新春対談・世代を超えて 将棋 渡辺明三冠 囲碁 仲邑菫二段
2022年 新春インタビュー

新春対談・世代を超えて 将棋 渡辺明三冠 囲碁 仲邑菫二段

将棋・渡辺明三冠、囲碁・仲邑菫二段

2022.1.1 0:01

将棋タイトルの名人、棋王、王将を持つ渡辺明三冠(37)はリーダーとして活躍を続けてきた。囲碁の中学生プロ、仲邑菫二段(12)は国内の棋戦だけでなく、将来は世界を見据えている。異色の顔合わせとなった2人が囲碁で対戦し、語り合った。

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盤上を駆ける世代を超えて

将棋　渡辺明三冠
囲碁　仲邑菫二段

名人、棋王、王将のタイトルを持つ渡辺明三冠（37）は将棋界のリーダーとして活躍を続けてきた。囲碁の中学生プロ、仲邑菫二段（12）は国内の棋戦だけでなく、将来は世界を見据えている。両者は棋界で抜群の存在感を示す。今回、渡辺明三冠の趣味である囲碁の”ドリームマッチ”が実現。異色の顔合わせとなった2人が今年の抱負などを語った。

－2人は2019年に東京都内で偶然、出会ったそうですね。
渡辺　ご家族といる時でした。よくしゃべっていて、普通の女の子となんだなと思いました。
仲邑　その時は、ちょっと緊張した記憶があります。
渡辺　仲邑二段は21年、上位に進出して活躍の度合いが一つ上がりました。力をつけてきた印象があります。
仲邑　将棋はあまり分かりませんが、渡辺三冠は名人、棋王、王将のタイトルを持っていて、すごく尊敬しています。

－渡辺三冠は3タイトルを防衛、仲邑二段は女性国際棋戦で元世界チャンピオンを破るなど躍進した都市でした。
渡辺　三つの防衛で結果を何とか出すことができました。ただ棋聖戦では藤井聡太棋聖に挑戦して一つも勝てず、そこは課題として残りました。
仲邑　世界のトップクラスと対戦出来てよかったです。内容的にもまずまずで、自信になりました。
渡辺　年齢的なことを考えても年々、厳しくなっています。その中でどれくらい藤井棋聖に対抗できるか、という事を考えています。
仲邑　去年は自分でも思った以上に結果が出たのかな。今後は、もう少し上まで行けるように頑張りたいです。

－最近は人工知能（AI）を使った研究が盛んになっています。
渡辺　序盤戦を研究し、それを覚えて実践で使います。序盤戦はあいまいなところがあったが、今は厳しくなっています。棋士は研究量が増えて、大変な時代になっていくでしょう。
仲邑　自分の打った碁を調べて反省しています。序盤の研究もちょっとはしますけど、AIと対局はしないです。

－息抜きは。
渡辺　囲碁は好きです。あとは野球やサッカー観戦ですかね。
仲邑　空いてる時間があったら本を読んでいます。特に「名探偵コナン」が好きです。

－2人はぬいぐるみが好きだそうですね。
渡辺　ぬいぐるみの数は増えていますね（笑）。試合に負けた後、癒されます。
仲邑　10個くらい持っています。一番のお気に入りは「ふわふわちゃん」と名付けたライオンのキャラクターのぬいぐるみです。

－今年の目標は。
渡辺　タイトルの防衛戦もあるので、それに向けて頑張ります。4月で38歳になるので体のケアとか、効率のいい頭の使い方を意識してやっていきたい。
仲邑　国内戦はもちろん、出場できるようなら国際戦も頑張りたい。もっと強くなって、21年よりも活躍できる一年にしたいですね。

「初手合い」の展開は

渡辺三冠が黒石を先に6子置くハンディ戦（6子局）が始まった。上辺、白1から5まではよくある立ち上がり。続いて下辺、仲邑二段は白7から13と攻めの準備を整える。それを察知した渡辺三冠は黒14一間トビ。
中盤に入っても渡辺三冠の石運びは堅調。仲邑二段は白地を増やし、追い上げを図る。中央で白85切りが入り、黒82の1子が孤立。この場面が本局のハイライトとなった。渡辺三冠は切断された黒82をすぐに動かず、黒86、88と大石を補強。結果、黒98まで切断された黒石も助かり、黒の勝勢が固まった。
最後は黒13目勝ち。約2時間の大熱戦だった。渡辺三冠は「将棋よりもだいぶ緊張した。途中でダメにならなくて良かった。」とホッとした様子で振り返った。
「隙がなかった。渡辺三冠の集中力を感じた」と仲邑二段。さらに、仲邑二段が「次打つ時は（ハンディを減らして）4子で」と言うと、「それは褒めすぎ（笑）」と渡辺三冠。対局中とは打って変わって、和やかなムードとなった。

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