ほぉ・・・
2021年12月3日 05時00分
“十九番勝負”といわれ、夏から続いた藤井聡太四冠(19)=竜王・王位・叡王・棋聖、愛知県瀬戸市=と豊島将之九段(31)=同県一宮市出身=による三連続のタイトル戦が幕を閉じた。竜王戦七番勝負で藤井四冠は、ついに現役ナンバーワン棋士になり、藤井時代の到来を告げた。そこで人びとの胸に刻まれたのは、盤上の戦いだけではなかった。(岡村淳司)
福島の復興にも一役
「コロナ禍とトリチウムの問題が相まって、われわれは大変な状況。そういうところに若い二人が来てくれて、日本中にいいメッセージを送ってくれた。ほんと、最高ですよ」。竜王戦の第三局が指された福島県いわき市の観光施設「いわき・ら・ら・ミュウ」で、海産物店を営む伊藤幸男さん(68)は、何度も感謝の言葉を口にした。
いわき市では、二〇一一年の東日本大震災で四百六十八人が亡くなった。東京電力福島第一原発の事故で水産業が深刻なダメージを受け、今なお風評被害にあえいでいる。一昨年には、追い打ちを掛けるような台風19号で被災した。この春は政府がトリチウムなどの放射性物質を含む原発の処理水を海洋放出する方針を示し、不安が渦巻いている。
そんな中、同市は地域ぐるみで実行委員会を組織した。震災から十年の節目に、復興記念事業として竜王戦を誘致したのだ。「これまで頑張ってきた地元の住民にとって、大きな大きな力になる」。前夜祭であいさつした実行委員長の内田広之市長は、万感の思いをにじませた。
そんなまちの思いは二人にも伝わる。対局前日、藤井四冠と豊島九段は関係者に案内され、「いわき・ら・ら・ミュウ」を訪れた。日本中が注目するスターの背中を、大勢の報道陣が追い掛ける。地元水産業者を代表して伊藤さんが苦境を語ると、二人は真摯に耳を傾けた。
現地で囲み取材に応じた豊島九段は、勝負めしに海鮮丼を注文すると宣言。「厳しい基準をクリアしているのでむしろ安全だと思う。風評被害が早くなくなれば」とおもんぱかった。藤井四冠は小学四年の文集で、「最近の関心事」に原発を挙げたことがある。「震災時はまだ小学生でしたが、被害の大きさと復興の歩みを知り、とても勉強になった。復興はまだまだ道半ば。福島産品のおいしさを対局を通じて発信したい」
第四局の山口県宇部市も、市制施行百周年で竜王戦を誘致した。かつて石炭産業で栄えたまちは、高齢化とコロナ禍で衰退している。それでも期間中はホテルがほぼ満室になり、飲食店の予約も相次いだという。名物の宇部ラーメンも、藤井四冠が滞在中に食べたと明かしたことで、一躍脚光を浴びた。
竜王戦が決着した翌朝、篠崎圭二市長は「元気のないまちに活力をいただけた。市に新たな歴史の一ページが刻まれた」と、花束で祝福した。ただ、七番勝負が最短の第四局で決着したことに「この後開催予定だった自治体を思うと心苦しい」とも。タイトル戦は、それほど多くの人に切望されている。
筆者は盤外の食事などが注目されることを、少し冷めた目で見ていた。しかし竜王戦で二人の発信力を目の当たりにし、将棋界が担う社会的な役割をあらためて知った。タイトルホルダーは強いだけでなく、皆の願いを背負っている。
竜王戦が終わっても、二人の戦いは終わらない。すぐ後にあった将棋日本シリーズJTプロ公式戦の決勝。今年十七回目となった直接対決は、前年覇者の豊島九段が快勝し、見事な意地を見せてくれた。
尾張が生んだ二人の天才は、来年も熱戦を繰り広げることだろう。
当面の主な予定 英気養える年末に
情報源:〈頂の先へ 月刊・藤井聡太四冠〉スターの発信 効果絶大:中日新聞Web
「竜王戦で二人の発信力を目の当たりにし、将棋界が担う社会的な役割をあらためて知った。タイトルホルダーは強いだけでなく、皆の願いを背負っている」
ありがたい記事。関係者として身が引き締まる思い。https://t.co/swboBAtahd— 解答欄魔 (@k1sumi) December 3, 2021
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