凄八
2022年1月16日 5時00分
「負けてぼうぜんとしていて……。全然手が見えていない」
大盤解説会に登場した飯島栄治(42)は、そう嘆いた。
2021年1月に行われた第14回朝日杯将棋オープン戦の名古屋対局。飯島は17日の本戦1回戦で、竜王と叡王を保持していた豊島将之(31)に敗れた。
豊島と藤井聡太(19)が戦う2回戦が中盤戦になった頃、飯島は解説会のステージに上がった。だが、藤井の次の手を予想した際、反則の一つである「二歩」の手を示してしまう。プロらしからぬミスと直後に漏れた冒頭の言葉には、敗戦のショックの大きさと勝負の厳しさがにじんでいた。
実はこの日、飯島のコンディションは芳しくなかった。朝方まで、ほとんど寝付けなかったのだ。前日、名古屋対局に出場する棋士が一堂に会して記念撮影をした際、普段とは違う緊張感を自覚したという。「豊島さんや、一つ勝つと当たるかもしれない藤井さんが同じ空間にいた。一流棋士がそろう場の雰囲気にのまれてしまった。眠れなかった自分に怒りたい」
飯島は00年にプロ入りし、昨年八段に昇段した中堅棋士の一人だ。観客の前で指す公開対局は、この朝日杯が初めてで、いすに座って行う対局も不慣れだった。今はこうした経験を前向きに捉えている。「棋士になって20年以上が経ち、新しく経験することはそんなにない。今後に生かしたい」
小学3年の次男に、しばしば聞かれる質問がある。「藤井君と対戦したの?」。タイトル保持者となった藤井は、多くの棋戦で予選が免除されるようになった。飯島は過去に何度かチャンスがあったものの、公式戦で顔が合ったことはまだない。
「早く藤井さんと当たりたい。次に子どもに聞かれた時は『対戦したよ』と答えたい」
=敬称略
(村瀬信也)
◆毎週日曜に掲載します。
情報源:(大志 藤井聡太のいる時代)画期編:2 同じ空間に緊張「早く藤井さんと」:朝日新聞デジタル
村)ちょうど1年前の名古屋対局を取り上げました。対局で敗れ、解説会で二歩を打ってしまった飯島八段。実は対局前日の夜、ほとんど寝付けなかったそうです。
(大志 藤井聡太のいる時代)画期編:2 同じ空間に緊張「早く藤井さんと」:朝日新聞デジタル https://t.co/00NiVQ7nyU— 朝日新聞将棋取材班 (@asahi_shogi) January 15, 2022
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なかなか戦えないよね。
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