二期連続の名人挑戦成るか?
2021年11月29日 16時30分
渡辺明名人(37)=棋王・王将と合わせ三冠=への挑戦権を争う第80期将棋名人戦・A級順位戦(朝日新聞社、毎日新聞社主催)は19日、全9回戦のうち5回戦までを終えた。前期に名人に挑戦した斎藤慎太郎八段(28)が5戦全勝で、2敗以上の他の9人を引き離している。(佐藤圭司、村上耕司)
■相懸かりで永瀬を寄せきる
5回戦のうち、山崎隆之八段(40)―菅井竜也八段(29)戦は4日に行われ、山崎が勝ってA級初勝利を挙げた。残る4戦が19日に東京で3局、大阪で1局行われた。8、9回戦以外でこれだけ対局が集中するのは珍しい。
開幕4連勝と今期も好スタートを切った斎藤の相手は永瀬拓矢王座(29)。大阪・関西将棋会館で行われた対局の戦型は相懸かりになった。先手の斎藤は「予定の作戦」と終局後に明かした。
図1は、53手目▲5七角と斎藤が自陣角を放った局面。次に▲9五歩△同歩▲9三歩の端攻めがある。永瀬は△7二金と備えたが、以下▲7五歩△同歩▲同角と斎藤が1歩手持ちにし、永瀬は△7四銀▲5七角△7六歩と対応。この辺りのやりとりを永瀬は終局後、「大きく判断を誤ってしまったのが残念」と悔やんだ。「少し前の局面でややバランスを崩してしまったかという思いもあり、△7六歩と(強く銀取りに)打ったが、(控えて打つ)△7五歩だったかも」
この後、斎藤は▲4五歩と突き、角を1筋にも利かせ、指しやすさを拡大。終盤も鋭い攻めで永瀬玉を寄せきった。
勝った斎藤の第一声は「5勝目で残留は決めた」という謙虚なもの。「(残り4局も)大変な対戦相手が続く。これまでと変わらず準備して臨むだけ」と続けた。永瀬は「課題が一局一局見つかるので、それを補い、力をつけていきたい」と語った。
■追う豊島、2敗に後退
3勝1敗で斎藤を追う豊島将之九段(31)は東京・将棋会館で佐藤康光九段(52)と対戦した。後手の佐藤康が角交換振り飛車を採用。飛車交換から互いに飛車を敵陣に打ち込み、どちらが先に相手玉にたどり着けるかという戦いになった。
図2は▲5三桂成に佐藤康が△7一角と受けたところだ。▲6三成桂と金を取れば、△4四角と角を取りかえす狙い。先手は角を渡すと△6九角と打たれる手があり、怖い変化だ。ここで豊島は▲1一角成とし、△5三角▲8八玉と進み、激しい戦いは避けられた。だが豊島は局後、「▲6三成桂とやればよかったが、自信が持てなかった」。ここから佐藤康がリードを広げ、押しきった。2連敗後に3連勝の佐藤康は「勝ち越しになってよかった」。豊島は「これから次第なので、頑張っていけたら」と話した。
■羽生・山崎4敗、残留争いも混戦
糸谷哲郎八段(33)―羽生善治九段(51)戦は、形勢が揺れ動く難解な将棋を糸谷が競り勝った。痛い4敗目を喫した羽生は「気を取り直して頑張ります」、糸谷は「上をめざして一局一局、大事に指していきたい」。
佐藤天彦九段(33)―広瀬章人八段(34)戦は、互いの玉がなかなか捕まらない長手数の将棋になった。最終盤で広瀬に勝機が訪れたが逃し、じりじりと追い上げた佐藤天が185手の激闘を制した。3勝目を挙げた佐藤天は「上をめざしたいが、勝ち越しという結果はある程度は満足しないといけない」、3敗の広瀬は「星をまず五分に戻さないと。まずは残留を確定させたい」と話した。
降級は2人。4敗の羽生と山崎は苦しいが、勝ち越す可能性もまだある。3敗の3人はもちろん、2敗勢も残留できるか安心はできない。挑戦権を巡る戦いの一方で、残留争いも激しくなりそうだ。
情報源:全勝斎藤、頭一つ先行 将棋名人戦・A級順位戦、5回戦終了:朝日新聞デジタル
村)A級では珍しく、1日に4局が指されました→「5勝目で残留は決めた」「上をめざしたいが、勝ち越しという結果はある程度は満足しないといけない」「星をまず五分に戻さないと。まずは残留を確定させたい」
全勝斎藤、頭一つ先行 将棋名人戦・A級順位戦、5回戦終了 https://t.co/wu9ztS1EzS— 朝日新聞将棋取材班 (@asahi_shogi) November 29, 2021
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