ダニー
2022/05/20 10:53
第35期竜王戦七番勝負の開催予定地が決まった。竜王経験者の糸谷哲郎八段に、今期の開催地の印象や自身の七番勝負の思い出について聞いた。(文化部 星野誠)
和服でハワイ
糸谷八段が七番勝負を戦ったのは第27期(2014年)と第28期(15年)。特に、森内俊之九段からタイトルを奪った第27期第1局は米ハワイのホテル・ハレクラニで行われ、強く印象に残っているという。
「ハワイで和服を着るのはなかなかシュール。行きが台風、帰りがハリケーンで大変でしたが、対局場から見える海が本当に素晴らしかった」
今期のラインアップは当時とがらりと様変わりした。「能楽堂、お寺、 割烹かっぽう 旅館、城、神社、そして温泉旅館。非常にバラエティーに富んでいて面白い」と第一印象を語る。
中でも、第1局のセルリアンタワー能楽堂(東京都渋谷区)、第2局の仁和寺(京都市)、第6局の指宿白水館(鹿児島県指宿市)は、近年の竜王戦七番勝負の“聖地”とも言える場所だ。
集中には最適
「竜王戦といえばここ、というイメージ。伝統文化の融合という意味で、能楽堂や仁和寺は将棋と非常に相性がいい。そもそも、お寺は 瞑想めいそう や修行の場ですから、精神集中を高めるのに最適な環境でしょう。多くの棋士が砂むし温泉を絶賛している指宿白水館にも、いつか行ってみたい」
糸谷八段にとって、唯一、七番勝負の対局経験があるのは第7局の常磐ホテル(甲府市)。これまで数多くの名勝負の舞台となり、館内には「名人の 小径こみち 」と名付けられた資料展示スペースがある。「すごく 静謐せいひつ な場所。タイトル戦に慣れていることもあって、とても指しやすい」と太鼓判を押す。
第4局の福知山城(京都府福知山市)、第5局の宮地嶽神社(福岡県福津市)は、いずれも第31期に続いて2回目の開催。第3局の 割烹かっぽう 旅館たちばな(静岡県富士宮市)は初開催で、富士宮での将棋タイトル戦は史上初となる。
グルメの楽しみ
これらの開催地について、グルメで知られる糸谷八段が注目するのは食だ。福知山城にほど近い、丹波栗を使った焼き菓子の名店「足立音衛門」や、宮地嶽神社名物の松ヶ枝餅、そしてB級グルメブームの火付け役となった富士宮市の富士宮やきそば……。「七番勝負で出される食事やおやつも、ファンの皆さんの関心事の一つ。どんな将棋めしが出てくるか、私もいまから楽しみにしています」
第1局 10月7日・8日 セルリアンタワー能楽堂(東京都渋谷区)
東急グループの旗艦ホテルを中心とする渋谷の高層複合施設、セルリアンタワーに併設された能楽堂で、2001年に完成した。能舞台での竜王戦開催は6年連続6回目となる。
第2局 10月21日・22日 仁和寺(京都市)
仁和4年(888年)、宇多天皇によって開かれた皇室ゆかりの 名刹めいさつ 。真言宗御室派の総本山で、国宝・金堂や重要文化財・二王門を備え、世界文化遺産にも登録されている。対局は、登録有形文化財・ 宸殿しんでん で行われる。
第3局 10月28日・29日 割烹旅館たちばな(静岡県富士宮市)
富士山の恵みで発展してきた富士宮市の市制80周年記念事業として開催。同市で初の将棋タイトル戦となる。対局室「宝永」は、富士山の山頂から裾野までの尾根筋を一望できる見晴らしの良さが自慢だ。
第4局 11月8日・9日 福知山城(京都府福知山市)
1579年、丹波を平定した明智光秀が築城したとされる。いったんは廃城となっていたが、昭和に入り市民運動によって再建された。羽生善治竜王(当時)に広瀬章人八段が挑んだ第31期竜王戦に続いて、2回目の開催。
第5局 11月25日・26日 宮地嶽神社(福岡県福津市)
創建は約1700年前。2月と10月には、玄界灘に沈む夕日と参道が一直線にならんで幻想的に輝く「光の道」が参拝者を魅了する。直径2.6メートル、長さ11メートルの大 注連縄しめなわ でも名高い。
第6局 12月2日・3日 指宿白水館(鹿児島県指宿市)
錦江湾に面した5万坪の敷地に、四つの宿泊棟と砂むし温泉を含む大型温泉施設を有する九州有数のリゾートホテル。7年連続で竜王戦開催地に選出。2017年には羽生善治九段の永世七冠達成の舞台となった。
第7局 12月14日・15日 常磐ホテル(甲府市)
1929年創業。開府500年を超える甲府市の「迎賓館」として親しまれる老舗ホテル。敷地内の日本庭園は世界的にも高い評価を得ている。竜王戦3回を含む幾多のタイトル戦が開催され、名勝負が繰り広げられてきた。
ランキング戦大詰め
藤井聡太竜王への挑戦者は、来月下旬に開幕する予定の決勝トーナメントで決まる。その出場権をかけたランキング戦が大詰めだ。
竜王戦、第3局は静岡・富士宮市で初開催へ…日程と開催予定地決定
決勝トーナメントに出場できるのは1組上位5人、2組上位2人と3~6組の優勝者。1組ではすでに永瀬拓矢王座、佐藤天彦九段、丸山忠久九段、稲葉陽八段、2組では広瀬章人八段と森内俊之九段が決勝トーナメント進出を決めている。3組以下では、5組で佐々木大地七段が優勝した。4組では大ベテランの中村修九段が決勝に進出。先日、王座戦挑戦者決定トーナメントで藤井竜王を下した若手精鋭の大橋 貴洸たかひろ 六段を迎え撃つ。
情報源:聖地も将棋めしも「今から楽しみ」…竜王経験者・糸谷八段が語る七番勝負「決戦の地」 : 読売新聞オンライン
第35期竜王戦七番勝負の日程および開催地が決まりました。
主催者の読売新聞社と日本将棋連盟が開催地を公募し、将棋を通じた地域文化振興や話題性などを考慮して、以下の会場を決定しました。なお藤井聡太竜王への挑戦者は8月~9月に決まる予定です。
第35期竜王戦七番勝負 日程・対局場
【第1局】10月 7、 8日(金、土) セルリアンタワー能楽堂(東京都渋谷区)
【第2局】10月21、22日(金、土) 仁和寺(京都市)
【第3局】10月28、29日(金、土) 割烹旅館 たちばな(静岡県富士宮市)
【第4局】11月 8、 9日(火、水) 福知山城天守閣(京都府福知山市)
【第5局】11月25、26日(金、土) 宮地嶽神社貴賓室(福岡県福津市)
【第6局】12月 2、 3日(金、土) 指宿白水館(鹿児島県指宿市)
【第7局】12月14、15日(水、木) 常磐ホテル(山梨県甲府市)なお、開催地の詳細については、読売新聞オンラインからご覧ください。
情報源:第35期竜王戦七番勝負 日程・開催地の発表|将棋ニュース|日本将棋連盟
[第35期竜王戦ランキング戦1組4位決定戦・山崎隆之八段-松尾歩八段]
昼食休憩中、うんうんと何度も頷きながら盤の前で読みを深めた山崎八段(若杉)
糸谷哲郎八段が語る、今期七番勝負開催地の印象や自身の思い出↓https://t.co/Qc07gJISWp#竜王戦 #山崎隆之 #松尾歩 pic.twitter.com/G8qzjgjZeU
— 読売新聞写真部 (@tshashin) May 20, 2022
昨今の世情では、海外対局は難しいよな。
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