棋聖戦
2022.7/24 10:00
藤井聡太棋聖に永瀬拓矢王座が挑戦していた、第93期ヒューリック杯棋聖戦五番勝負(産経新聞社主催)が、この17日に藤井の防衛で終了した。
淡路島・洲本市の「ホテルニューアワジ」で行われた初戦で、永瀬が先勝した時は、今期は永瀬の奪取もあるかもと思われた。
永瀬は全棋士の中で、藤井の1強時代に一番強く反発する棋士と私は考えている。
藤井の才能を認め、尊敬しつつも、どんな才能も超えられない努力はない、という信念の持ち主だからである。藤井に一生勝てなければ、棋士となった意味はない、とも思っているであろう。
このシリーズの山場は、第2局の終盤戦だった。藤井の終盤戦は、一旦優勢を築くと、AIの数値が一度も相手に傾くことなく勝つことが多い。つまりそれだけ、終盤戦が正確無比という訳だ。
ところがこの将棋はただ一カ所、永瀬に王手飛車取りと打ち込まれた金を取らなかったことで、永瀬に形勢は傾いた。
しかし次の手で、永瀬が当然のように飛車を取った手(誰でも取りたくなる手)が敗着で、藤井に端から銀を捨てる妙手を指され、逆転してしまった。
この9七銀から4八歩という手順も、藤井の絶妙手として生涯語り継がれるであろう。
プロならそういう手があるのは、百も承知である。それでも食ってしまうのは、もう一歩近づいてから躱(かわ)せるという常識を、一歩遠くから来られて受けがないのをウッカリするからである。
藤井にそういう負け方をした棋士を過去(と言っても棋士になってまだ6年程だが)、数多く見てきた。
この勝利から勢いを得た藤井は、続く第3、4局と、一旦良くなったら逆転しない王者の将棋で、棋聖位を防衛。20歳の誕生日の2日前に、棋聖位3連覇を成し遂げた。
藤井の通算タイトル数は、これで9期。現在歴代単独9位だが、羽生善治九段(99)、大山康晴15世名人(80)、中原誠16世名人(64)の3人を除けば、そう先でない時期に他の棋士は抜かれるであろう。
それにしても、誰も一度もタイトル戦で勝てないというのは、いかに藤井が強いとはいえ、異常である。
豊島将之九段が現在、「お~いお茶杯王位戦」で藤井に挑戦しているが、タイトルをすべて失い、守るものがなくなった挑戦者がどのような戦い方をするのか(現在1勝1敗)に注目したい。
■青野照市(あおの・てるいち) 1953年1月31日、静岡県焼津市生まれ。68年に4級で故廣津久雄九段門下に入る。74年に四段に昇段し、プロ棋士となる。94年に九段。A級通算11期。これまでに勝率第一位賞や連勝賞、升田幸三賞を獲得。将棋の国際普及にも努め、2011年に外務大臣表彰を受けた。13年から17年2月まで、日本将棋連盟専務理事を務めた。
情報源:【勝負師たちの系譜】藤井の棋聖3連覇 生涯語り継がれる絶妙手、相手が食ってしまう理由(1/2ページ) – zakzak:夕刊フジ公式サイト
【勝負師たちの系譜】藤井の棋聖3連覇 生涯語り継がれる絶妙手、相手が食ってしまう理由 https://t.co/OdhitxAPdx @zakdeskより
— zakzak (@zakdesk) July 24, 2022
▲永瀬拓矢王座-△藤井聡太棋聖(棋譜中継)
ここで永瀬が投了を告げた。以下☗4九玉☖3八銀☗5九玉☖5八金打が詰み筋の一例。終局時刻は18時30分。消費時間は、☗永瀬3時間52分、☖藤井聡3時間41分。 この結果、第93ヒューリック杯棋聖戦五番勝負は3勝1敗で藤井が防衛した。藤井の棋聖位の獲得は3期連続3回目、通算タイトル獲得数は9期とした。
18時30分 終局
104手まで、△藤井聡太棋聖が防衛
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おめでとうございます。
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