第6期叡王戦八段予選の師弟戦
2021年12月5日 5時00分
2020年12月3日、大阪市福島区の関西将棋会館。杉本昌隆(53)と藤井聡太(19)の3局目の師弟戦が実現した。
第6期叡王戦の段位別予選八段戦。28人の八段のうち本戦入り出来るのは3人。3組に分かれ、それぞれトーナメントで本戦入りを目指す。杉本と藤井は同じ組になった。持ち時間は各1時間。午前10時から杉本が畠山鎮(まもる)(52)と、午後2時から藤井が長沼洋(ながぬまひろし)(56)と対戦。勝者が午後7時から対局する。
杉本も藤井も勝ち上がり、師弟戦が実現した。振り駒で藤井の先手と決まり、後手の杉本は得意の四間飛車。藤井は「序盤から(師匠に)機敏に動かれて、こちらがうまく対応できないところもあった」と反省していたが、73手で勝利。本戦進出まで、あと1勝と迫った。藤井に3連敗を喫した杉本は「6月にあった2局目の師弟戦の時、藤井二冠はまだ七段だった。わずか半年でタイトルを二つ獲(と)って……。成長、活躍を感じましたね」と話した。
その夜、杉本から電話をもらった。「弟子と食事をするから、良かったら、一緒に」とのこと。少し前から杉本は、すっかり有名になった藤井が関西での対局の後、ゆっくり安心して食事が出来る店を探していた。記者が紹介した店が親切にも貸し切り状態で師弟を迎えてくれ、喜んだ杉本が律義に記者にも声をかけてくれた。記者と杉本がアニメ「鬼滅の刃」のキャラクターについて話すのを、藤井は店自慢のパスタを口にしながら、ニコニコと聞いていた。密にならないよう細心の配慮も払い、短時間で解散した。
杉本は店探しの事情などは口にしなかったが、聡明(そうめい)な藤井はきっと察し、師匠の優しさをありがたいと思っただろう。将棋が強いだけではない魅力が、この師弟にはある。=敬称略(佐藤圭司)
◆毎週日曜に掲載します。
情報源:(大志 藤井聡太のいる時代)試練編:11 対局後の食事、垣間見えた師弟の魅力:朝日新聞デジタル
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