「将棋めし」は22020年4月で連載終了。
2022年1月8日 3時30分
藤井聡太竜王の四冠達成で、将棋界がますます活気づいているようです。最近では、自分自身で将棋を指さなくても、ファンとして対局を「観(み)る」ことで、棋士たちを応援する「観る将」と呼ばれる人々の存在が注目されています。知識や経験が初心者レベルでも「観る将」の仲間入りができるのか。将棋教室に突撃取材しました。
記者は東京・四谷にある「ねこまど将棋教室」の本校を訪ねた。初心者や子どもにわかりやすいレッスンで知られる。コロナ禍以降はオンライン授業が中心となっているが、昨秋からは対面での受講を申し込む人も増えており、一から将棋を教わる大人の受講者はめずらしくないという。
講師で将棋ライター・写真家の直江雨続(あめつぐ)さんによると、「やはり藤井聡太さんの存在が大きいですね」とのこと。「将棋を題材にした小説、マンガなどの人気も根強く、SNSでは『観る将』が盛んに発信しています。未経験で将棋にはまり、もっと知りたくて習いに来た、という人も多いです」
■「見届け人」にも多様な関わり方
「観る将」とは、将棋の応援や観戦に力を入れるファンのことだ。対局がネット配信され、AIの分析による評価値=形勢判断が画面上にグラフで示されるなど、将棋の世界の間口は近年、広がっている。そんな中で「指せない人もファンを名乗っていい」という機運が高まり、10年ほど前から「観る将」という言葉は広まり始めた。
活動内容は、2021年の流行語にもなった「推し活」そのものだ。お気に入りの棋士、女流棋士=「推し」に出会うと、その人の戦い方、泊まった宿、昼食やおやつ、感想戦やインタビューの言葉、趣味、経歴、師匠や一門との絆、揮毫(きごう)した扇子、指すときの指の曲げ方……と関心は広がり、「撮る将」「読む将」「将棋めし」「描く将」など、多様な関わり方が生まれる。
たとえば、ある「描く将」が「推し」の棋士をマンガのキャラクターのようにかっこよく、かわいく描いてツイッターに投稿する。ファンたちは「いいね!」やリツイートで、棋士への敬意を共有。「描く将は観察眼のある人。長時間に及び、動きの少ない対局の中で、決定的な表情やしぐさを見逃さなかったこと。そこにひそかな矜持(きょうじ)があるのでは」と語る「描く将」もいる。
元受講者には、対局の「見届け人」を務めた人もいるという。開始・終了時に対局室に入れるなどの特別待遇が受けられるファンの有料枠で、まさに「究極の推し活」だ。
実は直江さん自身も、将棋と縁遠い人生を送ってきて突然、「観る将の沼にはまった」。IT業界にいた07年、「ウェブ進化論」という本を読んで「将棋界を知ることは、世の中の変化を知るヒントになる」と考えた。羽生善治九段にひかれて観る将となり、人間とAIが戦う「電王戦」に熱中した。将棋愛が高じ、ついには将棋に関われる仕事に転職したという。
■少しは指したい…記者も授業体験
直江さんからの提案で、初心者レベルの記者も授業を体験できることに。
まず、将棋をわかりやすく広めるために考案されたボードゲーム「どうぶつしょうぎ」に挑戦。持ち駒は四つだけで、盤面も3×4マスと狭い。駒同士が最初から近接しているので、気を抜くとすぐに自分の駒を奪われる。
感覚がつかめたら、今度は通常の将棋盤で、相手の王を、自分の飛車と角で捕まえる練習だ。盤上の駒は飛車、角と、相手の王の三つのみ。逃げる王を、縦横に動く飛車と斜めに動く角で挟むようにマークし、追い詰める。
これらの練習で、相手の王を追いつめる=「詰ます」感覚が養われるという。子どもや初心者は、目先の攻防にこだわるあまり、「詰ます」という最終目的を見失うことが多いそうだ。
全部で6回ほど受講すれば、大半の人が将棋を指せるようになるという。
帰路、「将棋語辞典」(香川愛生監修)を購入。この本によれば、新聞社が将棋界のスポンサーになったのは明治時代で、棋譜や観戦記の載った新聞が飛ぶように売れたため、各新聞社が競って対局を企画し、今日の将棋界の原型がつくられたという。
江戸時代には、詰将棋の作品を幕府や天皇に献上するならわしもあったそうだ。beに連載中の詰将棋「棋士たちに挑戦!」も、趣向を凝らした「作品」だからこそ難しいのだろう。そういえば、藤井竜王の原点は幼少期から親しんだ詰将棋だとも言われている。
とにかく、指せない観る将も、「指す将」を目指す観る将も、大歓迎。将棋界って心が広いです。(寺下真理加)
情報源:(be report)「観る将」から広がる世界 応援や観戦に熱、まさに「推し活」:朝日新聞デジタル
【将棋の世界】#藤井聡太 竜王の四冠達成で
将棋界がますます活気づいているようです。https://t.co/HWqEdWR06L自分自身で将棋を指さなくても
ファンとして対局を「観る」ことで
棋士たちを応援する #観る将 と呼ばれる人々の存在が
注目されています。#撮る将 #読む将 #描く将 #将棋めし pic.twitter.com/UVhv7L4zX9— 朝日新聞デザイン部 (@asahi_designbu) January 8, 2022
本日の朝日新聞に「観る将」から広がる世界という記事が掲載されています。ねこまど将棋教室を取材していただきました✨😊
(be report)「観る将」から広がる世界 応援や観戦に熱、まさに「推し活」:朝日新聞デジタル https://t.co/oqA6UJLgy1
— 北尾まどか (@nemurineko) January 8, 2022
朝日新聞の将棋特集記事で将棋めしがチラッと紹介されていると聞き嬉しい気持ち
— 松本 渚 (@matsumon23) January 8, 2022
いろいろ広がったよね。
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