第2局は千日手指し直しの末、藤井聡太叡王の勝ち
2022.5/15 10:00
藤井聡太五冠がタイトル獲得5つとなったことで、いよいよ期待されるのが、羽生善治九段が達成したのと同じ、全冠制覇である。
将棋界に詳しくない人だと「8つの内5つ取ったから、もうすぐね」と思うかもしれない。しかしここまで来ても、全冠制覇は容易ではないのだ。
羽生の時代よりタイトルが1つ増えて、八冠になったこともある。しかしそれ以上に残ったタイトルを目指す間、持っているタイトルをしっかり維持しなくてはならない、ということがある。
羽生の場合、七冠最後のタイトルとなった王将位を、一度は谷川浩司王将(当時)に阻まれた後、翌年もう一度挑戦するまでの間に、6回のタイトル戦ですべて防衛を果たしての再挑戦だった。
しかも王将挑戦は、7人のリーグ戦で優勝しないと、挑戦者になれないのだ。予選がトーナメントの棋戦は、1局でも負けたら、最低でももう一年後になってしまう。
藤井の八冠に向けた最初の歩みは、叡王戦の防衛戦から始まった。今回の挑戦者は出口若武六段。
叡王戦は段位別の予選だが、出口は本戦に進むたった1人の五段枠(挑戦者になって六段)から勝ち進んで、挑戦者となった。
第1局は4月28日、東京都千代田区の「神田明神」で行われた。昨年に続いての開催で、江戸の守り神というところに、由緒がある。
出口は2018年、藤井と新人王戦の決勝を戦った因縁があるが、その時敗れて以来、藤井は遥か高みに行ってしまった。
ここで一矢をと思うのは当然だが、この将棋は相掛かりから藤井が華麗にさばき、飛車を取って敵陣に打ち込んでからは、一気呵成の寄せで藤井が先勝した。
局後のインタビューで出口は「もう少しタイトル戦の雰囲気に慣れないと」という感想を述べたが、むしろ最近の若手にない初々しさを感じた。
今後の展開は、出口が平常心で指せるかどうかにかかわってくるだろう。
叡王戦は好発進したものの、藤井は王座戦の本戦1回戦で大橋貴洸六段に敗れ、今期王座戦挑戦への道を断たれた。大橋は本欄に何度も登場していて、まだタイトル戦の経験はないが、藤井に4連勝(2敗)している有望株。
五冠の藤井と言えど、行く手にこういう若手がいる限り、全冠制覇はそう簡単ではないのである。
■青野照市(あおの・てるいち) 1953年1月31日、静岡県焼津市生まれ。68年に4級で故廣津久雄九段門下に入る。74年に四段に昇段し、プロ棋士となる。94年に九段。A級通算11期。これまでに勝率第一位賞や連勝賞、升田幸三賞を獲得。将棋の国際普及にも努め、2011年に外務大臣表彰を受けた。13年から17年2月まで、日本将棋連盟専務理事を務めた。
情報源:【勝負師たちの系譜】藤井五冠に立ちはだかる若手棋士 簡単ではない全冠制覇への道(1/2ページ) – zakzak:夕刊フジ公式サイト
藤井五冠に立ちはだかる若手棋士 簡単ではない全冠制覇への道https://t.co/IRsXCA7qEy
将棋界に詳しくない人だと「8つの内5つ取ったから、もうすぐね」と思うかもしれない。しかしここまで来ても、全冠制覇は容易ではないのだ。— zakzak (@zakdesk) May 15, 2022
▲藤井聡太叡王-△出口若武六段(棋譜中継)
19時31分 終局
75手 5四馬まで、▲藤井聡叡王 の勝ち
きれいに両取りが掛かった。
この局面で出口の投了となった。以下☖2二玉に☗1八馬で先手は磐石。後手は攻防とも見込みがない。終局時刻は19時31分。消費時間は両者4時間0分(チェスクロック使用)。
五番勝負はこれで藤井の2連勝となった。第3局は5月24日(火)に千葉県柏市「三井ガーデンホテル柏の葉 柏の葉カンファレンスセンター」で指される。
|
|
千日手指し直し局を制するのは?
|
|
|
|
|
|
★