかし公式戦に出ている限り、棋戦の優勝や挑戦者になれば、ほっておかないであろう。まだ棋士となる道は残されていると私は思うので、今後の活躍に期待したい。
■青野照市(あおの・てるいち) 1953年1月31日、静岡県焼津市生まれ。68年に4級で故廣津久雄九段門下に入る。74年に四段に昇段し、プロ棋士となる。94年に九段。A級通算11期。これまでに勝率第一位賞や連勝賞、升田幸三賞を獲得。将棋の国際普及にも努め、2011年に外務大臣表彰を受けた。13年から17年2月まで、日本将棋連盟専務理事を務めた。
情報源:【勝負師たちの系譜】里見香奈の棋士編入試験 夢ついえても道はあるはず 0勝3敗で失格、試験官の相手も運が悪かったか(1/2ページ) – zakzak:夕刊フジ公式サイト
へぇ・・・
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