菅井竜也八段戦
2022.8/21 10:00
14歳で棋士デビューして以来、順調に実績を重ね、棋界のトップとも言える藤井聡太五冠。
今までは試練と言えるようなものは、C級1組で1年足止めをされた以外はほとんど感じられなかったが、ここに来て初めて、思い通りに行かないもどかしさを感じているのではないかと思う。 それは現在、獲得していないあと3つのタイトル戦の、挑戦までの道である。
今月末から始まる王座戦では、藤井は本戦の1回戦で大橋貴洸六段に敗れ、挑戦権を得ることはできなかった。
これでもし、残った2つの棋王と名人を手に入れても、全冠制覇は王座が最後となり、早くて来年の秋になる。
その名人に挑戦するための、予選とも言うべきA級順位戦だが、藤井は初戦を佐藤康光九段に勝ったものの、第2戦の菅井竜也八段に敗れて、一歩後退した。
菅井はトップ棋士では数少ない振り飛車党で、やんちゃな剛腕棋士といったタイプ。
ツボにはまると滅法強く、唯一羽生善治王位(当時)からタイトルを獲得した王位戦では、ほとんど羽生に抵抗の余地を与えず、4勝1敗と圧倒している。
今期の順位戦でも、菅井は中飛車から中盤早々に銀桂交換の駒得をすると、藤井陣の守りをどんどん薄めて玉に迫り、藤井に一度もチャンスのない形で快勝した。
順位戦では、2年連続で挑戦者となった斎藤慎太郎八段も、2回戦で豊島将之九段に敗れ、挑戦者争いは序盤から混とんとしてきた。
現在2連勝でトップを走るのは、広瀬章人八段と、稲葉陽八段である。
また今年の藤井のタイトル防衛戦でも、ヒューリック杯棋聖戦では挑戦者の永瀬拓矢王座に、お~いお茶杯王位戦では豊島将之九段に初戦を敗れるなど、今までにはない展開となっている。
それでも棋聖戦では、後を3連勝して防衛したし、王位戦の方も2連勝してリードしているのは流石で、まだ試練とまでは行かないかもしれない。
それでも前期B級1組順位戦で藤井に土をつけたのは、稲葉と千田翔太七段だけということを考えると、このところ急所で藤井を負かしているのは関西勢だけである。
こんなところにも、将棋界の西高東低が感じられるのだ。
■青野照市(あおの・てるいち) 1953年1月31日、静岡県焼津市生まれ。68年に4級で故廣津久雄九段門下に入る。74年に四段に昇段し、プロ棋士となる。94年に九段。A級通算11期。これまでに勝率第一位賞や連勝賞、升田幸三賞を獲得。将棋の国際普及にも努め、2011年に外務大臣表彰を受けた。13年から17年2月まで、日本将棋連盟専務理事を務めた。
情報源:【勝負師たちの系譜】藤井五冠に初の試練か 全冠制覇まであと3タイトル、序盤からもつれる挑戦者争い(1/2ページ) – zakzak:夕刊フジ公式サイト
【勝負師たちの系譜】藤井五冠に初の試練か 全冠制覇まであと3タイトル、序盤からもつれる挑戦者争い
ここに来て初めて、思い通りに行かないもどかしさを感じているのではないかと思う。 https://t.co/H7lKYdgDhV @zakdeskより
— zakzak (@zakdesk) August 21, 2022
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