林葉直子
2022.08.19 11:00
将棋史上初、「女性棋士」誕生への挑戦が始まった。里見香奈女流五冠(30)が受験する「プロ棋士編入試験」の第1局が、8月18日におこなわれ、徳田拳士四段(24)に127手で敗れた。
里見女流五段は得意の「中飛車」でスタートし、「出雲のイナズマ」の異名を取る終盤の攻勢も見せたが、4月にプロになったばかりの新進に一歩及ばず、初陣を白星で飾ることはできなかった。
編入試験は新人棋士5人との五番勝負で、里見女流五冠が3勝すれば初の女性棋士となる。これまで編入試験には今泉健司五段、折田翔吾四段の2人が3勝1敗で合格しているが、いずれも初戦では勝利している。
今泉五段は、8月17日付のスポーツ報知で、「初戦を取れば、合格率は8割に届くのでは。ものすごく大きな要因を占めると思う」と語っている。やはり初戦を落とすと形勢は厳しくなるのか。
将棋ライターの松本博文氏が解説する。
「里見女流五冠が、もし棋士になることがゴールと考えているのなら、この対局は大変な悲壮感をもって臨んだでしょう。でも、そうではない。強い相手と戦えること自体に喜びを感じているのでしょうから、里見さんは普段どおりの様子に見えました。
里見さんが採用していた戦法はいつもと変わりなく、得意の中飛車でした。序盤は徳田四段の模様がよく、もしかしたら完封で敗れてしまうおそれもありました。
そこからうまく勝負に持ち込んだのは、里見さんの地力があればこそでしょう。終盤では徳田四段も焦る場面があったそうですが、安定した指し回しが光りました。
本局を一言でまとめると、徳田さんが強かった。その一点に尽きると思います。徳田さんは現在、勝率ランキングで全棋士中トップの新鋭です。偶然のめぐり合わせとはいえ、里見さんにとっては、ちょっと初戦の相手が厳しかったかもしれません。
それでももちろん、まだまだ挽回は可能です。第1局と先後が替わって、第2局は主導権を握りやすい先手番です。これまでどおり自然体で臨めば、十分巻き返しが期待できるでしょう」
11歳で奨励会に入会し、「天才少女」と呼ばれた林葉直子元女流名人が、本誌の取材に独自の視点を示しつつ、初戦を振り返る。
「里見さんの姿勢を見ていると、ちょっと形勢が悪いと思ってるのかな、と感じました。中盤で里見さんが駒を損してしまったので、ちょっと逆転しにくい将棋かな、頑張っても大変かな、と思って見ていました。そこが残念ですね。
もっといろんな含みがある展開になって、里見さんが力を発揮できるのを楽しみにしていたんですけど。1局目は大きいから勝ってほしかったですけどね。
でも、美人さんが一生懸命戦っている顔を見られて、私はもう、それだけで満足です。改めて里見さんってきれいな方、美人さんだな、と思いながら見てました(笑)。肌がきれいだなあとか思って。
あと、徳田さんのハンサムなお顔をもうちょっと見たかったな。2人ともマスクをとったらいいのに。
里見さんはパンツスーツ姿。スリットの入ったスカートを履くとか、色気作戦はしないんですね(笑)。
冗談はともかく、時代が私たちのころとは全然違うし、女の子も頑張れるんだって感じました。2連敗になると厳しいから、2局めを勝てればね。里見さんはいま女性として充実してる年代だし、頑張ってほしいです」
注目の第2局は、「山形の星」と呼ばれる岡部怜央四段(23)と対戦。9月22日に東京・将棋会館でおこなわれる。
情報源:里見香奈女流五冠、「女性棋士」編入試験は初戦黒星…林葉直子もエール「2局め勝てれば!」 | Smart FLASH/スマフラ[光文社週刊誌]
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特だ四段の振り歩先
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